
顔を変えても自分からは逃げられない──。セバスチャン・スタン主演、自己肯定とルッキズムを鋭く抉るA24心理スリラーの傑作。
桜木町駅前のシネコン・ブルグ13にて、推しのセバスチャン・スタン主演「顔を捨てた男」観賞。顔の変形を引き起こす難病・線維腺腫を患う俳優志望の男。整形手術によって劇的に生まれ変わるものの、過去の自分にそっくりな男の出現により、次第に不安と恐怖に苛まれていく過程を描いた心理スリラー。「ミッドサマー」や「ライトハウス」「ヘレディタリー 継承」、「異端者の家」など、ひねりの効いたスリラー作品作りには定評のある個性派スタジオA24が、また傑作を生み出した❗
じつはヲタク、オタクのはしくれとして、推しの映画は上映初日に観る❗️❗️❗️⋯⋯って決めてる。なのになのに今回は、持病のアレルギーが発症したうえに派遣代行の仕事も新しい現場のOJT入りで観に行く時間が取れず、あっという間に10日も経ってしまった……よよよ(←その場に崩れ落ちる様子)。セバちゃま、オタクの風上にも置けないヲタクを許して(笑)その代わり、一瞬のまばたきもせず(……ってくらい 笑)眼見開いて見てきたからね❗️
★ざっくり、あらすじ
・顔の変形症に悩む男の恋のゆくえは⋯❗❓
神経線維腫症を患い、顔の変形に悩むエドワード(セバスチャン・スタン)。それでも彼は、いつか俳優になりたいという夢を捨てきれずにいます。彼は同時に、アパートの隣人で劇作家を目指しているイングリッド(レナーテ・レインスヴェ)に心惹かれながらも、コンプレックスのために自分の気持ちを打ち明けられず悶々と日々を送っていました。
・顔の整形で劇的に変わった彼の人生。しかし⋯
そんなある日、エドワードは外見を劇的に変える過激な治療によって、念願だった新しい顔を手に入れることに成功。「生まれ変わる」ため、エドワードは自身を自殺したことにして、偽名を使って新たな人生を歩み始めます。彼はそのイケメンぶりを生かして不動産業界に転職、トップセールスマンに上り詰めますが、まるで他人の人生を生きているかのような、どこか居心地の悪さを感じる毎日⋯⋯。そんなある日、以前憧れていた隣人のイングリッドが、オフ・ブロードウェイで自分を題材にした「エドワード」という小芝居を上演しようとしていることを知ります。オーディションを受けて役をゲット、以前の顔をプロトタイプにしたマスクを被ってリハに臨む彼ですが、そこに、同じ病で、以前の自分とそっくりな顔の変形症を患うオズワルド(アダム・ピアソン)という男が現れます。しかしオズワルドは、常に自分に自信がなくおどおどと暮らすエドワードとは違い、音楽、武道、投資、文学…etc.とあらゆる方面に精通し、会話もたくみな人誑し。イングリッドさえも彼に骨抜きになっていくのを見たエドワードは猛烈な嫉妬心に苛まれ、次第に狂気に陥っていき……。
★セバちゃんの神演技が凄い❗️❗️
何と言っても見どころは、主演を務めるセバスチャン・スタンの演技❗️(…推しだからって、話盛ってないよ。いち映画オタクの冷静な意見)顔がイケメンに変化しても、自己肯定感とは無縁なために結局、今度はその外見がまたコンプレックスになっていく……生涯ルッキズムの呪縛から逃れられなかった男の悲喜劇ですが、主人公の心理表現をきめ細やかに演じて素晴らしいです。サスガ、ヲタクの推しだけある❗️(……何様❓️笑)特に、顔の変形症のマスクを被ってオズワルドのモノマネをしながら不動産の営業をする場面は痛々しすぎて思わずスクリーンから眼を背けたわ……セバちゃん、演技上手すぎ😭
セバスチャン・スタンってね、人間の「喜怒哀楽」の感情のうち、「哀」の表現がめちゃくちゃ巧みな人だとヲタクは常々思っていて。生まれたからには、どんな過酷な境遇に置かれても生きていかなくてはならない人間の宿命……そんなものを感じさせる。彼の纏う哀愁は、たとえそれがあのドナルド・トランプを演じる時(「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」)でさえそこかしこに漂い、演技に深みを与えていると思う。
★ありのままの自分を受け入れる……それが1番難しい❗️
映画なので、神経線維腫症が象徴的に描かれてはいるものの、人にとってコンプレックスなんて千差万別、それこそ顔は変わったけど自信を取り戻せない治療後のエドワードみたいに、(オレ(私)って顔はいいけど中身ないんじゃないか……)って悩んでるイケメンや美女だって中にはいるかもしれないし。
映画の冒頭、「ありのままの自分自身を受け入れることが幸せの近道」……みたいなガガさまの名言がネタっぽく語られるんだけど、案外それって、エグゼクティブ・プロデューサー(製作総指揮)を兼任したセバちゃんと、監督のアーロン・シンバーグが訴えたかった基本的なテーマなんじゃないかな……って、映画を観終わった後に思ったヲタクでありました。

※本作のヒロイン役を演じたノルウェー出身の女優レナーテ・レインスヴェ。エドワード同様、自立しようとしながら自らの感情を理性的に分析できず、他人の意見に流されてしまう難しい役柄を熱演。セバちゃんとは演技の相性がいいのか、次作「フィヨルド」でも夫婦役で共演しています。
★「顔だけじゃない❗️」イケメン、セバスチャン・スタン
昨年末、東京コミコンに間に合わなかったから……という理由で、終了後わざわざスケジュールを繰り合わせて訪日してくれたセバちゃん😍この「顔を捨てた男」の神演技でベルリン国際映画祭主演男優賞を受賞したばかりだったから、撮影会で「銀熊賞(主演俳優賞のこと)おめでとう❗」って声をかけたら、ぱーっと顔を輝かせて、「ありがとう❗ホントにありがとう」と言って、向こうから手を差し伸べ握手してくれた彼。どちらかと言えばスクリーンで演じる役柄はコワモテな人物が多いけど、素顔のセバちゃんは物腰柔らかな、穏やかな語り口の超ジェントルマンだったわ……(遠い眼)。人柄の良さ、誠実さが滲み出てる感じの。
ああ、「『顔を捨てた男』の演技最高だったよ❗ベルリンに続いてゴールデングローブ賞もおめでとう」って直接彼に声をかけたい……。最近は演技派俳優としての地歩を確実に固めつつあるセバちゃん。主演やプロデューサーを務める新作も目白押し、もはや訪日なんてヒマもなかなかないと思うけど、だけどいつかはきっと、再び会えるって信じてる。……それまで良い子にして待ってるね(笑)
★今日の小ネタ……最近の洋画の中のジャポニズム
セレブでグルメを気取るオズワルドとイングリッドがエドワードを招待するのが日本食レストラン。彼らは大吟醸の日本酒を頼み、和牛ステーキや銀だらの西京漬に舌鼓を打つのですが、「何注文する❓️」って聞かれても、(おそらく)日本食なんて食べたことのないエドワードは、メニューを決められない(泣)それでも卑屈な笑いを浮かべるエドワードに、ヲタク泣きそうになっちゃったわ。アメリカ人セレブが食通を気取る時、今どきはフレンチでもイタリアンでもなくて日本食……っていうのが、ヲタクにはちょっとツボだった。
ちなみにセバちゃんご本人は、昨年末の初来日で初めてトライした大トロの刺身がいたく気に入られたそうです😁
A24がまたもや生み出した傑作スリラー「顔を捨てた男」は、全国の映画館で絶賛上映中です❗️