Netflixにて、「ブラック・ダヴ Black Doves」鑑賞。
次期首相とも目される国防長官ウォレス・ウェッブ（アンドリュー・バカン）の美貌の妻ヘレン（キーラ・ナイトレイ）。しかし実は彼女は闇のスパイ組織「ブラックダヴ」の一員で、政府の機密情報を掌握するためにウォレスと結婚した⋯という裏の顔を持っていたのです。そして現在、外面的には完璧な妻と母親を演じる一方で、政府官僚ジェイソン（アンドリュー・小路）と秘めたる恋愛関係にありました。クリスマスを間近に控えたある晩、在英中国大使が殺害され、その娘カイ・ミンが失踪するという大事件が勃発、時を同じくしてヘレンの恋人ジェイソンもテムズ河畔で遺体となって発見されます。大使殺害の容疑者として浮かび上がったのは、カイ・ミンの恋人でCIA工作員コール・アトウッド（フィン・ベネット）。コールは事件後在英アメリカ大使館に逃げ込んだ為、彼の引き渡しを強硬に主張する中国、それを拒否する米国、そして英国の三国間に危険な緊張が生まれます。
ジェイソンはなぜ殺されたのか？彼の死は果たして中国大使殺人事件と関係があるのか？人生初めて愛した人を殺され復讐に燃えるヘレンは、犯人探しに動き出します。ジェイソンの死が大使殺害事件と関連性があったとすれば、ジェイソンに「ブラック・ダヴ」の存在を仄めかしていたヘレンの身、ひいては組織にも危険が及ぶと考えた「ブラックダヴ」のボス・リード夫人（サラ・ランカシャー）は、ある任務の失敗により海外潜伏中だった殺し屋・サム（ベン・ウィショー）をヘレンのボディガードとしてロンドンに呼び寄せますが⋯⋯。
かつてはヘレンの射撃メンターを務めたこともあり、共に数々の修羅場を潜り抜けて来たサムとヘレン、戦友のような兄妹のような阿吽の呼吸のバディ感が◎❗️サムは同性愛者で、ヘレンとは男女の仲になる可能性は０%、だからこそ２人の性差を超えた、ソウルメイト的な心の繋がりが爽やかで、見ていて心地良いんです。強く美しく、謀略にも戦闘能力にも長けたスーパーウーマン・ヘレンのバディであり、どんなに手を血で染めても人の心を失わない優しき殺し屋サム。そんなサム役にベン・ウィショーをキャスティングしたことで、このユニークなスパイドラマの成功は半ば約束されたようなもの。ラスト、ジャクソン殺しの犯人と対峙した時、ピストルを犯人に突きつけながらもさすがに逡巡するヘレンに向かって「君に手を汚させはしない」と呟き、彼女の代わりに引き金を引くサムは、まるで中世の騎士（ナイト）みたいでステキだったわ⋯。女性たちによる共闘映画の名作「ウーマン・トーキング 私たちの選択」（2022）のベンの役回りと一緒ね。
考えてみれば、「ブラック・ダヴ」のボス・リード夫人役のサラ・ランカシャー、ロンドン裏社会で殺し屋たちの元締めを演じるキャサリン・ハンター、サムと共闘する若き殺し屋ウィリアムズを演じるエラ・リリー・ウィリアムズなど、英国の個性派女優たちが勢ぞろいのこのドラマ、国防長官夫人のヒロインを筆頭に、まるで「現在の英国社会を裏で牛耳っているのは女性たち」と言わんばかり（笑）
それにしても英国ドラマには、主人公が逆境にある時、皮肉やシャレを連発して周囲の笑いをとる場面が度々出てきます。「ブラック・ダヴ」も例外ではありません。それが英国人の常だとするならば、やはり英国って成熟した大人の社会な気がする。ヲタクから見たら、羨ましい限りだわ⋯。以前仕事でピンチな時、ヲタクが英国人を気取ってシャレを言ったら、当時の上司（注・男性）から「こんな大変な時にふざけるんじゃない」って怒られたもん（笑）
このドラマ、海外では大人気、主演のキーラ・ナイトレイがゴールデン・グローブ賞とテレビ批評家協会賞にノミネートされ、すでにシーズン２の製作も決定したもよう。第１シーズンでは国防長官夫人だったヒロイン・ヘレンですが、第２シーズンではファーストレディに上り詰めちゃったりするのかしら（笑）
★今日の小ネタ⋯これから来そうなルーサー・フォード
※「ザ・クラウン」プレミアでのルーサー・フォード。若い頃のエディ・レッドメインにちょっと似てるね。
ロンドン裏社会を牛耳っていた父親をサムに殺されたものの、サムの温情から自身の命は救われたことで、サムに対して愛と憎しみの複雑な感情を抱く青年の役を演じたルーサー・フォード。ボーンマス芸術大学在学中の 2020年、短編映画「Dream Between」の脚本・監督・主演を務め、引き続き短編映画『Woods…』も制作した若き鬼才。その後BBCドラマシリーズ「ザ・クラウン」のハリー王子役に６回のオーディションを経て選ばれました。本作でも出番は少ないながら鮮烈な印象を残していて、シーズン２ではさらにサムと深く関わってくる予感。これからが楽しみ❗️
キャスティングに萌える〜キーラ・ナイトレイ✕ベン・ウィショー Netflix『Black Doves』 - オタクの迷宮
