オタクの迷宮

海外記事をもとにしたエンタメ情報から、映画・ドラマ・舞台の感想、推し活のつれづれまで── ヲタ視点で気ままに綴るエンタメ雑記ブログ。 今日もどこかで、ヲタクが迷走中。

inter alia ――その他すべてのことの中で、母であるという選択 NTLive『インター・エイリア』感想」

横浜線鴨居駅近くのシネコン「109シネマズららぽーと横浜」にて、NTLive(ナショナル・シアター・ライブ…英国の人気舞台を映像化して、世界中の映画館で上映する試み)『インター・エイリア』鑑賞。

 

◆「インター・エイリア」の意味

 まずは題名になっている「インター・エイリア(inter alia)」ですが、ラテン語で「とりわけ」「中でも」「その他のことの中で」という意味で。特に契約書や法律分野で、多くの事柄の中から特に重要なものを例示する際に使われます。「i.a.」と略されることもあり、転じて、現代英語では、働く女性が仕事と家庭生活を両立させる中で、多くの「その他のこと(家事、育児、心の負担など)」をこなしている状況を象徴する言葉としても使われています。 

 

 まさにこの現代的用法から生まれたNTLiveの舞台は、理屈ではなく、“身体と心に刺さる舞台”であり、ヲタクにとっては過去の痛恨の出来事をまざまざと思い出すきっかけになったのでした。

f:id:rie4771:20251230100307j:image

★ざっくり、あらすじ

 ヒロインのジェシカ・パークス(ロザムンド・パイク)は、法曹界の古き因習改革を目指す聡明なロンドン刑事裁判所の判事。一方、無類のカラオケ好きという気さくな人柄で、家事に仕事に家族のサポート…と目まぐるしい毎日を送っていました。

 

 そんなある日、ジェシカを絶望の淵に追い込むような衝撃の出来事が起こります。なんと最愛の一人息子のハリー(ジャスパー・タルボット)がパーティで、同級生をレイプしたかどで逮捕されてしまったのです。

 

★優秀な職業人であると同時に良き妻、良き母であれ…という呪縛

f:id:rie4771:20251230143132j:image

 

 ハリーが幼少期、公園で彼を遊ばせながら仕事の電話をしている間、ちょっと目を離した隙に、ハリーが行方不明になったことがありました。(どのくらい目を離してた❓️私は母親失格ね、ダメな母親)と自分を激しく責めながら息子を探し回り、やっと見つかった息子を抱きしめて号泣するロザムンド・パイクの演技には、仕事をしながら子育てをした経験のある女性なら、胸が締め付けられることでしょう。

 

 ハリーの行方不明事件がきっかけとなり、「仕事も、家事も、夫婦関係も、子育ても完璧にこなさなければ」というジェシカの生真面目さは益々加速、今日も裁判の合間に「探してるシャツがないんだよ❗️」とイラつくハリーの電話に必死に答え、帰ればスーツ姿のまま料理を作りアイロンがけをし、夜は夜で、夫の要求に偽りのオーガズム演技で応えるのでした😭

 

 判事という仕事柄、ハリーには特に性的ハラスメントを避けるよう機会を見つけては教育してきたジェシカ。そんな彼女が、よりにもよってハリーがレイプ事件の加害者として逮捕されたことを知った時の驚きと絶望は----------。

 

 テーマは重いですが、「子育てあるある」がコミカルに描かれているシーンも多々あり、客席からは度々笑い声が。

 

---------そしてジェシカの必死な姿を観ながらヲタクの脳裏には、忘れかけていた、いや故意に心に封印していた「あの出来事」が蘇ってきたのです。

 

★心に封印していたあの出来事

 ヲタクは夫の仕事上の都合で、娘たちが4歳と2歳の時にベルギーの田舎町に引っ越しました。娘たちは近くの現地校に通うこととなり(社会保障の整ったベルギーでは、2歳から公立の保育園も無料なのです)、ヲタクはそれまで出産・育児で中断していた実務翻訳の仕事を再開しました。当時はまだパソコンなどはなく、原稿作成はワープロの時代。出来上がった原稿をFederal Expressで翻訳会社のアメリカ支局に送ることになりました。久しぶりの仕事再開に胸躍らせたヲタク。

 

 -----------しかし、ことはそうスムーズには運びませんでした。

 

 娘たちは慣れない教育環境に馴染めず、心配した保育園や学校の先生からヲタクはしょっちゅう呼び出され😅、また冬は殆んど陽が照らず、氷点下10℃まで下がる厳しい気候に頻繁に風邪を引いて熱を出す日々。結局、足りなくなった時間を夜中に仕事して取り戻すという日々が続きました。

 

 締め切りも押し迫ったある日、長女は風邪を引いて熱を出し、学校を休みました。徹夜でやれば明日のFederal Expessの第1便には間に合うか…と、頭の中で計算したものの、思わず「なんでこんな時に熱なんか出すのよ」と呟き、その瞬間、自らの身勝手さに愕然としました。子供たちだけでなく、ヲタクもまた心身ともに限界に来ていたのかもしれません。

 

 結局ヲタクはこの日を境に新たな仕事は断り、長い長い仕事休みに入ったのですが----------

 

★『インター・エイリア』ヒロインの決断は----❗️❓️(ここからはネタバレが含まれます、注意)

f:id:rie4771:20251230143229j:image

 

 本作の舞台は、ハリーが同級生からレイプのかどで告訴されてから怒涛の展開を見せます。女性を尊重することを繰り返し説いてきた筈の息子が実は、相手が酔ったことにつけ込んで事に及んだことを知った時の彼女の絶望はいかばかりだったでしょうか。真実を見極めたいとハリーに詰め寄るジェシカに、自らの社会的地位を失うのを恐れる夫から、「ハリーが自分の行為を自ら認めない限り、有罪にはならない。判事の立場を忘れて母親になれ❗️」という残酷な言葉を浴びせられ、揺らぐジェシカ。

 

 救いようのない展開に、しかし、一筋の光が。息子のハリーがジェシカに「僕は取り返しのつかないことをして、相手の子を傷つけた。罪を認めて自首したい」と告白したのです。そして「これから警察に行く。ママついてきてくれる❓️」と…。もうこの場面で、ヲタク号泣😭

 

ジェシカに言ってあげたい。

あなたが仕事に、家庭に、必死で頑張ってきたことは決して無駄じゃなかったよ。

あなたの変わらぬ愛があったからこそ、息子は過ちを素直に認めることができた。

法律の世界に生きてきたからこそ、息子の決断を、母親の盲愛ではなく、正しく判断し、認め、受け入れることができた。

あなたは立派なお母さんであり、素晴らしい職業人よ❗️と---------

 

このことでジェシカはきっと、裁判所判事というキャリアは失うかもしれません。しかしラストで、暗い公園の中探し回っていたハリーを見つけるシーンに、母子の多難な未来の先の一筋の光を見たのはヲタクだけでしょうか❓️

 

◆今日のオマケ〜情緒回復してくれたオースティン

f:id:rie4771:20251230153008j:image

 『インター・エイリア』素晴らしい(…けどちょっぴり重い😅)舞台にボーッとしてTOHOシネマズから階段を降りてきたら、な、なんとららぽーと横浜の出口にブライトリング(スイスの老舗時計メーカー)のアンバサダーを務めるオースティン・バトラーがぁぁぁ。思わずスマホでパチリ😍

 

今日ららぽーとで観て良かった〜。

 

来年2026年1月9日(金)には、ダーレン・アロノフスキー監督とタッグを組んだクライム・アクション映画『コート・スティーリング』も公開されるもんね❗️新年早々オースティンとデート(笑)

楽しみだわ。