U-NEXTにて、英国ミステリーのミニシリーズ『マーロー殺人倶楽部の事件簿(原題:The Marlow Murder Club)』(全4話…原作ロバート・ソログッド)鑑賞。
英国屈指の美しい街マーローで起きた、身も凍る連続殺人事件。元考古学者の素人探偵(なんと77才❗️)、ジュディス・ポッツ(サマンサ・ボンド)が、考古学で鍛えた分析能力を駆使してシリアルキラーに挑戦する❗️

最近ヲタクは、刺激の強いドラマに少し疲れていることに気づきました。
今日の私は、アバンギャルドなぶっ飛んだ話じゃない(笑)“安心して観られる物語”を求めているんだって。
★英国コージー・ミステリーの典型
澄み渡る青空と、目に染みるような木々の緑。それを背景に、「マーロー橋」やオール・セインツ教会の高い尖塔がそびえ、テムズ川では水鳥たちが優雅に泳ぐ美しい英国の街、マーロー。そんな静かで平和な街である日、美術商の男が銃殺された。それも額に銃口を突きつけられて引鉄をひかれるという、「処刑」のような残酷な形で。しかも使われたのは、ナチス・ドイツの旧式の銃でした。
美術商の隣人で、偶然事件時の銃声を聞いてしまった元考古学者のジュディス(サマンサ・ボンド)は、「こんな平和な街で殺人事件なんか起こるはずがない。自殺かも」などと謎理論を展開する地元警察を尻目に、ふとしたきっかけで知り合った仲間たち(司祭の妻のベックス(カーラ・ホーガン)と、シングルマザーで犬の散歩代行業を営むスージー(ジョー・マーティン)と共に独自の捜査を始めます。果たしてジュディスたちが恐れていた通り、第2、第3の殺人が❗️しかも彼らの口の中には聖書の言葉が刻まれたメダリオンが押し込まれていて-----。
★ドラマの見どころ
その1 マーローの絶景

1番の見どころは、英国でも屈指の絶景を誇るマーローが舞台になっていること。ヲタクは数十年前のヨーロッパ赴任時代、休暇を利用して大好きな英国とアイルランドを何度も旅しましたが、マーローは行きそびれた😅なので、今『マーロー殺人倶楽部の事件簿』を見て、遅まきながらバーチャル英国旅を楽しんでいます。英国ミステリーは、ロンドンなど都会だけでなく、地方都市を舞台にしたドラマが幾つもあって(例えばストラットフォード・アポン・エイボン『シェイクスピア&ハサウェイの事件簿』、オックスフォード『刑事モース』、ブライトン『警視グレイス』など)楽しい💗
その2 ミステリーとユーモアのバランスが絶妙なコージー・ミステリー🥳
ミステリーチャンネルさんのキャッチフレーズ、そのまま使わせてもらっちゃいました(てへ😅)
はい、コージーミステリーとは、cozy(気楽な、居心地のいい)という言葉そのままに、バイオレンスな描写はできるだけ避け、観終わった後はほっこり(つまりイヤミスじゃない)するミステリー作品で、探偵役は素人でたいていフツーのオバサン(笑)、事件も都会じゃなくて小さな田舎町で起きることが多いです。アガサ・クリスティのミス・マープルものがその典型で、最近では『お菓子探偵ハンナ』、『アガサ・レーズン』(都会から英国のコッツウォルズ村に越してきた中年女性アガサが主人公)などが大人気です。
本作の主人公ジュディス・ポッツは77歳らしいので、コージーミステリーの中でも最高齢なんじゃ…。しっかしテムズ川をマッパで泳ぐのが日課だったり、悪漢と格闘したり…最近のシニアは恐るべし😅ヲタクも負けてらんないわ(笑)
その3 名探偵たちとオトボケ❓️警察の攻防戦
素人探偵大活躍のコージー・ミステリーあるあるで、事件を担当する地元の警察当局は、きまってあまり地頭がよろしくなく😅捜査も後手後手にまわり、レストレード警部(シャーロック・ホームズシリーズのスコットランドヤードの警部。ホームズからは「無能だが熱心」のお墨付き 笑)やジャップ警部(エルキュール・ポアロの相棒的存在。足で稼ぐもやはり真相に辿りつけず、最後はいつもポアロの「灰色の脳細胞」に頼ることに…)も真っ青の迷走ぶりです。まあただ、『マーロー殺人倶楽部の事件簿』の主人公たちは明晰な頭脳やばつぐんの推理能力を持っていてもあくまでも一般ピープル。逮捕権を行使したり、立ち入り禁止区域に入れないので、ストーリーの展開上、彼女たちの代わりに「足で稼いでくれる、しかし推理能力はイマイチ」な警察官たちが必要になってくるというわけ。
★なぜ今、コージーミステリーなのか❓️
今コージーミステリーが大人気な背景には、謎解きの面白さと共に、若い世代の「スローライフ志向」があると言われています。世界情勢が不安定な今だからこそ、フィクションの世界くらいは暴力描写や社会問題の深掘りより、安心感で癒されたい。
本作品でも、主人公のジュディスが暮らす古い英国式の邸宅や骨董品、司祭夫人ベックスの焼く美味しそうなケーキやアフタヌーンティー、ルノワールの『舟遊びをする人たちの昼食』を思わせるような川べりのボート・シーン、そして事件をきっかけに友人になるジュディス、スージーのユーモア溢れる会話のシーンが度々登場します。
★ヒロイン・ジュディスが投げかける価値観の転換

※ヒロイン・ジュディスを演じるサマンサ・ボンド。人気ドラマ『ダウントン・アビー』では、グランサム伯爵ロバートの妹で、因習に囚われない貴族ロザムンド役で出演していましたね。
また、本作の主人公ジュディス・ポッツは77歳。
しかも元考古学者という、人生をかけて「過去を掘り起こしてきた」女性です。
年齢的には“保護される側”に見えがちな世代。
けれど彼女は違う。
自分の頭で考え、警察の“常識”に疑問を投げかける。
ここに、今この時代の私たちシニア世代が感じているある種のカタルシスがあるのではないでしょうか。
若さや体力ではなく、豊富な人生経験と知性で勝負する、年老いても自立したヒロイン。
これは単なるコージーミステリーのステロタイプを超えた、「年齢を重ねることの肯定」を描いた人生ドラマでもあるような気がします。
こんな寒い日は、美味しい紅茶を片手に楽しもう。
美しい英国の街並みを眺めながら、77歳の名探偵と共に謎を解く時間を。