オタクの迷宮

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素晴らしく非日常~オペラ『サムソンとデリラ』

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WOWWOWで、3時間にもわたるMETライブビューイング『サムソンとデリラ』(サン・サーンス作曲)一挙放送❗なんという贅沢、なんという非日常❗

 

  METライブビューイングとは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の舞台公演を世界中の映画館に生中継する『Metropolitan Opera Live in HD』のこと。日本の場合は残念ながらライブではなく数週間遅れの録画で上映されますが、それでも…ねぇ❗❓

 

今回WOWWOWライブチャンネルで放送されたのは、2018年10月20日に上演された、当代きってのメゾソプラノエリーナ・ガランチャ(デリラ)と、ロベルト・アラーニャ(サムソン)の、もはや伝説の舞台。

 

  このオペラは旧約聖書に登場する怪力の英雄サムソンの逸話を題材にしたもの。キリスト生誕前のパレスチナユダヤの神ヤハウェを信仰するヘブライ人たちは、ペリシテ人の圧政に苦しんでいました。鎖を引きちぎって人としての自由を手に入れようと民衆を励ますサムソン。そこに登場するのが、ペリシテの稀代の妖女デリラ。彼女はその肉感的な魅力でサムソンを陥落し、ワナに嵌まった英雄はペリシテ人たちの囚われの身に…。

 

  ライブビューイングだと、まるで映画と同じで、歌い手さんたちの細かい表情まで見えますから、ガランチャが最高の歌い手であると同時に、不世出の名女優であることがよくわかります。幕間のインタビューでも彼女自身が話していましたが、デリラを単なるファム・ファタール(男を翻弄し、破滅させる悪女)ではなく、もし違う時代、違う条件でサムソンと出逢っていたら、恋は成就していたのではないか…?と、観ているこちら側にふと思わせるところが心憎いし、ガランチャ流なんですよね😉彼女は、歌唱技術は勿論のこと、演じる役柄を深く理解・分析し、時には大胆な新解釈を試みることでも有名な人。一方、天才ガランチャをがっちりと受け止める相手役のテノールロベルト・アラーニャはクラブの歌手からオペラに転身した経歴を持つ変わり種で、人間的な弱さと優しさを併せ持つ役をやらせたら天下一品❗やはりMETライブビューイングで上映されたビゼーの『カルメン』のドン・ホセ役はその最たるものでしょう😍(カルメン役はやはりガランチャでした。ゴールデンコンビですね✨)

 

  『カルメン』同様、『サムソンとデリラ』も、使われる言語はフランス語。信仰と民衆の為に命を捧げようと誓うサムソンに、神ではなく私を見てとかきくどくデリラ。有名なアリア「あなたの声に私の心も開く」(Mon coeur s'ouvre à ta voix)など、濃密な大人の愛のオペラにはフランス語が良く似合う(笑)サムソンが何度も「ジュテーム❗」って繰り返す箇所があるんだけど、背中ゾクゾクしちゃう(笑)

 

  3幕、反逆者のリーダーサムソンを捕らえたペリシテ人が、ダゴンの神殿で勝利を祝うのですが、半裸の男女が延々と踊る祝祭のダンスが…なんというか、異教的で、官能的で、エキゾチックで…。まるでモダンダンスの1つの作品のよう👀見応えがあります❗

 

 ゴージャスでスタイリッシュな舞台装置と衣装も必見❤️芸術のあらゆる要素を内包した、確実に異次元にトリップできる舞台でございました❗


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