オタクの迷宮

映画・ドラマ・舞台レビュー、ケルト文化、滅びの美学、推し活のつれづれまで── 観て、感じて、考える。 "好きなモノ・人"についてしか語らない偏愛のブログ。そして今日もどこかで、ヲタクが迷走中。

イ・ジュニョクという演技者──"知の力"が生み出すカメレオン俳優

 最近は韓国俳優イ・ジュニョク氏の沼に首まで浸かっているヲタクですが😅今日は優れた演技者・表現者としての彼の魅力を深掘りしてみたいと思います。

f:id:rie4771:20260703193224j:image

※素顔のイ・ジュニョク氏。ファンがつけたニックネームはミルキー・バニラ・エンジェル(笑)『わたしの完璧な秘書』で共演したハン・ジミンに、「これまで共演した男優さんの中で、私より色白だったのはこの人だけ」って言われてましたよね😅

 

★ヲタク的イ・ジュニョク論

 作品ごとに「本当に同じ人!?」と思わせるカメレオン演技を繰り広げるイ・ジュニョク氏。

 

​ 映画『犯罪都市 NO WAY OUT』での20kg近いバルクアップや、『良いが悪い、ドンジェ』『わたしの完璧な秘書』での端正なスーツスタイルなど、体型のコントロール(外見のビルドアップ)がまず目を引きますが、彼の役者としての真の凄さは、「声のトーン」「視線の動かし方」「呼吸の速度」といった、より内面的なディテールへの緻密なアプローチにあると言っても過言ではありません。

 

★イ・ジュニョク氏本人のインタビューから紐解く演技の工夫

​1.キャラクターの「呼吸」と「発声」のチューニング
​ジュニョク氏は、役柄によって声の出し方や喋るスピード、さらには「呼吸の浅さ・深さ」まで計算して変えていると言われます。

f:id:rie4771:20260703074202j:image

 『秘密の森』『良いが悪い、ドンジェ』のソ・ドンジェ: 出世欲が強く、常に周囲の目を気にしているドンジェ(気にしすぎて、自ら墓穴を掘るのはご愛嬌 笑)。言葉数が多く、まくし立てるようなテンポで喋りまくります(上司からは「口から先に生まれた男だな」と陰口を叩かれている😅)

 

 声のトーンを高めにし、あえて「軽い男」「余裕のない男」としての呼吸感を出すことで、憎めない"小者感"をリアルに表現しています。

f:id:rie4771:20260703074515j:image

犯罪都市 NO WAY OUT』のチュ・ソンチョル: 圧倒的ヴィラン、100%サイコパスを演じたこの作品では、地声よりもさらに低く、お腹の底から響くような「重低音の声」を作り上げました。あのバリトンの重低音を出すためには、20キロのバルクアップは必須だったんでしょうねぇ……。ボイトレもしたらしいですが、呼吸もわざと深くゆっくりとさせることで、主演のマ・ドンソクにも匹敵する巨漢ぶりと相まって、相手に底知れぬ恐怖を与える「怪物」の空気を醸し出しています。

2. 「瞳のハイライト」と視線のコントロール

 イ・ジュニョク氏に関する以前のブログ記事でも度々言及していますが、ヲタクが演技者としてジュニョク氏が天才だと思うのはまさにここ❗️


​ 彼自身、インタビューで役柄の心理状態に合わせた視線の配り方について度々言及しています。

f:id:rie4771:20260703075513j:image

※『ラブ・セラピー』(上)と『わたしの完璧な秘書』(下)視線は殆んど動きません

 

ラブ・セラピー』『わたしの完璧な秘書』など、韓流ロマコメのイケメンエリート役: 視線がまっすぐでブレず、相手の言葉をじっくり聞きながら、知性と冷静さを感じさせる「穏やかな瞳」を作っています。眼から力をすっかり抜いて、ちょっと"Blank Eyes"っぽくしてますよね。イェ・ジェウク(『ラブ・セラピー』)やユ・ウノ(『わたしの完璧な秘書』)って、優しくて誠実なんだけど、怒りや憎しみを抱いたことが無い、喜怒哀楽を超越した仙人みたいな雰囲気がある。時折垣間見せる無機質な感じが、ステロタイプの韓流イケメンヒーローとは一線を画しています。

f:id:rie4771:20260703075714j:image

※視線キョロキョロ、かと思えば突然目を剥いたり、忙しいソ・ドンジェ。『犯罪都市 NO WAY OUT』同様、眼力めっちゃ入ってるシーンなので、微かに眉間にシワ寄ってます(笑)

 

小悪党やヴィラン:逆に、計算高い小悪党的なソ・ドンジェ役では、しょっちゅう視線をあちこちに泳がせていて落ち着きがないこと甚だしい(笑)ドンジェというキャラの面白いところは、時々検事としての良心や正義感に目覚める"覚醒の瞬間"があるんですが😅その時だけはロマコメヒーローの顔になるんですよ❗️ジュニョク氏、サスガ芸が細かいのう…ってヲタクはいつも感心してます(笑)

f:id:rie4771:20260703083141j:image

 一方で『犯罪都市 NO WAY OUT』では、ロマコメヒーロー同様視線は動きませんが、眼にめっちゃ力入ってますね。かなり眉間にシワよってますもん(笑)感情が抜け落ちたような狂気の眼光を常にキープ、私たち観客に底知れぬ恐怖を植え付けました。


​3. メソッドアクティングとは対極の「冷静且つ客観的なキャラクター分析」
​ 彼は、役に自分を完全に没入させる(憑依型)メソッド演技の対極とも言える、「自らが演じるキャラクターが、特定の状況でどう動くのが一番効果的に表現できるか」を徹底的に客観視し、緻密に計算して組み立てるタイプの役者です。

 

「自分自身とキャラクターは完璧に切り離し、客観的に観察する」と本人も語るように、台本を読み込んでその人物の生育歴等を考察、「なぜその行動をとるのか」というロジックを完璧に構築するそう。

 

-------はい、イ・ジュニョク氏は、ゲイリー・オールドマンから始まって、ジャック・ロウデン、セバスチャン・スタン、マイク・ファイスト、アンドリュー・スコット…と、ヲタクがいつも沼落ちする"表現を知性で組み立てる俳優"の系譜にバッチリハマってるんです(笑)

 

 

​ ビジュアルの変化(体重の増減やヘアスタイル、衣装)は、彼にとって「そのキャラクターの精神状態になるための最後の仕上げ」に過ぎないのかもしれません。

 

 だからこそ私たちは、同じイ・ジュニョクが演じていると知っていても、「本当に同じ人なのか?」と毎回驚かされるのです。

 

知性と分析力を土台に、そこから豊かな感情表現を生み出す——。


 演技の土台にある"知の力"こそが、彼の作品ごとに見せる「全く違う顔」を生み出す最大の武器なのでしょう。