「KINOシネマ横浜みなとみらい」にて、『落下の王国』鑑賞。
2008年の日本公開以来、一度も配信されることがなかった幻の名作が4Kデジタルマスターで堂々復活、ついにそのヴェールを脱ぐ❗️

★ざっくり、あらすじ
1915年。映画の撮影中に大怪我を負ったスタントマンのロイ(リー・ペイス)。彼は怪我のために半身不随となり、映画人としての将来に絶望、自死を考えるほど精神的に追い詰められていました。そんな彼が入院中の病院で出会ったのは、骨折で入院中の5歳の少女アレクサンドリア(カティンカ・アンタルー)。彼はアレクサンドリアを手なづけ、自殺するための薬を薬剤室から盗んでもらおうと考えつきます。その手段としてロイはアレクサンドリアに、6人の勇者が悪に立ち向かう壮大な冒険譚を語り始めます。その冒険譚はロイの心象風景を映したパラレルワールドであるため、物語は次第に彼の心の闇を反映して“影を落としていく”ような展開を見せますが…❗️
★リー・ペイス、一世一代のハマり役

※「超現実」の幻想世界に誰よりもハマる男、リー・ペイス
主役の自殺願望の男を演じるのは、リー・ペイス。リー・ペイスと言えば、真っ先に思い出すのが、映画『ホビット』3部作を通じて演じた、中つ国エルフの王スランドゥイル役。はいっ、日本でも爆発的な人気を博したレゴラス(オーランド・ブルーム)のお父さんです。『ホビット』のスランドゥイルって冷静沈着で、彼なりに種族や息子レゴラスのことを思っているのに、レゴラスには煙たがられて何だか切ない役。196センチという堂々とした体躯でめっちゃイケメンなんだけど、『ホビット』公開時は何せオーランド・ブルームの絶頂期、彼のキラッキラの眩しいオーラの陰に隠れて、日本では話題にもならなかった😭
ところがこの『落下の王国』ではどうでしょう。陰のある複雑な役どころを生き生きと演じて、凄いインパクト。2m近い長身はともすれば共演者によっては悪目立ちするきらいがあるけれど、『落下の王国』のような、「まるで万華鏡」のような絢爛豪華な世界観の中では、リー・ペイスの、まるで古代ローマ戦士のような堂々たる偉丈夫ぶりが絶対に不可欠❗️(断言)
★衣装担当は日本の至宝、石岡瑛子

衣装担当は、ハリウッドで活躍したアートディレクターの石岡瑛子。彼女はフランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』で、見事アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しています。『落下の王国』では、ターセム監督がCGに頼らず、13ヶ国のロケを敢行、実写で造型した映像美と、石岡瑛子の見るも鮮やかな衣装、リー・ペイスの演技が三位一体となり、唯一無二の作品となっています。

※アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した『ドラキュラ』の衣装の数々。
★大人のファンタジーたる所以は…
「大人のファンタジー」とも称される本作。自暴自棄になった主人公のロイが、自らが創作した荒唐無稽なストーリーを通じ、やはり過酷な境遇で必死に生き抜く少女アレクサンドリアと心を通じることによって魂を救済していく展開は、映画によって日々のストレスを癒し、リアルな世界に立ち向かう力を得ている私たち現代人の心情にも、どこか通じるような気がします。ターセム監督が紡ぎ出す“万華鏡のような色彩と光の世界”は、現実の喧騒で摩耗した心をそっと抱きしめてくれる──そんな優しさすら感じるのです。
煩雑な日常に疲れているそこのアナタ❗️
さあ共に行こう、「映像の魔術師」ターセム監督が紡ぐ絢爛豪華な『落下の王国』へ一一。
ここからは映画の結末に関する重要なネタバレを含みますので注意❗️↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
★ターセム監督の溢れる映画愛
アレクサンドリアとの心の交流によって自死願望から立ち直ったロイはスタントマンとして無声映画界に復帰します。ラストに流れるのは、1900年初頭、バスター・キートンやチャップリン、ハロルド・ロイドらの、それこそ命を賭けたアクションシーンの数々。それを見た時にヲタクは、ターセム監督が一切CGを使わず、全て実写で撮影した本当の意味を思い知ったのです。怪我も厭わず、時には命すら賭けて映画という芸術を創り上げた先達たち。彼らに対するターセム監督の、溢れるような愛とリスペクト。私たちは彼らが創造した数々の優れた作品群によって、今日もまた、時に辛い人生を「生き抜く」勇気を貰っている…❗️

※みなとみらいはすっかりクリスマス仕様