昔むかし、若かりし頃のヲタクが胸ときめかせた名画たち。
記憶の中に棲むそんな名画たちも、今見返すと再び新たな魅力をもって蘇る。
今日ご紹介するのは、『幻影師アイゼンハイム』(2006年)。公開当時ヲタクは主演のエドワード・ノートンの大ファン💗大スクリーンに広がる、19世紀末のウィーンを舞台にした豪奢な宮廷絵巻と美男美女(エドワード・ノートンとジェシカ・ビール)のロマンスに酔いしれたものです。-------しかし20年経った今見返してみると、当時気付かなかった作品の魅力を再発見❗️
今日はそんな見どころポイントについてお話ししましょう。
★『幻影師アイゼンハイム』のあらすじ
19世紀末、オーストリア・ハンガリー帝国末期のウィーン。手品好きの家具職人の息子エドゥアルド(アーロン・ジョンソン)と公爵令嬢ソフィは身分の違いを越えて惹かれ合い、密かに愛を育んでいました。しかしそれは、大人たちの知るところとなり、2人は無理やり引き離され、エドゥアルド少年は石もて追われるが如く村を去るのでした。
それから15年。大掛かりな奇術を駆使する幻影師(イリュージョニスト)アイゼンハイムとして再びウィーンに姿を現したエドゥアルド(エドワード・ノートン)は、たちまちのうちに大人気を博し、一躍街のヒーローに。
そしてある日、運命の人ソフィ(ジェシカ・ビール)と再会するエドゥアルド。公爵令嬢の彼女は既にオーストリア皇太子レオポルド(ルーファス・シーウェル)との婚約を目前に控える身でしたが、2人の恋が再び燃え上がるのに時間はかかりませんでした。密かに逢瀬を重ね、ついに全てを捨てて国外逃亡を決意する2人。しかしソフィから別れを告げられたレオポルド皇太子は激昂し、王家の剣を手に逃げる彼女を追いかけます。
そして翌朝、ソフィは無残な刺殺体となって川に浮かんだのでした。冷たくなった彼女を掻き抱き、号泣するエドゥアルド。レオポルド皇太子に対する復讐に燃えるエドゥアルドは、果たして--------❗️❓️

★作品の見どころ
世紀末のウィーンが舞台…ということで、クリムトやエゴン・シーレの「エロスとタナトス」的な映像美が全編を流れてはいるものの、そのテーマは世紀末芸術の退廃主義とは全く別のところにある-----とヲタクは感じました。
死に体とは言え、オーストリア・ハンガリー帝国という巨大な、言わば「化け物」に向かって、その知恵と胆力とイリュージョンの技術だけで立ち向かった孤高のヒーロー、幻影師アイゼンハイム。今作品は彼の、虚構と真実の境界を踏み越えていく、危うい英雄綺譚と言えるでしょう。最後の、あっと驚くどんでん返しに、あなたは惜しみない拍手を送るに違いありません。
彼が操る幻影とは、果たしてただのトリックなのか。
それとも——虚構で塗り固められた帝国そのものを暴くための“真実の装置”だったのか。
ハリウッドの映画界でも、気骨あるリベラル派として知られるエドワード・ノートン。我が推しセバスチャン・スタンが、製作総指揮・主演を務めた映画『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』で若き日のトランプ大統領をイジり倒し😅ハリウッドからハブられる中、「『アプレンティス』は素晴らしい作品だ」って、たった1人声を上げてくれたノートン様。セバスタファンのはしくれとしてこのご恩は一生忘れません(笑)
——そんな彼の、常に“信念を貫く姿”が、アイゼンハイムという役にもリアルな深みを持たせているように感じました。
★今日の小ネタ
①皇太子レオポルド
名前は変えていますが、明らかにモデルはオーストリア・ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の一人息子、ルドルフ皇太子でしょう。専制的な父に反発、父の退位を狙う野心家として描かれています。実在のルドルフ皇太子は30歳の若さで、17歳の男爵令嬢マリーと心中して死亡します(マイヤーリンク事件)が、暗殺説もあり、その死は今でも謎に包まれたまま。
今作品中ではヴィラン的存在、レオポルド皇太子は目的を遂げるためなら手段を選ばない策略家で、激昂すると女子にも暴力を振るう冷酷な男に描かれているものの、彼の破壊衝動さえも、滅びゆく大帝国の断末魔のように感じられるのは不思議なものです。全編を貫く幻想的な映像美も相まって、その印象をより強くしているのかもしれません。
②アーロン・テイラー=ジョンソンが…❗️

作品中、アイゼンハイムの少年時代を演じたのが、昨年MCUの『クレイヴン・ザ・ハンター』でタイトルロールを演じたアーロン・テイラー=ジョンソン。公開当時は繊細で華奢な美少年(当時15歳)だったアーロンが、20年を経て、現在のような筋肉バッキバキの偉丈夫になるとは、誰が想像したでしょうか(笑)
映画ってやっぱりステキ。-------だってどんなに時を経ても、その人の最も美しい瞬間を永遠に留めておけるんだもの。