これは、“作られた女”が、自分の人生を奪い返し、真実の愛を見つける物語。
相鉄線ゆめが丘駅前のシネコン「109シネマズゆめが丘」で、『ザ・ブライド❗️』(主演 ジェシー・バックリー&クリスチャン・ベール、監督 マギー・ギレンホール)鑑賞。
★衝撃のオープニング
1930年代アメリカ、シカゴ。『フランケンシュタイン』の作者メアリー・シェリー(ジェシー・バックリー)が、警察のスパイとしてマフィアの情婦となったアイダ(ジェシー・バックリー)に「取り憑く」衝撃的なシーンから始まります。シェリー夫人に「取り憑かれた」アイダは街を牛耳るマフィアのボス、ルピーノに暴言を吐き、手下に階段から突き落とされて殺されてしまいます。
同じ頃。自らの醜さを恥じて世間の目を避けて暮らしてきたものの、ついに孤独に耐えかねた人造人間フランケンシュタイン(クリスチャン・ベール)は、ユーフォロニウス博士(アネット・ベニング)に、女性の遺体を蘇らせて自分の伴侶を創ってくれと頼み込みます。フランケンシュタインと博士は夜中に教会の墓地からアイダ遺体を掘り起こし、「花嫁」を創造しますが------。
★1930年代に生きる女性に、19世紀の文豪が憑依した❗️❓️
殺された女性アイダは、マフィアに搾取され続ける愛人たちのためにボスを摘発しようとする正義感の強い女性。志半ばで彼女は殺されてしまうわけですが、そんな彼女に、小説『フランケンシュタイン』の作者であるメアリー・シェリーが憑依する-----という、ビックリ設定(笑)
厳格なヴィクトリア朝の慣習から才能を抑圧され、しかも同性愛的傾向を持つ夫の詩人パーシー・ビッシュ・シェリーと、周囲の複雑な人間関係に翻弄れ、生涯忍従を強いられたメアリー・シェリーがアイダを使って、その怨念を晴らそうとするわけです。
『フランケンシュタイン』の作者メアリー・シェリーこそ、創造し、奪い、そして復讐する“もう一人の怪物”だったのかもしれません。
★ジェシー・バックリーとクリスチャン・ベール、演技派2人の化学反応
1930年代アメリカのミソジニー社会に中指を突き立てる「ザ・ブライド(メアリー・シェリー)」のパンクな貌に時折、薄幸なアイダの素顔が滲む複雑なキャラを演じ切るにはやはり、ジェシー・バックリーほどの演技巧者でなくては無理だったでしょう。

そして相手役のフランケンシュタインには、ハリウッドきっての演技派クリスチャン・ベール❗️今作のフランケンシュタインは、推しの俳優の古い新聞記事を後生大事に持っていたり、アイダに誘われてもさりげなくかわしたり、衣服のシミも自分で落とすようなジェントルマンで、母性本能をくすぐる、不器用で優しい怪物(笑)。生活費を稼ぐために一生懸命噴水の下の小銭を拾い集めるいじらしい姿に、アイダ同様ヲタクもホロッときちゃいました🥲
どちらかと言えばエッジーな、イケイケ演技が得意な印象のあるベールですが、今作ではジェシー・バックリーに華を持たせる「受けの演技」に徹していて、いっそ清々しい(笑)
★『ロスト・ドーター』から『ザ・ブライド❗️』へ

「女性は生まれながらに母性を持っている。否、持つべきなのだ」
という母性神話のタブーに、Netflixの『ロスト・ドーター』で果敢に切り込んだマギー・ギレンホール。そして彼女の言わんとするところを余すところなく見事に体現したヒロイン役のジェシー・バックリー。
インタビューで2人は-------
人生でマギーに出会えたことは、世界一の幸運だと思うんです。同性の仲間としてだけでなく、芸術的な共同制作者として、そして死ぬまで共に成長し続けると確信できる存在としてね。
------ジェシー・バックリー
(俳優選びの基準について)
アーティストとして、役を演じることで自分自身について、人間について深く考えてくれる人が必要でした。わたしと一緒に何かを学んでくれるような俳優たちと仕事がしたかったんです。ジェシーはわたしにとって間違いなくそんな存在です。
-------マギー・ギレンホール
とそれぞれ語り、芸術作品を創造する上でのパートナーとして、ひいては人生のかけがえのないソウルメイトとして、『ロスト・ドーター』の撮影時からさらに、お互いの絆が深まったことを感じているようです。
★マギー・ギレンホールの複雑な経歴
マギー・ギレンホールはハリウッドの女優出身。父親が監督、母親が脚本家、弟が俳優のジェイク・ギレンホール…と芸能界のサラブレッドとして育ち、自身も英国の王立演劇学校で学んだ経歴を見ると、所謂正統派の舞台女優を目指していたのでは…❓️と推察されます。
しかし、彼女が自身の女優歴で最も注目を浴びたのが、『セクレタリー』(2002)という、サイコでミソジニストな上司(ジェームズ・スペイダー)にオフィスで調教されるドM秘書という、トンデモ作品。ヲタクは当時ジェームズ・スパイダーのファンだったから観たけど、内容的にはかなりモヤモヤしたのを覚えてる😅
監督に転身後の彼女に、この作品について聞く人はいないし、彼女自身も一切語らないところを見ると、もしかしたら彼女にとって『セクレタリー』は黒歴史…なのかもしれません。

※上の写真…『ザ・ブライド❗️』撮影現場でのマギー・ギレンホール監督(左)とジェシー・バックリー(右)
下の写真…『セクレタリー』のマギー・ギレンホール
--------でも、芸能界のサラブレッドで王立演劇学校出身にも関わらず女優として注目を浴びた作品が『セクレタリー』で、その後監督に転身するという複雑な経歴を考えた時、彼女の人生の様々な体験が全て滋養となって、『ロスト・ドーター』や今作品『ザ・ブライド❗️』のような大輪の花を咲かせたのだと思わざるを得ません。
監督は、ハリウッドの古典的作品『フランケンシュタインの花嫁』(1935年)を観て、タイトルロールにも関わらず、演じたエルザ・ランチェスターの出演時間はわずか2分、しかも口がきけない設定に強い衝撃を受けたのだとか。死んでしまったのに、見たこともない怪物の花嫁として人身御供のように強引に蘇らされた女性が、一体何を感じ、何を考えていたのか❓️
それが、壊された存在が美しく反逆する物語-----『ザ・ブライド❗️』が生まれたきっかけだそうです。
海外の映画評ではかなり賛否両論みたいですが^^;、ヲタク的には、圧制に対する反逆と女性解放のテーマ、美と暴力が共存するヒロインのキャラ、陰鬱なゴシック・ホラー的映像美、ラストに花咲く真実の愛の描写---------という点で、絶対的「賛」の立場であることを付け加えておきましょう(笑)
史上最高にカッコよくて、パンクでアバンギャルドなダークヒロインの誕生を、あなたもその眼で目撃してみて❗️
★今日の小ネタ⋯ジェイク・ギレンホールとピーター・サースガード
フランケンシュタインの長年の推し俳優(今作品のフランケンシュタインは映画オタクなんです 笑)ロニー役を監督の実の弟ジェイク・ギレンホール、裁判の証人であるアイダと「寝てしまった」情けない刑事役を監督の夫であるピーター・サースガードがそれぞれ演じています。

※ワールドプレミアに豪華キャストが勢揃い❗️右端がピーター・サースガード、左端がジェイク・ギレンホール。
インタビューで、今作品の資金集めにかなり苦労したと語っていたマギー・ギレンホール。夫と弟が一肌脱いだのかな❓️(笑)