UNEXTにて、「陪審員2番」観賞。これまで作品の中で人生の不条理や多数決正義への懐疑を正攻法で描き続けてきたクリント・イーストウッド監督の集大成と言われ、批評家たちの間でも高い評価を受けながら、何故か日本では公開が見送られてしまった映画。日本は洋画の氷河期と言われてもうどのくらい経ったでしょうか(ToT)ヲタクのような洋画ファンにとって、ツライ時期がもう10年以上も続いています。名のある映画賞を受賞した良作であっても、限られた期間のみの単館上映、あるいはそのままお蔵入り……ということも珍しくありません。そんな中、この作品を配信してくれたU-NEXTさんに先ずは感謝❗️です。
ジャスティン・ケンプ(ニコラス・ホルト)は、臨月の近い妻を気遣いながら日々を送るタウン誌の記者。平凡ながらも幸せな人生はこれからもずっと続いていくと彼は信じて疑いませんでした。そんな彼の元に、ある日1通の手紙が届きます。ある殺人事件の裁判に対する陪審員の召喚状でした。被告人は街でも悪名高い不良青年ジェームズ(ガブリエル・バッソ)で、ある嵐の夜恋人とバーで口論となり、恋人はその後近くの橋の下で惨殺死体となって発見され、ジェームズが容疑者として逮捕されたのです。本人は否認しているものの、状況証拠からジェームズが犯人であることは明白であるかのように見えました。しかも担当は、この裁判に勝って次期検事長の椅子を狙いたい野心家の敏腕検事(トニ・コレット)です。男女の痴情のもつれが生んだ単純な殺人事件……と誰もが結論づけようとしていた時、ジャスティンはある恐ろしい真実に気づき初めていました。実は事件の夜彼は、雨の中で野生動物を轢いてしまったのです。車から降りて周囲を見回しても何も見つけられなかった彼は、手負いの獣が走り去ったのだろうと結論づけて、そのまま帰宅しました。しかし……しかし、あれが野生動物ではなかったとしたら⁉️
恐ろしい真実に気付いた時のニコラス・ホルトの瞳孔が開いたような怯えきった眼、額に滲み出る汗、小刻みな震え……不安と恐怖の表現がもう、凄い❗️❗️ヲタクもすっかり感情移入しちゃって手にじっとり汗かいてました。真実を知ったジャスティンがどんな行動を取るか……というのが、後半のクライマックスとなるのですが……ヲタクは彼を責められない(泣)彼を卑怯な奴、弱い奴だとなじることは簡単だけれど、ひょっとしたら同じような行動を自分もとるかも知れないと思ったら、悲しくて恐ろしくて落ち込んでしまった。たとえその後の人生が自らを苛み続ける地獄となるとわかっていても、今この手にある幸せを手放せない人間の、どうしょうもない弱さ。ラストシーン、ニコラス・ホルトと検事役のトニ・コレットが対峙するシーンが、どうにもやり切れない、重い余韻を響かせます。
ニコラス・ホルト、人間の深層心理の襞に潜む弱さを演じたら同世代の俳優間ではピカイチですね。残念なイケメン…っていうカテゴリー、ご本人としては演じるの勇気いると思うけど(^o^;…それでもいつも真正面から振り切った演技を繰り出してくるニコラス、愛してるわ(爆)
この映画を観るためにU-NEXTに加入した……っていうXのポスト見かけたけど、そうだとしても絶対後悔はしないと思うよ❗️
※イーストウッド監督ならではの豪華キャスト❗️主役のニコラス・ホルト(左上)から時計回りに、Netflix「ナイト・エージェント」でブレーク中のガブリエル・バッソ、トニ・コレット、キーファー・サザーランド、ゾーイ・ドゥイッチ(今回ニコラスの妻役を演じた彼女、ニコラスとは「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」(2017)以来2度目の共演です)。