海老名駅のシネコン「109シネマズ海老名」にて、『ブルース・スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』鑑賞。

★ざっくり、あらすじ
冒頭から、「我慢しろ」「強くなれ」「泣くな」と叫び続ける、所謂「トキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)」を誇示する父親から虐待を受けて怯えるブルース・スプリングスティーン少年。そんなショッキングなシーンから始まるこの作品。 長年に渡りブルースを苦しませ続ける、実の父親との悲惨な関係をフラッシュバックのように挟みながら、彼がいちアーティストとして、「売れる」ことを主眼とする周囲の圧力と戦いながら、自宅で録音した荒削りな「音」を貫き通し、彼の最高傑作と評されるアルバム『ネブラスカ』を完成させるまでの心象風景を描いたこの作品は、所謂アーティストのサクセスストーリーとは一線を画したものとなっています。
★ジェレミー・アレン・ホワイトの神演技
この映画の一番の見どころは、スプリングスティーンの内面世界を、深く掘り下げて演じたジェレミー・アレン・ホワイトの繊細な演技と言えるでしょう。アーティストの伝記映画と言えば、とにもかくにも演じる俳優の演技力と熱量が成功のカギを握っていると思うんだけど、ジェレミーのナリキリぶりはもう、100点満点……いや、120点ですっ❗️マジで。特に、成年期を迎えてなお、悩まされ続けたアメリカン・マチズモゆえに、一時は自死まで思い詰めた彼がそれを曲に昇華させ、魂をぶつけるように熱唱する『ボーン・イン・ザ・USA』のシーンは、涙なしでは見れません😭そして、年老いてすっかり弱ってしまった父親を複雑な表情でハグするシーンも…😭メソッド・アクターの典型とも言えるジェレミーの面目躍如❗️
今までこの種の映画の演者ベスト3は
第1位:『イングランド・イズ・マイン モリッシーはじまりの物語』のジャック・ロウデン(ザ・スミスのフロントマン、モリッシー役)
第2位:『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』のティモシー・シャラメ(ボブ・ディラン役)
第3位:『エルヴィス』のオースティン・バトラー(エルヴィス・プレスリー役)
……だったんだけど、今回めでたくジェレミーがジャック・ロウデンに次いで第2位に❗️(ゴメンねオースティン、ハリウッドイチの売れっ子をソデにして😂)……考えてみれば、この3作ってアーティストの表面的なサクセスストーリーではない、それぞれの魂の遍歴を描いたもの。結局、ヲタクってそういう作品が好きなんだな(自問自答 笑)

※偉大なアーティストたちをまるで憑依されたように演じ切ったジャック・ロウデン(上…モリッシー)、ティモシー・シャラメ(中…ボブ・ディラン)、オースティン・バトラー(下…エルヴィス・プレスリー)
ジェレミーと言えば、A24『フォーチュン・クッキー』の、孤独なアフガニスタン移民の女性の傷ついた心を癒す、寡黙な自動車整備士の青年役😍もう、あまりにもステキでヲタクの心に刺さりすぎて、一瞬で沼墜ち。今回のスプリングスティーン役でさらに深みにドッボーン❗️
アーティストの半生を描いた特殊な作品……と言うよりも、※フラナリー・オコナーを愛読し、「暴力」を憎みながらも自らの裡に在る暴力衝動に煩悶する内向的な青年が、父親との愛憎半ばする関係に悩みながらも、音楽の力によってそれを乗り越え、真の「大人」にしていく普遍的な作品で、世代を問わず全ての人の心に響く物語です。
ブルース・スプリングスティーンの生きざま〜あなたの人生にも必ず刺さるはず
お近くの映画館でぜひ❗️
※フラナリー・オコナー…人間の裡に内在する「獣性」と、その対極に位置する神の救済を対比して描いたアメリカの作家(1925〜1964)