アカデミー賞前哨戦とも言われるクリティクス・チョイス・アワード主演女優賞受賞という快挙を成し遂げたジェシー・バックリー。
日本ではまだ「知る人ぞ知る」存在かもしれませんが、映画・舞台・ミュージカルを自在に行き来し、役ごとにまったく別の顔を見せる稀有なカメレオン女優です。

そこで今回は、受賞を記念して、ヲタク目線で選ぶ
「ジェシー・バックリーの魅力が爆発している映画5選」を紹介します❗️
初見の人にも、既に沼の人にも刺さるラインナップでお届けします😉
今回の5本は--------------
◆演技力
◆役柄の振れ幅
◆“普通の女性”の奥に潜む狂気や情念
この3点が特に際立つ作品を基準に選びました。
①ロスト・ドーター(2021)

おすすめ度:★★★★★(入門編)
若い頃娘2人を置いて家出し、不倫相手の元に走った苦い記憶に今も支配される女性・レダ(オリヴィア・コールマン)が主人公。ジェシーは、ワンオペ育児と夫の無理解から追い詰められ、不倫に走るものの満たされず、罪悪感に苛まれる若き日のレダを熱演。名優コールマンに一歩も引かぬ演技で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。
②もう終わりにしよう(2020年)
おすすめ度:★★★★★(オタク向け)

真冬の田舎道を走る1台の車。主人公のジェイク(ジェシー・プレモンス)は、付き合って僅か6週間の彼女(ジェシー・バックリー)と彼の実家に向かっています。しかしジェイクは、何かに導かれるように現実とも妄想ともつかぬ異世界に入り込んでいき-----------。
名前すら定かではない、その時々で表情や声音や立ち振舞が微妙に変化する「彼女」。ジェシーは不思議な空気感で、チャーリー・カウフマンの「答の出ない悪夢」のような不条理ミステリーのヒロインを演じ切りました。
③MEN 同じ顔の男たち(2022年)

おすすめ度:★★★★☆(耐性ある人向け)
離婚話がもつれた末、事故死した夫の遺体を目撃してしまったヒロイン(ジェシー・バックリー)。傷心を癒やすために借りた田舎のカントリーハウスでしたが、そこで出会う男たちは皆同じ顔をしていて、しかもその誰もがこれ見よがしに性器を見せつけるなど、セクハラ・パワハラ行為をしてきて------------。
アレックス・ガーランド監督による「トキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)」をテーマにしたホラー。ジェシーの、怯えきった「受け」の演技が素晴らしく、それがラストの血塗られた惨劇を際立たせています。ラストはかなりショッキング、閲覧注意😅
④ワイルド・ローズ(2018年)
おすすめ度:★★★★★(情緒、完全崩壊)

名作揃いのジェシー出演作の中でも、これ、もう、ヲタクが大好きな、大好きな1本❗️
カントリー歌手を目指しながら、ふとした過ちで前科者になってしまったシングルマザーが、未来へ向かって踏み出すストーリー。特にラスト、彼女の人生の選択に涙腺完全崩壊😅特にジェシーのパワフルな歌声には、ただただ圧倒されるばかり。
彼女の気さくで「熱い」性格に1番近い役柄だったんじゃないかな❓️
⑤ハムネット(公開待機中)
おすすめ度(期待値MAX)

今回のクリティクス・チョイス・アワード受賞対象となった作品。かの有名な文豪シェイクスピア(ポール・メスカル)の謎に包まれた半生を妻のアン・ハサウェイ(ジェシー)の視点から描いたもの。夫妻は幼い息子ハムネットを病で亡くしており、それがシェイクスピアに4大悲劇の1つである『ハムレット』を書かせた-------と言われています。
ジェシーは大きな喪失感を抱えながら天才を支えた1人の女性を、持ち前の演技力でどう演じたのか❓️
これはもう、観る前から「勝ち」確定、アカデミー賞主演女優賞本命の予感しかない(笑)
🎬そして番外編:静かなジェシー・バックリーを知るなら——BBC『戦争と平和』(2016年)
映画で見せる激情や狂気とは対照的に、
ジェシー・バックリーの静かな演技が強く印象に残るのが、BBC制作のドラマ『戦争と平和』(トルストイ原作)です。
彼女が演じるのは、ヲタク激推し、ジャック・ロウデン演じる伯爵家子息ニコライ・ロストフの妻、マリヤ・ボルコンスカヤ公爵令嬢。控えめだけれど裡には静かなる情熱を秘め、友情から始まった愛を確実に育てていく堅実な女性を演じました。
この作品でのジェシーは、感情を爆発させることも、観る者の涙を誘う大仰な芝居をすることもありません。
ただ、声を張らず、感情を押し殺し、視線と呼吸だけで存在する。
後年の
『ロスト・ドーター』や
『MEN 同じ顔の男たち』で見せる、
あの内側から噴き出すマグマのような演技を知っているからこそ、
この「地味」「抑制的」「控えめ」な役が、逆にとても貴重に感じられるのです。

※BBCドラマ『戦争と平和』のジェシー(左)とジャック(右)。ジェシーのほうは落ち着いた印象であまり現在と変わりませんが、ジャックは初々しくって少年ぽくて--------ヤバい(笑)
◆そして、これから
長年「海外エンタメ通信」を書いてきましたが、
ここまで着実にキャリアを積み重ね、
今まさに花開いている女優は、そう多くありません。
ここから先の賞レース、そして新作群で、
ジェシー・バックリーが一体どこまで行くのか。
その歩みを追えること自体が、今はただ楽しみです。