
「KINOシネマ横浜みなとみらい」にて、「パルテノペ」観賞。イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が、自身の故郷である南イタリアの街ナポリを舞台に、神秘的な美しさを持つ1人の女性の、究極の理知と魂の解放を求めて彷徨う数奇な半生を描いた作品。
★ざっくり、あらすじ
時は第2次世界大戦終了直後の1950年、所は風光明媚なイタリアの街ナポリ。そこで生まれた※パルテノペは、彼女に触れた者は皆、彼女を愛さずにはいられない、圧倒的な魅力と知性を持つ女性に成長します。彼女にはレイモンドという兄が1人いて、2人の兄妹は深い絆で結ばれていましたが、パルテノペが魅惑的に成長していくのとは裏腹に、元来内向的で心を閉ざしがちなレイモンドは、益々パルテノペへの禁断の恋情とコンプレックスを募らせていき⋯⋯❗️
※ギリシャ神話に登場する人魚の名前であり、同時にナポリの街を意味する。
★パルテノペ役で衝撃のスクリーンデビューを飾ったセレステ・ダッラ・ポルタ
主人公パルテノペ役には、ズブの素人だったセレステ・ダッラ・ポルタが抜擢されました。主人公パ知的な美しさに溢れ、映画の冒頭、海から上がってくるさまはまさにボッティチェリの「ビーナス誕生」❗️衝撃のデビューと言えるでしょう。彼女は今作の演技で、イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の新人賞を獲得しました。
★パルテノペの「現在」を演じるのは、イタリアの名女優ステファニア・サンドレッリ
ヒロインの若き日がズブの素人で、老いた現在の姿を演じるのが、イタリアを代表する女優ステファニア・サンドレッリ⋯というのが、なんとも粋なキャスティングです。ヲタク的にステファニア・サンドレッリといえば、ベルナルド・ベルトリッチ監督の名作「暗殺の森」(1970年)❗️❗️❗️もう、もう、風雅、エレガンスを極めたような作品で、中でもステファニア・サンドレッリとドミニク・サンダが女同士で踊るタンゴのシーンは、映画史上語り継がれる名シーンです。ソレンティーノ監督、ベルトリッチのファンだと思うわ、絶対。

※女性同士、タンゴを踊るシーン(左⋯ドミニク・サンダ、右⋯ステファニア・サンドレッリ)。今思い出しても背筋ゾクゾクする(笑)
★色気ダダ漏れ、ゲイリー・オールドマン
パルテノペの人生に大きな影響を与える実在の作家、ジョン・チーヴァーを演じているのが、御大ゲイリー・オールドマン。彼自身が評するように、「物悲しくて酒に溺れている」初老の男を絶妙に演じています。彼は自らを俳優としては「ほぼ引退状態」と語っていて、その恬淡とした感じが、男としても盛りを過ぎ、半ば人生を投げ出したような作家の役にピタリとハマっています。
〜殺し文句に萌え〜
チーヴァーに恋したパルテノペが、朝の散歩を日課にしているチーヴァーに「ご一緒しても❓️」と尋ねるのですが、彼の答えは⋯⋯
お断りする。君の青春を一瞬も無駄にしたくない。
うっわーー、なんて殺し文句😍はなぢ出そう(笑)
映画「シドアンドナンシー」や「レオン」のように、野心や欲望で眼がギラギラしたような役を演じていた若い頃のゲイリーに沼オチしたヲタクだけど、「イケオジ・ゲイリー」の、虚無感から滲み出る色気にクラクラしましたよ。出番は少ないながら、圧倒的な存在感で観ている者に迫ってくるところは、「レオン」の伝説的ヴィラン、麻薬捜査官スタンを演じたあの頃とちっとも変わってないね(遠い眼)。
〜ヲタクの願い〜
近い将来の「完全引退」を仄めかしている昨今のゲイリー・オールドマン。サーの称号を授与されて、やるべきことはやった⋯⋯みたいな気持ちになっちゃったの❓️ゲイリー。1年に1本でもいい、カメオ出演でもいい、あなたの演技を観るのを何より楽しみにしているファンが、大勢いることを忘れないで。
★美と退廃の街⋯ナポリ
パオロ・ソレンティーノ監督の、故郷ナポリに対する激アツな愛が溢れんばかり。何よりも蒼く透明な海と抜けるような空。陽気に人生を謳歌する人々。⋯⋯しかし一方では、1970年代に街にまだ存在していた貧民窟の存在、そして当時アフリカで大流行し、ナポリを脅かしたコレラの恐怖、学生運動の激化、マフィアの抗争の果ての奇妙な儀式⋯⋯等々、ナポリという街に潜む闇の部分もきちんと描かれています。
ヲタクがどちらかといえば日本の映画より洋画びいきなのは、いながらにして海外旅行が楽しめる⋯⋯っていうのも主な理由の1つなんだけど、「パルテノペ」みたいに、街の魅力を余す所なく克明に描写されると、飛行機に飛び乗ってナポリに行きたい気持ちがムラムラと⋯⋯。なんか、逆効果だわ(笑)
★製作はサンローラン・プロダクション
製作を手がけたのはサンローラン・プロダクションで、そのクリエイティブディレクターを務めるアンソニー・バカレロが衣装のアートディレクションを担当したため、映画全編に、「革新的(ニューモード)」、「モダン」、「エレガンス」というイヴ・サンローランの美意識が散りばめられたような作品となっています。2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。配給会社は、近年数々の名作を生み出しているA24です。