Netflix発の話題作『10DANCE』は、観る者の視線と感情を静かに支配してくる映画。
Netflixの『10DANCE』を観てからと言うもの、主役を演じる町田啓太の、隠微…とも言える男の魅力に眩惑されてしまったヲタク😅

Netflix発の話題作『10DANCE』は、競技ダンスという極限まで身体を管理された世界を舞台にした、主人公のダンサー2人(町田啓太✕竹内涼真)の愛と支配の物語です。
『10DANCE』の中の町田啓太は、かの有名な文豪・谷崎潤一郎が、名著『陰翳礼讃』で認めた「日本古来の陰翳の美」を、その存在そのもので具現しているかのよう。
谷崎は『陰翳礼讃』の中で、全てを煌々とした白日の下にさらけ出す西洋文化とは違い、日本文化の粋は、和風建築の黒光りする柱や漆器の艶、行灯の滲むような薄明にこそあると語っています。
『10DANCE』は、ラテンの血を引く自由奔放なダンサー(竹内涼真)と、幼少期から社交ダンスの帝王となるべく育てられた天才ダンサー(町田啓太)の、愛と闘いの物語。竹内涼真の場合、ハバナの燦々とした陽光が振り注ぐシーンが多いのですが(それがまた、彼の艶めいた褐色の肌によく似合う)その一方で、町田啓太の登場シーンはほぼ夜であることに気づきました。それがそのまま、演じる2人の対比-----
竹内涼真=陽・外への開放
町田啓太=陰・内なる抑圧
へと繋がって行くことに。

全てを飲み込んでいく夜の杳がりは彼の、白皙の肌を否が応でも際立たせているのです。ヲタクはふと、谷崎潤一郎がやはり『陰翳礼讃』の中で、西洋紙と白唐紙の違いについて語っているくだりを思い出しました。
<同じ白いのでも、西洋紙の白さと奉書や白唐紙の白さとは違う。
<西洋紙の肌は光線を撥ね返すような趣があるが、奉書や唐紙の肌は、柔かい初雪の面のように、ふっくらと光線を中へ吸い取る。
ああそう❗️
感情の昂りを抑圧する強固なストイシズム、暗闇から浮き上がる白皙の顔(かんばせ)、計算し尽くされた起居動作---------彼はまさに白唐紙の美しさ。町田啓太という陰翳を纏った稀有な役者の「魔力」が、『10DANCE』の官能世界に、まるで墨の色がじわじわと滲んでいくように侵食していく。
こんなささやかな発見に、密かにほくそ笑むヲタクなのでした――しばし、彼の映る画面から目を離せないまま。