オタクの迷宮

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映画『視える』レビュー:美と狂気が交錯する、アイルランド邸宅ホラーの傑作

 その夜、アイルランドの漆黒の闇の中に、何かが「視えた」──。

 

みなとみらいMark Isのシネコン「ユナイテッドシネマみなとみらい」にて、ゴシックホラー『視える』鑑賞。

 

 監督はアイルランドの新鋭ダミアン・マッカーシー。2024年のサウス・バイ・サウスウエスト映画祭のミッドナイターズ部門(ホラー映画の登竜門と言われる)で観客賞を受賞した作品だけあって、スタイリッシュな映像美と観客を恐怖へと誘う巧みな演出が際立つ作品です。


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★ざっくり、あらすじ

 舞台は森深いアイルランド郊外の邸宅(上から見ると中央に中庭のある回廊式の家。何かあっても逃げられないぢゃん…めっちゃ怖い😭)精神科医テッド(グウィリム・リー)の妻ダニー(キャロリン・ブラッケン)は1人、引っ越し準備のため泊まり込んでいました。そんなある夜中、扉を叩く音にダニーが恐る恐る扉上部の小窓を開けると、夫の精神病棟にいる重症患者オリン・ブールの姿が。片目をギラギラさせる彼の姿に思わず飛び退くダニー。オリンは「君は命を狙われてる。知らない間に殺人者が忍び込んでいるんだ。早く逃げて❗️」精神病者の妄想とも言い切れぬ彼の必死さに、思わず扉を開けようとするダニーですが……。

 ランプの明かりだけがゆらめく廊下を進むダーシーの手が、突然“何か”に触れる瞬間──思わず叫び声を上げそうに😅



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※妻を惨殺された悲劇の精神科医を演じるのは、『ボヘミアン・ラプソディ』でブライアン・メイを演じたグウィリム・リー。相変わらずイケメンや(笑)下の写真は、『ボヘミアン・ラプソディ』撮影現場にグウィリム(右)を激励に訪れたモノホンのブライアン・メイ

 

 1年後。その後ダニーは惨殺死体で発見され、オリンが容疑者として逮捕されました。(本当にオリンが犯人だったのか❓️)街で骨董店を営むダニーの双子の妹ダーシー(キャロリン・ブラッケン・二役)は姉の死に疑問を抱き、真相を探ろうと殺害現場となった邸宅を訪れます。彼女は全盲でしたが、物に触るとそれにまつわる様々な過去の出来事を透視できるという特異な能力の持ち主。邸宅には、テッドと恋人のヤナが住んでいましたが、2人は仕事で出かけてしまい、ダーシーは惨劇現場に1人取り残されてしまいます。果たして彼女が知った「恐怖の真実」とは……❗️❓️


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※双子の姉妹を演じるキャロリン・ブラッケンの怪演ぶりにも要注目❗️

 

★ゴシックホラーは「恐怖と美の融合」

 超常現象と「にんげん、怖い」のミステリーが非常にうまくブレンドされており、最後まで謎が謎を呼ぶスリリングな展開。

 

 ジャンルとしては、古いお城や邸宅を舞台に展開する「ゴシックホラー」に分類されるでしょう。ゴシックホラー・フリークのヲタクの持論は、「ゴシックホラーは美と恐怖の融合であるべき」😅文末に再掲した記事「夏の夜におススメ〜ゴシックホラー3選」で取り上げた『クリムゾン・ピーク』(2015年/ギレルモ・デル・トロ監督)、『ドラキュラ』(1992年/フランシス・フォード=コッポラ監督)、『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(2012年/ジェームズ・ワトキンス監督)、ブログ記事には書いていませんが『サスペリア』(2018年/ルカ・グァダニーノ監督)などが、その典型的な作品。鬱蒼とした森深く佇む邸宅で起きる惨劇、恐怖に震える絶世の美女、真っ白な雪を染める鮮血……。そう、あのエドガー・アラン・ポーの『アッシャー家の没落』をそのまま映像化したような世界観。本作もスプラッターな場面は極力避け、「見えないもの」や「音」で恐怖をジワジワ煽っていく(残酷場面はフラッシュバックのように一瞬映るだけ)、ホラーとして非常に上品な作りになっています。

 

 ラストの「オチ」もスタイリッシュで、そこにイギリスの作曲家リチャード G ミッチェルの『Now You Know』(もう、知ってしまったのね)のセンチメンタルなメロディが被って流れるのも◎❗️悲しい真実なら知らないほうが良かった……っていう物哀しい旋律が余韻を残します。

 

★恐怖の惨劇はアイルランドが舞台

 これ、舞台がアイルランドってとこが何と言ってもキモですわ。アイルランドはご存知のように先住民族ケルト人で、キリスト教が入ってくる前はドルイド教を信奉していました。ドルイド教多神教で、自然崇拝を基盤とし、神官や知識人を兼ねた「ドルイド」が宗教儀式や社会の指導を行い、絶対的な権力を握っていました。『視える』に見られる超常現象は、アイルランドならでは……って感じ。キリスト教の「神と悪魔の対決」とはちょっと違う、亡くなった人の想念が祟りを及ぼすドルイド的な輪廻思想。

 

 ヲタクはヨーロッパ赴任時代、アイルランドを旅したことがありますが、古代のお城の廃墟なんてそこここにフツーにあって(笑)ダブリンにある聖ミッチャン教会の地下納骨堂には当時の有力者の棺が多数納められていますが、破損した棺からはミイラ化した腕や足が飛び出ていて、その様子を『吸血鬼ドラキュラ』の作者ブラム・ストーカーは執筆時の参考にした……って言われてるくらい😅


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アイルランドには、こういう何か出てきそうな❓️(笑)お城や邸宅の廃墟がいっぱい

 

 ……とまあかように、アイルランドは『視える』のようなゴシックホラーの恰好な舞台と言うわけ。ドルイド信仰の“死と再生”の思想が、今作品が醸し出す恐怖の根底に流れている気がしてならないのは、ヲタクだけ❓️

 

 

 迫りくる闇の中に、まだ背後に何者かの気配を感じる…そんな後味の残る良質ホラー、全国僅か23館の限定上映なのは何とも残念で、ちまたではあまり騒がれていないのですが🥲お近くに上映館がある方はぜひ❗️

 

★『視える』が好きなゴシックホラー好きのアナタ、こちらの作品もどうぞ(笑)ヲタクが過去に書いた記事『夏におススメ〜ゴシックホラー3選』今は夏だけど(笑)きっと面白いハズ。


夏の夜におススメ🌃ゴシックホラー 3選🎃 - オタクの迷宮