オタクの迷宮

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世代は移ろい、家は続く――『ダウントン・アビー グランドフィナーレ』が描いた英国の矜持

横浜駅直結のシネコン「Tジョイ横浜」にて『ダウントン・アビー グランドフィナーレ』鑑賞。

 

ダウントン・アビー』(ダウントン・アビー、原題:Downton Abbey)は、2010年9月26日から2015年12月25日までイギリスのITVで放送された大人気歴史ドラマです。

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 ドラマの登場人物や世界観を愛し、その魅力にどっぷりと浸かっているファンたちはダウントニアン (Downtownian)と呼ばれ、2015年にドラマが終了してからもその熱は冷めやらず😅2019年に映画『ダウントン・アビー』、2022年にやはり映画『ダウントン・アビー 新たなる時代へ』が製作され、ついに本作の『グランドフィナーレ』で、題名の通り「華麗なる結末」を迎えたわけです。

 

★ざっくり、あらすじ

 1930年夏、イギリス社交界の頂点“ロンドン・シーズン”。ダウントン・アビーの当主である伯爵夫妻を初め、長女メアリー(ミシェル・ドッカリー)や次女のイーディス(ローラ・カーマイケル)ら、クローリー家の人々が、ロンドンの劇場でノエル・カワードのミュージカル『ビター・スウィート(ほろ苦い人生)』を観劇している場面から本作品は幕を開けます。

 

 映画の第2作目で、ダウントン・アビーのシンボルであった伯爵の母バイオレット(マギー・スミス)を失い、悲しみに暮れたクローリー家の人々。彼らにもやっと平穏な日々が訪れたかに見えましたが、劇場の外で長女メアリーは新聞記者たちに取り囲まれます。なんと彼女は密かに進めていた夫(マシュー・グード)との離婚訴訟をマスコミにすっぱ抜かれてしまったのです。

 

 当時の英国では離婚は罪。裁判を経てしか離婚は不可能。特に上流社会においては大スキャンダルでした。そのためクローリー家はロンドンではもちろん、ヨークシャーに帰還してからも地元の社交界からは爪弾きにされ、おまけに屋敷の修繕費用の当てにしていた伯爵夫人コーラの母親譲りの遺産も、弟ハロルドが投資に失敗してほぼ使い果たした…という大事件が持ち上がり…❗️

 

★テーマは「継承」と「世代交代」

 …と、相変わらず問題続きのダウントン・アビーですが、問題が起きれば起きるほど燃え上がり、当主の家族をはじめとして、主従が一致団結して乗り越えるのが伯爵家の常(笑)

 

 今回は世の荒波を乗り越えていく上で、旧き世代が新世代のパワーにその役目を譲り渡していくさまが笑いと涙のうちに語られます。

 

 しかしその「世代交代」が、例えば下剋上的な革命行為によるものではなく、従来のライフスタイルや先達の知恵を活かしつつ、伝統を守っていこう…という方向に向かうのがいかにも英国の歴史ドラマらしい展開になっています。ヲタクは『ダウントン・アビー』を見る度に、明らかに特権階級である王族や貴族たちを伝統のシンボルとして尊重し、今にいたるまで存続させてきた英国という国の懐の大きさみたいなものを感じるんですね。(作品中では、伯爵が三女の結婚相手として、使用人でしかもアイルランド独立運動の活動家であるトム(アレン・リーチ)を一族に迎い入れた経緯等が象徴的でした)清濁併せ呑む大らかさと強かさで、一介の小さな島国が一大帝国を築き上げた底力を、『ダウントン・アビー』に感じるヲタクなのでした。

 

★そして未来へ

 当主ロバートが長女のメアリーに家督を譲る際のスピーチは涙なしでは見られないでしょう。世間の眼を跳ね返し、その才覚と胆力で女当主としての第一歩を踏み出すメアリー。しかし私たちは知っている。わずか9年後、第二次世界大戦という大きな嵐が彼らを襲うことを。

 

 しかしきっと、メアリーをはじめダウントン・アビーの人々はその時もまた結束して、国家の存亡を賭けた危機に立ち向かっていくに違いありません。ラストに映し出されるバイオレットの肖像画が、そう私たちに語りかけているような気がしました。甘くて苦い(ビター・スィート)なり、我らが人生。しかし覚悟を決めてそれに立ち向かった時、必ず活路は開けると----------。

 

★トーマス・バローのその後

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 ドラマ、映画を通じてヲタクが1番気になっていたのは、クローリー家の元使用人で、下僕の下積みから執事にのし上がったトーマス・バロー(ロブ・ジェームズ=コリアー)。

 

 ドラマでは執事にのし上がるためにあらゆる手を尽くす陰謀家で呆れるほどの「スネ夫くん」だった彼😅しかしその後、自身が同性愛者であることからアイデンティティに苦しんでいたことが判明(当時同性愛は犯罪でした)、ヲタクのようなヒネクレ女子の同情を一身に集めることに(笑)

 

 ところが前作の映画『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』(22)でハリウッドの人気俳優ガイ・デクスター(ドミニク・ウェスト)と恋に落ち、彼の付き人になって新天地を求めてアメリカへ。今回はガイがノエル・カワードのロンドン公演に主演したため、随行して、「かつて居場所を見つけられなかった」ダウントン・アビーに凱旋❓️するバローが描かれます。使用人だった頃の彼とは打って変わって、穏やかで満たされた彼の表情に、人としての幸せはまさに「自己肯定感」にある------と改めて認識したヲタクでありました。

 

はいつか家を去り、時代は必ず次へと移っていく。


それでも、受け継がれる意思と記憶がある限り、
ダウントン・アビーは終わらない。


甘くて苦い人生を抱きしめながら、
私たちはこの物語に、静かな拍手を送ろう。

 

★本日の小ネタ⋯ノエル・カワード

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 本作品中、ダウントン・アビーに新たな風を吹き込む重要人物として登場するのが、実在の俳優・作家・脚本家・演出家であり、「人生は上辺だけのパーティ」だとしてヴィクトリア朝の厳格さを笑い飛ばし、作詞・作曲、映画監督も手がけた多彩な粋人ノエル・カワード。演じるアーティ・フラウスハンがイメージぴったりで、今作を一層華やかな印象にしています。

 

 ヲタクは今月、ノエル・カワード作のソフィスティケートな喜劇『プレゼント・ラフター』(主演・稲垣吾郎)を観劇予定なので、ドンピシャのタイミングでありました(笑)

 

👇️『ダウントン・アビー 新たなる時代へ』レビュー👇️

https://www.rie4771.com/entry/2022/10/03/%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%BE%EF%BD%9E%E3%80%81%E5%B8%B0%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%9D%A5%E3%81%9F%E3%82%88%E2%9D%97%EF%BD%9E%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%80%8E%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB