オタクの迷宮

海外記事をもとにしたエンタメ情報から、映画・ドラマ・舞台の感想、推し活のつれづれまで── ヲタ視点で気ままに綴るエンタメ雑記ブログ。 今日もどこかで、ヲタクが迷走中。

歪んだ真珠に魅せられて―― 「バロック的美」を堪能するミステリー映画5選

 2026年、明けましておめでとうございます❗️ブログ「オタクの迷宮」も、開設から早や8年目を迎えました。

 

 今まで明確に文章にしたことはないのですが、ヲタクのブログのテーマは「バロック的な美」(歪んだ真珠)。

 

 ヲタクの中で、「バロック的美」とは-------------
整っていない感情が、抑圧し切れず暴発した瞬間。
私はきっと、壊れかけた人間、狂気に囚われた人間が最も美しく見える、その一瞬に惹かれている。

 

 新春初めの記事は、「バロック的美」を堪能できるミステリー映画5選をご紹介することにしました。え❓️そんなの正月に相応しくないって❓️へへ-----そこがそれ、「オタクの迷宮」が「オタクの迷宮」たる所以。

 

「正しく整った物語」よりも、
壊れかけた感情に美しさを感じてしまう当ブログの読者様なら――

 

きっと、この5本は刺さるはず。

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※元旦、家の近くの神社から眺めた富士山。記事の異端性と違いすぎる神聖なる美しさ😂

 

狩人の夜(1955年 アメリカ)

 〜聖と俗が反転する瞬間の恐怖〜

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 銀行強盗で盗んだ金を家に隠したと、死刑囚から聞き出した男(ロバート・ミッチャム)。彼はあろうことか福音伝道師になりすまして死刑囚の家庭に入り込みます。彼は未亡人を惨殺、真実を知ってボートに乗って逃げ出した子供たちを悪魔の形相で追い詰めますが---------。

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 聖なる伝道師の善なる仮面の下に隠されたサタンの恐怖と、演じるロバート・ミッチャムの淫靡な、色悪的魅力。モノクロの画面が、光と翳、聖と俗のバロック的な「歪んだ美」を余すところなく描き出す。聖句と殺意、白黒の極端な明暗、バロック絵画の大家、カラヴァッジョ的キアロスクーロの映像化とも言えるでしょう。

〈『狩人の夜』は、U-NEXTで配信中〉

 

◆赤い影(1973年 イギリス・イタリア合作)

 〜色彩が死を告げる、感覚の迷宮〜

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 生と死の匂いが立ち込める古都ヴェネツィア。考古学者のジョン(エリオット・グールド)が古い教会で仕事中、スライドに赤ワインを零してしまい、スライドをふくと、教会のイスに座る女性の赤いレインコートから血のようなものが流れ出します。胸騒ぎを感じたジョンが外へ飛び出し、外で遊んでいた子どもの様子を見にいくと、赤いレインコートを着て遊んでいた娘が池で溺死していました。このショッキングなオープニングから、ジョンとその妻ローラ(ジュリー・クリスティ)は、悪夢とも現実とも定かではない異空間に入り込み--------。

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 石造りで音の響く古い町並み。川からひきあげられる死体。川べりに投げ捨てられた裸の人形。血を連想させる深紅の色。全てが「象徴」として働き、私たち観客を恐怖の迷宮へと引き摺り込む。

 

 原作はダフネ・デュ・モーリアの『Don't look now 今は見てはだめ』

〈『赤い影』はU-NEXTで配信中〉

 

薔薇の名前

(1986年 フランス・イタリア・ドイツ合作)

 〜信仰が狂気へと反転する宗教バロック

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 14世紀、中世北イタリア。鬱蒼とした山奥に佇むベネディクト系修道院で起きた修道士連続惨殺事件。犯人は修道院の関係者、つまり信仰に身を捧げた者。聖書の「ヨハネ黙示録」に擬えた難事件に、フランシスコ会修道士ウィリアム(ショーン・コネリー)が挑む。果たして彼が暴き出した背筋も凍る真実とは-------❗️❓️

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 信仰✕知✕禁忌の三位一体世界がスクリーンに広がる。修道院という閉鎖的宇宙で、理性がいかに脆く崩れ、暴力に反転したのか❓️宗教的バロックの極北とも言える作品です。

 

 原作は歴史、文学、哲学、記号論が融合した、「知の迷宮」とも称されるイタリアの小説家ウンベルト・エーコの同名小説。

 

〈『薔薇の名前』は、Amazonプライムビデオで配信中〉

 

クリムゾン・ピーク(2015年)

〜愛という名の支配装置〜

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 天涯孤独となった女性(ミア・ワシコウスカ)が謎めいた美青年(トム・ヒドルストン)と恋に堕ち、結婚後イギリスにある彼の古く広大な館で暮らし始めますが、彼女の身の回りには次々と怪奇な出来事が起き始めます。恐怖に追い詰められた彼女は、次第に錯乱状態に陥っていきますが、夫はおぞましい秘密を隠し持っており…。

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 アポロンのような美青年の仮面の裏に潜む歪んだ本性。しかしそれを知ってもなお、ヒロインは彼の支配から逃れることはできない。青年を演じた当時のトム・ヒドルストンが不吉なまでに美しく、彼の住む広大な館そのものがまるで生き物のようにヒロインを捕らえて離さない。

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 題名のクリムゾンピークとは「深紅の山頂」という意味ですが、ラスト、真っ白な雪の上に滲んで広がる鮮血を見た時、その真の意味に私たちは戦慄する。

〈『クリムゾン・ピーク』はU-NEXTやAmazonプライムビデオなど、主な配信サイトで観ることができます〉

 

◆セブン(1995年)

〜救済なき終末美〜

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 人間性の歪み、理性が崩れ落ちていく瞬間を描いたバロック・ミステリーの極致とも言える作品。2人の刑事(ブラッド・ピットモーガン・フリーマン)が、キリスト教の「七つの大罪」に擬えた猟奇連続殺人の謎を解くうち、自らが無意識のうちにその罪を犯していることに気づいた時の言いしれぬ恐怖。

 

 鬼才デヴィッド・フィンチャーが、救いなき終末美に満ちた現代の黙示録を大スクリーンに描き出す❗️

〈『セブン』は、U-NEXTやAmazonプライムビデオなど、主な配信サイトで観ることができます〉

 

いかがでしたでしょうか❓️「バロック的美」を堪能できるミステリー映画5選。少々ニッチなベスト5でしたが、お正月、こんなマニアックな過ごし方もおススメかも❓️(笑)