オタクの迷宮

海外記事を参考に映画・ドラマの最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を勝手気ままに呟いたりしているオタクのブログです。

And Yet(それでもなお)……は魔法の言葉〜Netflix『セットアップ〜ウソつきは恋のはじまり』


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 当代随一のスポーツ記者キルステン(ルーシー・リュー)のアシスタントを勤めるハーパー(ゾーイ・ドゥイッチ)と、投資は天才的でも社会通念はお構いなし、パワハラも日常茶飯事のリック(テイ・ディグス)のアシスタント、チャーリー(グレン・パウエル)。同じビルで働く2人は、仕事のアシストばかりか、上司の子供の宿題や私的な誕生祝いの手配までさせられ、連日深夜まで働き詰め、プライベートな時間なんてほとんど皆無。そんなある日の深夜、ビルのエントランスで互いのボスの夜食の宅配を奪い合った2人は、自分たちが同じ立場にいることに気づきます。心身共にキテる2人は、お互いのワーカホリックパワハラ上司をくっつけて恋愛に発展させれば、自分たちもこの奴隷生活から少しは開放されるのでは❓…と考え、作戦を立てて実行し始めますが……。


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※宅配の夜食を奪い合うという最悪の出逢いをしたハーパーとチャーリーですが…。

 

 上司をくっつけようと悪戦苦闘するうちに互いが気になり始める…というのはロマコメの王道だけど、それと同時に、彼ら自身もまた自分の仕事や恋愛、生き方を真摯に見つめ直すことになる、そのプロセスが胸アツ❗

 

 「昔自分が読んで感動したような記事をいつか自分も書きたい」と思って、ジャーナリズム業界に飛び込んだハーパー。でもいつのまにか、カリスマ記者であるキルステンへの憧れが高じて、自分の滅私奉公がキルステンに良い記事を書かせるのだと無意識に思い込み、忙しさを理由に記事を書く努力も止めてしまった。キルステンとの自己同一化が生まれてしまったんですね。それは裏を返せば、ハーパーが心理的に、自分自身を矮小化し始めたことに他なりません。チャーリーはそんなハーパーの本心を見抜いて、「それは良くないな。君は最低の部下だ」とズバリ言います。あ〜、良いですねぇ。性差を超えて、的確な仕事のアドバイスをくれる異性の友達ってなかなかいないんだよな。(この段階ではまだ、2人はお互いの相性の良さに全く気付いていない 笑)あ、もちろんハーパーも言われっぱなしじゃ、ありません。その後チャーリーのセレブ志向なスノッブさをズバリ指摘して、ちゃんとリベンジ(笑)


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※おサレなレストランのどんな豪華な食事より、気の合う人と頬張るピザの方が100倍美味しい。イマドキのロミオはピザの箱を片手にベランダへ駆け上る(笑)

 

 主役2人の爽やかなロマンスと並行して、チャーリーとゲイのルームメイトであるダンカン(ピート・デヴィッドソン)、ハーパーとベッカ(メレディス・ハーグナー)の同性同士の友情がしっかり描かれているところも◎❗

 

 ベッカが自分の結婚披露パーティーで、ダンナになる人の欠点をいろいろあげつらった後に、「And Yet…(それでも…ね)」と言い出し、「昔おばあちゃんが言ってた。それでも愛するものなのよ。人柄で好きになって、人柄に関わらず愛する……ってね」と結ぶんですが、これがラストのクライマックスでズバリ効いてきます。
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※ハーパーのオニ上司キルステン役にルーシー・リュー(『キル・ビル』『チャーリーズ・エンジェル』)。御年54才とは信じられない、驚異のエイジレス。近年ハリウッドではアジアン旋風が吹き荒れていますが、彼女はフロンティアですよね。

 

 おサレでパンチの効いた会話、「脚本家誰❗❓」って思って調べたら、米脚本家組合(WGA)が2021年に発表した「21世紀の最も優れた脚本101選」にも選ばれた映画『ブックスマート〜卒業前夜のパーティーデビュー』(監督 オリヴィア・ワイルド)の脚本家の1人、ケイティ・シルバーマンだった❗

 

 仕事に恋に低気圧に少々疲れ気味のアナタ、ぜひこの『セットアップ〜ウソつきは恋のはじまり』を見てスッキリしましょ🎵

『フュリオサ』でディメンタス将軍を演じるクリス・ヘムズワース


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 検査で「アルツハイマー病を患う可能性が通常の人の約10倍」との結果が出て、俳優業を一時休業か!?と取り沙汰され、ファンを心配させていたクリヘム。しかし、『マッドマックス〜怒りのデスロード』の前日譚『フュリオサ』の公開が間近となり、久々にインタビューに応じて元気な姿を見せてくれました❗


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 『フュリオサ』について、以前ヲタクが当ブログで紹介した記事では、クリヘムは若き日のイモータン・ジョーを演じる……って書かれていたんですよ(^.^;ガセネタだったのか。…でも、ガセネタで安心した(笑)

 

 最近では、ちょっと屈折した演技派とか、カメレオン俳優がもてはやされるけど、クリヘムは、古くはゲーリー・クーパージェームズ・スチュワート、最近ではハリソン・フォードケヴィン・コスナーなど、「ザッツ・ヒーロー❗」な役こそ似合うと思っているから。長い間ソーを演じてきた反動で、ラスボスのイモータン・ジョー役に挑戦しようとしているのかな…とは思ったけど、正直ちょっと違和感があったんだよね。 


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※『マッドマックス〜怒りのデスロード』のイモータン・ジョーのヴィジュアル。若き日のジョーって言ったって、これじゃねぇ…(笑)

 

 クリヘムが演じるのは、独裁者イモータン・ジョーが支配するシタデルの覇権を奪おうと反乱を起こす暴走族集団「バイカー・ホード」のカリスマリーダー、ウォーロード・ディメンタス将軍。若き日のフュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ)と共に荒れ地を駆け抜け、シタデルを目指します。

 

 うん、暴走族のカシラなら納得よ❗(笑)広大な砂漠地帯をバイクで爆走するクリヘム……萌えるわ😍

公開が楽しみです🎵

 

トム・ホランドがハリウッドの「踊るレジェンド」フレッド・アステアに

 
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 トム・ホランドが今度は、戦前戦後のハリウッドのミュージカルスター、フレッド・アステアを演じるというニュースが❗トムによれば、「フレッド・アステアの人生とキャリアに対する祝祭的な意味を持つ作品」だそうで、『パディントン』のポール・キングがメガホンをとります。(ポール・キング監督の新作は、『チャーリーとチョコレート工場の秘密』に登場する工場主ウォンカの若き日の冒険譚を描いた『Wonka』(主演・ティモシー・シャラメ

 

 フレッド・アステアは1930〜1950年代、その華麗で洗練されたダンスで大人気だった人。いかに年寄りのヲタクでもあまりにも昔過ぎて(笑)彼の戦前の映画(『トップハット』『艦隊を追って』など)は見たことないんですが、オードリー・ヘプバーンが初めてミュージカルに挑戦した『パリの恋人』で相手役を務めていたのは記憶にあります。映画『ザッツ・エンターテイメント』でも、往年と変わらない軽やかなステップを披露していました。踊っているどの瞬間を捉えても、身体の線が綺麗に伸びていてとても上品。基本、タップダンスでしたよね。

 

 アメリカのミュージカルって、『ウェストサイド・ストーリー』以来、社会的な問題や政治的なテーマを内包したものが多くなり、ダンスも、感情が爆発した結果としてやむにやまれず身体が動き出す……ってパターンが多くなった気がしますが、それ以前のミュージカルは、明るく楽しく、夢があって、ダンスも「あらまほしき型」がちゃんとあって……。アステアは、そんな「古き良きハリウッド・ミュージカル」の代表的なスターですね。私生活でも愛妻家で誠実で、紳士的な人だったようです。


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フレッド・アステア

 

 爽やかな好青年、いかにも人の良い感じが滲み出ているトム・ホランドには、ぴったりな配役じゃないでしょうか❓恋愛面でも、フレッド・アステア同様、一途そうだしね(笑)幼少時はYMCAでヒップホップを習っていたというトム。彼の筋の良さを見た先生にミュージカルに挑戦することをすすめられ、9歳でミュージカル『ビリー・エリオット』(ジェイミー・ベル主演の映画『リトル・ダンサー』をベースに制作されたミュージカル)のオーディションを受けて見事合格したそう。『スパイダーマン』のアクションを初めとして、身体能力の高さと柔軟さは証明済み。ヲタクは、「リップシンクバトル」でゼンデイヤと対決した時のトムの動画見たけど、『雨に唄えばジーン・ケリーのダンスも上手かったし、何よりリアーナの曲に合わせた女装姿のダンスが凄かった(笑)


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ゼンデイヤをギャフンと言わせた「リップシンクバトル」トムのダンスシーン。

 

 はてさて、あらゆる面から見てアステア役にはハリウッド一適役そうなトムですが、ハリウッド史上最高のダンスのヴィルトゥオーゾ、「踊るレジェンド」アステアのダンスをどれほど魅惑的に再現してくれるのでしょう❓(アステアって、ダンスが超有名だけど、歌も一流だったらしい)

 

 今頃、ゼンデイヤと2人で歌と踊りの特訓してたりして(笑)


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フレッド・アステアって、最初はジンジャー・ロジャースっていう女優さんと組んで人気爆発、ゴールデンコンビだったんですよ。(2人のダンスシーンは、You Tubeでも見ることができます)

 

トムもゼンデイヤと練習してるよー、絶対(断言)

フローレンス・ピュー✕アンドリュー・ガーフィールドのロマコメ『We Live in Time』

 
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スタジオ・カナル製作のロマコメ『We Live in Time』で、絶賛共演中のアンドリュー・ガーフィールドとフローレンス・ピュー。作品の内容は、「愉快で、感動的で、観客が感情移入できるようなリアルなラブストーリー」とのみ、告知されていたのですが、またちょっぴり追加が。ちょっぴりですけど(笑)

 

 ヒロインのアルムート(フローレンス・ピュー)は、ウィットに富んだ性格だが少々暴走気味(?)のシェフ。一方のトビアスアンドリュー・ガーフィールド)は最近離婚したばかり。そんな2人の偶然の出逢いが彼らの人生を大きく変えていく。恋に落ちて、マイホームを建て、家族になった2人。しかしその後、厄介な真実が明らかになり……。


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 まっ、ぶっちゃけロマコメってストーリーはみな似たようなもんなんで(^.^;その作品の質を決定するのは、会話の面白さと、演者がその心情をいかに繊細に表現するか……にかかってると思うんですね。その点監督は、『第88回アカデミー賞作品賞、脚色賞、主演女優賞(シアーシャ・ローナン)にノミネートされた『ブルックリン』(2015年)のジョン・クローリーだし、主演はシアーシャに匹敵するフローレンス・ピューとアンドリュー・ガーフィールド❗これは期待しかないっしょ。

 

 主演の2人、アカデミー賞受賞式でも共にプレゼンターとして登場、仲良さげな様子を見せていましたし、撮影中のオフショットを見ても、普段割りと挑戦的な言動や表情が特徴的なフローレンスがとても柔らかな表情を見せているので、演技の相性はとても良さそう😍

 

 アンドリュー・ガーフィールド推しのヲタクとしては、今までシリアスで悲劇的で、見ていてちょっと辛い役(ヒーローもののスパイダーマンでさえ)が多かったから、ロマコメは大歓迎(笑)

 

 

どこもかしこもエロい〜パク・チャヌク監督の『別れる決心』

 
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Amazonプライムビデオで、パク・チャヌク監督の『別れる決心』鑑賞。

 

 うーーん、さすがパク・チャヌク監督、どこもかしこもエロい映画です。それは例えば、『お嬢さん』の時の、分かり易い、そのものズバリのエロさじゃない。禁じられた恋に堕ちていく刑事(パク・ヘイル)と被疑者の女性(タン・ウェイ


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※刑事を禁断の愛の迷路に誘い込む中国人女性役のタン・ウェイ。素顔の彼女は映画とは正反対、自宅に訪れたチャヌク監督とパク・ヘイルを自家菜園の野菜を料理してもてなす気さくな女性だそう。

 

 長年、韓国の移民局に勤務し、趣味が山登りという一人の中年男が登攀の途中で滑落死。事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)は、被害者と親子ほど年の違う妻ソレ(タン・ウェイ)に疑いの眼を向けます。ソレは中国から密航した不法滞在者で、他の人々が本国に強制送還される一方、移民局に勤務する夫の図らいにより韓国国籍を取得した……という経緯があったからです。加えて、ソレは日常的に夫から暴力を振るわれていたようでした。被疑者であるソレを尾行したり、取り調べをするうち、ヘジュンにはある感情が沸き起こってきます。そんな時、事件当時のソレのアリバイが明らかになり、事件は解決したかのように見えましたが……。


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※随所に登場する韓国の美しい景色も見どころ。一旦はソレへの恋心を封印し、妻(左)と新たな生活を始めたヘジュンでしたが…。

 

 明確な❓ラブシーンはたったの一瞬。…なのに、映画全体がなぜこんなにエロエロなのか(^.^;

韓国人と中国人、お互い言葉の理解がスムーズにいかないもどかしさゆえに、かえって燃え上がる恋心。目は口ほどにモノを言い、纏わりつくように絡み合う熱視線。特に、不眠症のヘジュンをソレが寝かしつける場面。ベッドの上のヘジュンに顔を近づけながら、「一緒に息を合わせて…吸って、吐いて」と耳元で囁きますが、何だか見ているこっちまでソノ気に(笑)当初は被疑者に対する単なる張り込みだったものが、私生活を覗き見るうちに次第にソレに対して愛執を抱き始め、ストーカーめいてくるヘジュン。

 

 ソレに向かって「君は僕を崩壊させた」とヘジュンは言います。「崩壊」の意味がわからずにスマホで調べたソレが、それを「愛している」の同義語として捉えたことが、後のストーリー展開の1つの伏線になっているところが、パク・チャヌクっぽいんだな、すごく。『オールド・ボーイ』にしろ『お嬢さん』や『イノセント・ガーデン』にしろ、チャヌク監督作品で描かれる愛の形って「惜しみなく奪うもの」であり、愛を得る代わりに魂も人生もズタズタにされる覚悟をしなきゃいけない……というか。で、登場するヒロインは、男の人生をそれこそ「崩壊し尽くす」究極のファム・ファタル。でもそれは所謂一般に言う悪女とは全く違う、今作品のソレのように、逃れられない宿命を背負い、愛に殉じようとする哀しい女。とにかく、実直な刑事を愛の袋小路に追い込むヒロイン役のタン・ウェイの色気が凄い(^.^;

 

 パク・チュヌク監督の、作品のテーマであるどろどろした愛欲と好対照をなす美しいカメラワークも健在。白い霧、急峻な山、荒れ狂う海……。ラストの、「ヤセの断崖」を思わせる光景はちょっと火曜サスペンスっぽかったけどね(笑)

 

 チャヌク監督は、北欧ミステリ『刑事マルティン・ベックシリーズ』から着想を得たとインタビューで語っていますが、それよりもヲタクは、やはりもっとアジア的な、例えば松本清張の作品のような湿った情緒を感じましたね。

 

★今日のオマケ

タン・ウェイと言えばですね、ヲタク的には大好きなビー・ガン監督の『ロングデイズ・ジャーニー/この夜の涯へ』ですよ❗主人公ホンウが秘密裏に逢瀬を重ねた、闇社会のボスの愛人役でした。別れてから10年以上経っても主人公の心を捉えて離さない運命の女。二人の水辺のラブシーン、二人の重なりあうシルエットからカメラが次第に水の中に下りていって、ゆらゆらと揺れて揺蕩う水藻を写し出す場面は、ゾクゾクするほどセクシーで淫靡でした。アノ椎名林檎

既存の方程式とはまったく異なる術で、

観ているこちらの夢と現を侵してくる。

あくまで徐ろに、甘やかに。えっちです。

…とまで言わしめた映画。

『別れる決心』とタン・ウェイに魅力を感じた方はぜひ『ロングデイズ・ジャーニー』も見てみて❗


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※『ロングデイズ・ジャーニー/この夜の涯へ』のタン・ウェイ

 

 

 

 

エマ・ストーン✕ヨルゴス・ランティモスのタッグ『Poor Things』ヴィジュアル解禁❗

 

1年以上前に当ブログでご紹介しました、『女王陛下のお気に入り』以来のエマ・ストーンヨルゴス・ランティモスの強力タッグ映画『Poor Things』。待望のポスター&ヴィジュアルがいよいよ解禁❗

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 当初は昨年末に公開予定とウワサされていましたが、かなり公開が遅れたようです。

 

 ストーリーは、「フランケンシュタイン女性版」とも言うべきもので、「胎児の脳を移植された女性の物語」らしい。共演は『ハルク』ことマーク・ラファロウィレム・デフォー、マーガレット・クォリー。さすがランティモス、相変わらずぶっ飛んでる内容ですよね(笑) 


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マーク・ラファロは、「女フランケンシュタイン」に恋する男なんだろーか❓(^.^;

 

 『女王陛下のお気に入り』や『聖なる鹿殺し』でも感じたんだけど、ランティモスの作品って、ギリシャ悲劇みたいな不条理、宗教や倫理の通用しない、人間の根源的なドロドロした欲望みたいなものを感じるんですよね。あとは『ロブスター』みたいに、悲惨な現実をブラックジョークでくるんだみたいな作品とか😅でも、ランティモスの作品ってキャスティングがいつもゴージャス✴️✨ってゆーか、ヲタク好みの人しか出てこない(笑)


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 エマ・ストーンといえば、父方の祖父からスウェーデン人の血を引いていて、地毛は北欧系らしい綺麗なハニーブロンド。地毛でオーディションを受けていた時にはことごとく落選していましたが、プロデューサーのジャド・アパトーの勧めで赤毛に染めた途端、『小悪魔はなぜモテる?!』(2010年)のオーディションに受かり、キュートな赤毛ルックで大ブレイク❗ご本人は、ラッキーカラーは赤毛だと公言しているのは周知の通り。役柄によって髪色を変えるので知られるエマですが、今回はブルネットですね。まるで別人のような彼女ですが、盟友ランティモス監督との再タッグで、どんな新たな魅力を見せてくれるのでしょうか❓


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中村倫也に癒やされに行く〜『宇宙人のあいつ』


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 Twitter覗いたら「気圧のせい」が1万件以上ついててトレンドになってた……。気温も日によってコロコロ変わるし、ここ数日はジメジメシトシト低気圧、何をやっても気分がすぐれない今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか?……そんな昨今、ヲタクも足を運ぶ映画はアクションかファンタジー(笑)

 

……というわけで、観に行って来ました。日本の芸能界きっての不思議ちゃん……いやもとい、芸能界きっての癒し系男子・中村倫也主演のSF人情コメディ❓『宇宙人のあいつ』。

 

 人間の生態調査のため、23年前に地球にやってきた宇宙人(中村倫也)。彼はごくごく平凡で小市民的生活を営む真田家四兄妹の次男・日出男として、長男・夢二(日村勇紀)、三男・詩文(柄本時生)、長女・想乃(伊藤沙莉)と共に暮らしていました。

そんなある日、一家揃っての朝食の席で、長男の夢二が「みんなに大事な話がある」と切り出します。日出男が本当はトロ・ピカル(❗笑)という名の土星人で、滞在期間終了のため、一ヶ月後には土星に帰還しなければならないのだと。さらには、詩文や想乃の日出男に対する記憶は、宇宙人の日出男が操作したものと「衝撃の告白」❓をしたものですから、2人は頭ぐるぐる、さあ大変。その日以来、真田家の日常は根底から引っくり返り、涙と笑いの激動の日々が始まるのですが、じつは日出男は、夢二にも秘密にしているある重大な任務を帯びていたのです。もし彼がそれを実行すれば、真田家の兄妹の未来を大きく変えてしまうことになり、日出男は悩みに悩むのですが、さてその任務とは…❗❓

 

 長男が日村で三男が柄本時生、二人に挟まれた次男が中村倫也って(^_^;)宇宙人とまでは気づかないまでも、ひょっとして産院で取り違えられたのでは!?……と、詩文と想乃が今までつゆとも疑わなかったのが摩訶不思議である……と、細かいツッコミは置いといて(笑)

 

 はっきり言ってこれは、中村倫也を愛でる映画ですね❗

 

 日本語が不自由で妙な言い間違いをしちゃうところ、「家族って何なの❓」って長男役の日村に問いかける時の(土星は言わば「ミツバチ社会」で、家族という概念が無いらしい(^.^;)子犬のような真剣な眼差し、リッケンバッカーをかき鳴らす日村の横で『リンダリンダ』を熱唱しながら飛び跳ねる姿(しかも学ラン高校生❗)……etc.と、まあどのシーンを取っても可愛さMAXで、もうそれだけでおーるおっけー(笑)

 

 主演の中村倫也はもちろんのこと、日村や柄本時生伊藤沙莉…と、真田家の人々がヲタクの大好きな俳優さん揃いで、しかもセリフや行動が、(あれれ?この役もしかして当て書きしたん?)っていうくらいみんなハマってる。……というか、そう思いたくなるほど全員が自然な演技で、その芸達者ぶりに驚かされます。特に日村の熱い兄ちゃんが良かったね。塚地武雅(先日佐々木蔵之介が絶賛してた)といい日村といい、やっぱり芸人さんの感性は凄い。

 

 「家族は争いの元。土星には家族が存在しないから、平和なんだ」と言う日出男。そんな彼が真田家の人々に触れて次第に心境が変化し、「家族って、自分より大事な人がいるってことなんだよ。(苦しい時は)自分が代わりになってあげたいと思う、それが家族なんだ」と言う夢二の言葉に滂沱の涙を流します。(泣き顔もカワユス❤)そして、彼が最後に出した答えは……❗❓

 

 氣志團のテーマソング『My Sweet Alien』も映画のテーマにピッタリで胸キュン😍なんとなーく憂うつで気が晴れないそんな日は、「中村倫也と愛すべきヘンテコリンな仲間たち」(なぜか四万十川のウナギまで登場 笑)に癒やされに行こ❗

フランス文化と日本文化…イキな演出に乾杯❗〜『岸辺露伴ルーヴルへ行く』


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 人気ドラマシリーズ『岸辺露伴は動かない』ついに映画化❗

 

 ドラマファンにとっても、コミックファンにとっても、映画館の大スクリーンでこそ堪能すべき贅沢な作品に仕上がっています。

 

 ヘヴンズドアという、相手の心情を書籍にして読み取る特殊能力を持つ、漫画家・岸辺露伴高橋一生)。最近の先生は「黒」に取り憑かれているよう。虫を溶かした染料で漫画を書いたりしています(^_^;)それは新人時代、祖母(白石加代子)が経営する下宿屋に寄宿している謎めいた女性・奈々瀬(木村文乃)という女性から聞いた、「この世には、最も黒く、最も邪悪な絵が存在する」と言う言葉が、今でも頭から離れないせいでした。世の中で最も黒く、そしてこの世で最も邪悪な絵。それは昔、日本の絵師が、神社のご神木から滲み出る漆黒の樹液を使って描いたものであるとか。いつもながら、露伴の好奇心はいたく刺激されます。ひょんなことから、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は、編集者の泉京香(飯豊まりえ)を伴い、一路パリへ。しかし、不思議なことにルーヴルの職員たちは誰一人「黒い絵」の存在は知らず、データベースを検索して唯一ヒットした保管場所は、今はもう使用されていない地下倉庫「Z-13 」でした。そこで露伴は、泉やルーヴルの職員・野口エマ(美波)、高名なキュレーター辰巳(安藤政信)と共に、呪われた「黒い絵」が引き起こす、想像を絶する恐怖に直面することになるのです……。


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 ヲタクはドラマシリーズが大好きで、初回から見ていますが、映像化された『岸辺露伴』は、古い日本家屋の暗闇に潜む「何か」とか、神社のご神木に住み憑いている摩訶不思議な存在、先祖の悪行が末代まで祟る……等々、今の日本ではとうに廃れてしまった湿った情緒や、そこから生まれるそこはかとない恐怖をそれはそれは巧みに表現しています。

 

 そんな、古き良き日本文化の申し子のような露伴がいきなりルーヴルへ?と聞いて、ヲタクは当初面食らいましたが、観終わってみれば、ルーヴルが、パリが、西洋の文化が、例えば露伴の祖母が住む古い日本家屋の薄暗がりや神社の苔むした湿った匂いに代表される日本の文化と好対照を為し、フランスと日本、それぞれの美しさが際立つようで、なんとまあイキな演出なんだろうとうっとり。

 

 高橋一生って、ドラマ『雪国』や『スパイの妻』を見てもわかるように、例えば谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』の中で述べているように、日本特有の墨絵のような暮色や薄暗がり、陰翳の美を体現できる俳優だとヲタクは以前から思っていて。ルーヴル美術館の前に佇む、彼の立ち姿のなんとまあ美しいこと。それは、体格が年々西洋の偉丈夫化しつつあるイマドキの若者とは違う、もっとたおやかで、華奢で、控え目な、日本古来の色男の美しさ。『心中天網島』とか、『おさん茂兵衛』とか見てみたいよねぇ、高橋一生で。

 

 露伴の祖母役の白石加代子。人間の心の闇と狂気を演じさせたら右に出る者はいない名女優で、『身毒丸』を初めとして故・蜷川幸雄の信頼も厚かった彼女。今作品でも、漂うオーラが尋常ではない(笑)キュレーター役の安藤政信は相変わらずカッコいいし、久しぶりの美波(やはり蜷川作品の『エレンディラ』。体当たりの熱演が凄かったよね。今回は、息子を守り切れなかった母親の哀しみを抑え目に演じて◎)も現地在住のキャリア役にピッタリ。助演陣のキャスティングも見事です。

 

 それにしても、あの絵を見て%$#@[]¢£€…しなかった泉くんって一体……露伴でさえ$%#℃¥¢£€℃…だったというのに…。SNSの感想見てたら「泉くん最強説」が出ていたけど、ヲタクもその意見に一票❗ああ見えて露伴先生、芸術家らしく繊細でロマンチストだから、これからもその図太さ……いやもとい、天真爛漫さで、先生のことよろしく頼むね(笑)

 

★今日のオマケ

パリの街並みはもちろん、日本の自然や風物詩など、カメラワークがとても綺麗。ハマっ子のヲタク的には、絵画のオークション会場にホテル・ニューグランドの旧館が使われていて嬉しかったな🎵


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クリステン・スチュワート✕ジョシュ・オコナー✕エル・ファニング、新作『Rosebushpruning』で競演


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クリステン・スチュワート(『スペンサー ダイアナの決意』)、ジョシュ・オコナー(『ザ・クラウン』『ゴッズ・オウン・カントリー』『帰らない日曜日』)、エル・ファニング(『THE GREAT〜エカチェリーナの時々真実の物語』)が新作『Rosebushpruning(薔薇の木の剪定…とでも訳すんでしょうか?)』で競演❗お、ダイアナ妃(クリステン・スチュワート)とチャールズ皇太子(ジョシュ・オコナー)の共演だわ。作品は違うけど(笑)ロシアの女帝(エル・ファニング)も出演してるし。なにげにヨーロッパの王族揃い踏み❗❓

 

 監督は、今開催中のカンヌ国際映画祭で高評価を集めている作品※『扇動者 Firebrand』のカリム・アイノズ。

※『扇動者 Firebrand』冷酷な独裁君主ヘンリー8世ジュード・ロウ)に見初められ、若くして妻となったキャサリン・パー(アリシア・ヴィキャンデル)。ヘンリー8世はキャサリン以前にも、お妃2人は王室から追放、2人を打ち首にしていました。(1人は出産時に死去)当時プロテスタント教徒が迫害されていた時代、プロテスタントの才媛キャサリンは、カトリック信者のヘンリーを改宗させようと目論見ますが、それは彼女の命を賭けた心理戦の始まりでした……。


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※『Firebrand』冷酷な暴君ヘンリー8世ジュード・ロウ)と、6人目にして最後の妻キャサリン・パー(アリシア・ヴィキャンデル)。

 

 監督も旬の人物なら、脚本を担当するのは、『ロブスター』や『聖なる鹿殺し』でヨルゴス・ランティモス監督と組んだギリシャの脚本家、エフティミス・フィリップ。そしてそして題材は、マルコ・ベロッキオ監督による異端の傑作『ポケットの中の拳』(1965年)❗当時の社会の価値観をブチ壊したと言われる怪作、問題作で、兄に対して異常な執着を持つ一人の青年が、兄を家族の軛から開放するため、盲目の母親を崖から突き落とし、知的障害のある弟を風呂に沈める……という恐ろしい話。何年か前に日本で初めて限定上映されました。ヲタクはスケジュールが合わなくて見送ったけど、一部の映画ファン(オタク?)の間ではかなり話題になったと記憶しています。あらすじ読んだだけでも、キリスト教成立以前の血で血を洗う生臭さ。尊属殺人、近親相姦、ギリシャ悲劇の不条理ふんぷん……って感じがする。『ロブスター』や『聖なる鹿殺し』のテイストに通じるものがありますね。エフティミス・フィリップが脚本を担当するのも、むべなるかな。

 

 アイノズ監督は

マルコ・ベロッキオの驚嘆すべき作品『ポケットの中の握り拳』は50年以上も前に公開され、当時のイタリア映画界に多大な影響を与えました。今回私は、エフティミス・フィリップと組めることにしごく興奮しているし、クリステン、ジョシュ、エルという素晴らしい表現者たちが参加してくれることに心から感謝しています。ベロッキオのアイコニックな作品を現代にアレンジすることで、原典に負けない感動的かつ挑発的なものになったら……と願っています。

と語っています。

 

 監督、脚本、キャスト……。どれをとってもこれだけ先鋭的なメンツは考えられない❗『Rosebushpruning』撮影開始は、来年2024年春とのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

最初から最後まで号泣モノ〜『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』


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 恥ずかしながら……である。ロケットがアダム・ウォーロック(ウィル・ポールター…アリ・アスター監督の『ミッドサマー』で、女たらしの軽薄なお兄さんを演じてた人)に襲撃されて瀕死の状態になってから、ずっと。


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※ハイ・エボリュージョナリーの命令でロケットを襲うアダム・ウォーロック。彼は創造されたばかりのアンドロイドで、思考は赤ん坊と同じ。善悪の判断がありません。ガーディアンズからセカンドチャンスを与えられ、自らの罪を悔いた彼は最後に…。

 

 ロケットは、カウンターアースに擬人化した動物たちの理想郷を作ろうとするオルゴ・コープの独裁的経営者ハイ・エボリュージョナリー(チャック・イウジ)の実験台だった……という驚愕の事実。ロケットの身体には、キル・スイッチが埋め込まれており、それを無効にするキーを見つけなければロケットを救うことはできない。ガモーラを失った悲しみに呑んだくれのダメダメくんになっていたスター・ロード(クリス・プラット)も親友の大ピンチにとたんにしゃきっとして(笑)、ガーディアンズの仲間たち…ドラックス(デイヴ・バウティスタ)、ネビュラ(カレン・ギラン)、マンティス(ポム・クレメンティエフ)、グルートと共に、オルゴ・コープへ一世一代の殴り込み。

 

 キーワードはもちろん、仲間、そして友情。

……そして、失敗しても、誠実に生きていれば必ず、セカンドチャンスはやって来る。


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※読心術に長けたマンティス(左)。自分たちを襲ってきた怪物の心を読み、「この子たちは悪くない。怯えて凶暴になってるだけなの」と言うシーンも、今作のテーマが色濃く出ていると思います。仲間たちからいつも(愛を込めて)バカ呼ばわりされている(^.^;ドラックス(右)ですが、今回は彼が秘めたる才能を持っていることが明らかに❗

 

 そのキーワードは、初めて明かされるロケットの哀しい過去にも呼応します。ロケットは自分同様実験台にされたカワウソのライラ、セイウチのティーフ、ウサギのフロアと強い絆で結ばれます。カウンターアースに行っても変わらず仲良くしようね…と。将来の夢を語り合う4人。しかしある日、ハイ・レボリューショナリーから「おまえらはカウンターアースになど行けない。所詮ただの実験台。用済みだ」と言われ、移住前に処刑される運命だと知った時のロケットの悲しみ、憤り。彼は飛行船を盗んで仲間たちを連れて逃げようとしますが、その直前に計画がばれてしまい……😢生死を彷徨うロケットが、夢に出てきたライラに「ごめんよ。俺は友達を守ることができなかった」と涙ながらに謝る場面。ブログを書いている今でも、思い出すと思わず涙が……。


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※死んでなかったガモーラ(ゾーイ・サルダナ)。しかしスター・ロードが愛したガモーラはどっかに行っちゃって(^.^;記憶はすっ飛び元の黙阿弥、再び凶暴なアネゴに…。でもヲタク的にはこっちのほうが好き(小声)

 

 サノス同様、現実を受け入れられず、完璧を求めて手を血で汚すハイ・レボリューショナリー。そんなエセ理想主義者に対して、彼が一番先に処刑しそうな(^_^;)ハミダシ者のガーディアンズが彼にひと泡吹かせる構図が愉快、痛快❗


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※ラスト、グルートがなんと❗「アイ・アム・グルート」以外の言葉を喋ります❗その場面も感涙モノなので聞き逃さないで。

 

 結果が気に入らないからといって、自分が創造したカウンターアースを星ごと破滅させようとするハイ・レボリューショナリー。彼は全能の神を気取っていますが、ガーディアンズがラスト、まるでノアの方舟の如く、人間も動物も実験途上の被験者も差別なくノーウェアに受け入れる場面は、(人間の価値は外見や能力ではない。善なる心が大事なのだ)という宗教的なメッセージが読み取れ、無慈悲な独裁主義、全体主義への強烈なアンチテーゼとなっています。

 

 『ガーディアンズ』の最終章を飾るに相応しい感動作❗マーベルファン、アメコミファンならずとも、ぜひ一人でも多くの人に見て欲しい。レディオヘッドの『クリープ』やアース・ウィンド&ファイアーの『リーズンズ』、アリス・クーパーの『虹を追い続けて』など、全編を彩るロックの名曲の数々も胸アツです。

 

 

 

 

 

 

 

ジャポニズム満載〜フランス発ミステリー『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』


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 ヲタクが今いちばんハマっているドラマがこれ❗

フランス発ミステリー『アストリッドとラファエル〜文書係の事件録』。U-NEXTで見始めたら面白くて夢中になりましたが、折しもNHKでシーズン2が放映開始となりました。(第1回は5月21日(日)23時より。毎週日曜日放映)なんてグッドタイミング🎵

(昨年、AXNミステリーで第3シーズンまで放映され人気が高かったため、この度NHKでも放映の運びとなったようです。本国フランスでは30%近い視聴率を叩き出す超人気番組だとか)

 

 思い込んだら命がけ、優れた直感力で考える前に行動しちゃうラファエル警視(ローラ・ドヴェール)と、並外れた記憶力と分析力を持つ、自閉症で犯罪資料局勤務のアストリッド(サラ・モーテンセン)という正反対の二人が、互いの価値観や生活環境のあまりの違いに時に戸惑いながらも、共に協力して事件解決に当たるうちに少しずつ相手の人間性を理解し、強力なバディになっていくというストーリー。アストリッドがラファエルの誕生日に指抜きを贈り、「貴方は私の指抜きです」って言う場面。その意味がわかった時、ヲタクは思わずホロリ😢(詳しくは本編を見てね😉)


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※強い光や大きな音に過剰反応し、時にパニックになってしまうアストリッドにとって、イヤーマフは必需品。

 

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※展示されている恐竜のごく小さな骨片が、他の部分と違うことを一瞬にして見抜くアストリッド。

 

 自閉症の人たちは時に、健常者には及びもつかない特異な能力を発揮すると言われますが、アストリッドもご多分に漏れず。

 例えば第1シーズンの第4話、自然史博物館で化石学者が殺害されていた事件。被害者の腕にはダーウィンがノートに最初に描いたと言われる「生命の樹」がタトゥーで彫られていたのですが、新しい線が書き加えられていて、それに気づくのはアストリッドだけなんです。周囲の男たちは、アストリッドが自閉症で(しかも)女性だから、彼女の優れた資質を素直に認められない。なんだかんだと難癖をつけたがる(^_^;)検視官もアストリッドから理路整然と論破されるとスネちゃうし(笑)ラファエルは猪突猛進型に見えてじつはとても柔軟で、初めはアストリッドの特異な思考と行動に戸惑いますが、仕事上の間柄を超えて、彼女の人格そのものを理解しようとします。本格推理物であると同時に、ラファエルの直感と行動力、アストリッドの驚異の記憶力と精密な分析が相乗効果を生み、唯一無二のバディになっていく過程が痛快❗科学オンチのヲタクとしては、カトレアから抽出可能な毒物があるとか、乾性溺水とか、ご遺体の屍蠟化……等々、そっち方面の雑学が増えて嬉しい(笑)

 

 基本的に1話完結あるいは前後編2話完結なので、見やすいです。続きが気になって何時間も見続けて寝不足になることはありません(笑)

 

★今日のオマケ

〜『アストリッドとラファエル』は、なにげにジャポニズム満載です〜
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 アストリッドが毎週月曜日に通っている日本食料品店の店主タナカさん。海外ドラマの日本人役は中国系の方が演じることが多いようですが、タナカさんを演じているニシダ・アキヒロさんは生粋の日本人のようです。アストリッドとの適切な距離に悩むラファエルに、タナカさんがお抹茶を立てて彼女に勧めながら、アストリッドのあるがままを認めるといい……「花は紅柳は緑」的な東洋的アドバイスをしているシーン、かなり嬉しいです。ひと昔前の海外作品に登場する日本人と言えば、せっかちなエコノミックアニマルが定番だったから…(笑)アストリッドはパズルおたくで、それが推理好きに繋がっていくのですが、そのきっかけになるのが、箱根寄木細工の「ひみつ箱」というのも日本人にとっては嬉しいところ。


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※シーズン2で、アストリッドはタナカさんの甥っ子テツオさんに淡い想いを抱く設定のようです。演じているのが、サイトウ・ケンゴさんというヨーロッパで俳優兼ミュージシャンとして活動している方らしいです。知的な感じのイケメンですね。ディーン・フジオカや大谷亮平みたいに逆輸入でブレイクしたりして?

 

カート・コバーン

 互いの友情を通じて人間的に成長していくアストリッドとラファエル。アストリッドは彼女の自閉症をからかう同僚たちを受け流すことができるようになりますが、その時に呟くのが

変人よばわりする相手には愚人だと笑え」

という、カート・コバーンの言葉。ここでカート・コバーンが出てくると思わなかった。我が青春のカート・コバーン😍

 

ティモシー・シャラメ主演『Complete Unknown』追加キャスト〜ベネディクト・カンバーバッチ、エル・ファニング

 ハリウッドのプリンス、ティモシー・シャラメが次に挑戦するのがあのアメリカを代表する歌手ボブ・ディランで、しかも彼が全編自身の声で歌う……というビッグニュースは、当ブログでも度々話題に取り上げています。つい先日は、シンガーとしてのディランに多大な影響を与え、一時は恋愛関係にあったジョーン・バエズ役に『トップガン マーヴェリック』のモニカ・バルバロが抜擢されたとお知らせしました。


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 それから次々と新たなキャストの発表がありまして。1960年前半にディランの恋人だったという学生アーティスト、シルヴィ・ルッソにエル・ファニングティモシー・シャラメエル・ファニングは『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』以来の再共演。『レイニーデイ』では、美男美女のお似合いカップルなのに価値観がすれ違い、ギクシャクして、結局破綻してしまうほろ苦い結末でしたが、さて今回はどんな素敵な恋模様を見せてくれるのでしょうか。

 

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そしてそして、今日はさらに驚くようなビッグネームが❗……ハイ、アメリカのフォークソングの父、プロテストソングの第一人者、ピート・シーガー役に御大ベネディクト・カンバーバッチ〜〜❗『花はどこへ行った』、『天使のハンマー』の作者ですよね。『We shall overcome』も懐かしや。ヲタクの時代、夏期合宿のキャンプファイヤー定番ソングだよ……(遠い眼)

 

 ヲタク的には「年上の、大人の男性に可愛がられるティモシー・シャラメの図」はすごく好物だから楽しみだわ。『君の名前で僕を呼んで』よもう一度😍ベネさまもブロマンスがめちゃくちゃ似合う、知性に溢れたオトナの男。『裏切りのサーカス』然り、『シャーロック』然り。トム・ホランドと共演した『エジソンズゲーム』だって、あれ実はブロマンス映画でしょ?(……ち、違う?(^.^;)

 

 ティモシーは吹替は使わないと公言してるけど、ベネさまは?ティモシーとベネさま、二人のデュエットが聞きたい❗

独裁者という名の怪物〜『TAR/ ター』のケイト・ブランシェット

 
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KINOシネマ横浜みなとみらいで『TAR /ター』(ケイト・ブランシェット主演)鑑賞。KINOシネマの概要には

映画史をとどろかす怪演に、世界平伏❗

とありますが、まさにその通り❗彼女の名演の前にもはや口あんぐり黙ってひれ伏すしかございません(笑)

 

 世界を代表する名優の1人である彼女が今回演じたのは、女性の指揮者として頂点を極めたリディア・ター。レナード・バーンスタインの後継者と目され、アメリカの5大オケ(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、フィラデルフィア、クルーヴランド)を指揮した後、ベルリン・フィルの主席指揮者に就任して早や7年が経っていました。

 

 天才としての強烈な矜持を持つター。今彼女が情熱を燃やしているのが、マーラー交響曲第5番のライブ録音。自室でクラウディオ・アバドベルリン・フィルを指揮した第5番のLPをヒールで踏みつけるシーンだけでも、いかに彼女が傲岸不遜かわかろうというもの。そしてまた彼女は自身がレズビアンであることも堂々とカミングアウトしており(カミングアウトによって世間からどう思われるかなどという小市民的な考えは、彼女には無縁のようです)、それどころかその立場を利用して若い女性の音楽家たちに恒常的にセクハラを繰り返しています。

 

 ジュリアード音楽院で教鞭をとる彼女はある日、

「バッハは女性差別主義者だから好きになれない」という若い音大生(注・男性)を、「個人のパーソナリティーと、作品としての偉大さを同列に扱うべきではない」と、彼女は真綿で首を絞めるようにネチネチと彼を追い詰めていきます。(この時のケイト・ブランシェットがまた巧くて。次第に偏執狂的になっていく顔つきが怖い(^.^;)……まあ、独裁者にありがちなパターンですね。別な場面で、セクハラの告発を受けて解雇されたジェームズ・レヴァインアメリカの指揮者)やシャルル・デュトワ(「音の魔術師」の異名をとるスイス出身の指揮者)を擁護する発言もしています。


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※ロシア人チェリスト・オルガ(ソフィー・カウアー…彼女は実際のチェリストで、オーディションを経て本作で俳優デビュー)の優れた才能と天真爛漫さに惹かれるター。二人の関係は他の団員の嫉妬の的となり…。

 

 ……そんなターの人生にも、ご多分に漏れず大きな落とし穴が開いていました。かつてのターの教え子で、性的な関係を持ちながら破綻した相手、新進女性指揮者クリスタが自殺したのです。二人の関係が破綻した時、ターはクリスタをベルリン・フィルから追い出し、彼女を誹謗中傷したメールを送っていた事実を彼女の両親から告発されたのです。

 

 それからは坂道を石ころが転がるようにターの人生は破滅の一途を辿ります。元々不眠症に悩まされていた彼女は度重なる悪夢や幻聴、メトロノーム機械的な音、クリスタの筆跡を連想させる謎の落書き等、様々なものに過剰反応を示し、次第に錯乱状態になり……。

 

 最初にも言いましたけど、もはやケイト・ブランシェットの圧倒的な一人芝居で、特に前半のアメリカ英語とドイツ語を自在に繰る冷酷で尊大な絶対君主から、神経を病み、どん底に陥るまでのプロセスが見事と言うほかありません。ヴェネチア国際映画祭のポルピ杯(最優秀女優賞)とゴールデングローブ賞での最優秀主演女優賞(ドラマ)を制覇したのも納得❗


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※ターの曲解釈に探りを入れ、模倣しようとする姑息な指揮者エリオット(マーク・ストロング)。首席指揮者の地位を追われたターの後釜にちゃっかり座るものの、激高したターからボコボコに…(^.^;

そんな小者を、『裏切りのサーカス』や『キングスマン』など、マスキュリンな役を演じることの多い彼にキャスティングしたのがミソ。名前も「ストロング」だしね。笑

 

 ヒリヒリとした緊張感で時に見るのが辛くなるような作品ですが、音楽界から背を向けられ、どん底に墜ちたターが、(頂点を極めたマエストロがこんな所で?)と思わせる場所で指揮をとるラストシーン。権力をもぎ取られた彼女にとって、残されたのはやはり音楽だけ。そこに音楽がある限り、望まれれば全身全霊でタクトを振るしか道はない。絶望の先に差す微かな希望の光を暗示しているようです。

 

 最近は「有害な男らしさ」や#Me tooを描いた映画(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『スキャンダル』『シー・セッド その名を暴け』など)がトレンド。しかし本作は架空の人物ではあるものの主人公は女性。権力に魅入られたら男女の別などない、誰もが独裁者という名の怪物になり得る。今までの既成概念を見事に引っくり返した、言わば「裏ジェンダーレス」映画?(^.^;

 

 この映画が撮了後、ケイトは引退を仄めかす発言をしたそうですが、さもありなん。1つの作品でこれほどまでに演技を極めてしまったら、これ以上何をやったらわからなくなると思う。

 

 不世出の大女優の一世一代の名演技。映画館でぜひ体感して下さい。

 

★今日のオマケ

ターは指揮者の集大成としてライブ録音に執念を燃やしますが、その曲目がマーラー交響曲第5番第4楽章。ハイ、ご存知ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ヴェニスに死す』で使われていたあの曲。ヴィスコンティ監督崇拝者のヲタクとしては、今回この曲が流れてきた途端、『ヴェニスに死す』冒頭、主人公のダーク・ボガートが乗った船がサンタマリア・デッラ・サルーテ聖堂に次第に近づいていく場面を思い出して背中がざわざわ、パブロフの犬状態(笑)


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※どさくさに紛れて『ヴェニスに死す』の写真も載せちゃうヲタク。笑

 

 トッド・フィールド監督は、当初「ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』に使われたことで、⼤衆的な曲だと⾒なされるようになった」ため、この曲を使用することに迷いがあったとか。ヲタクなんて『ヴェニスに死す』でこの曲を知ってCD買った大衆の1人だから何も言えないけど(^.^; さまざまな形でクラシック音楽が大衆化されていくのは、決して悪いことじゃないと思ってる。

 

 

 

クールな刑事役、キャリー・マリガン〜Netflix『コラテラル 真実の行方』

 
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 Netflixコラテラル 真実の行方』鑑賞。トム・クルーズ主演の映画とは別物です。主演はキャリー・マリガン。先日U-NEXTで鑑賞した『シーセッド その名を暴け』でニューヨークタイムズの敏腕記者をクールに演じた彼女がとても素敵で、続けて彼女の作品が見たくなって。まだ見ていなかったこの作品に辿り着いたというわけです。


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※可愛らしいヴィジュアルなのに凄腕刑事…って設定が◎❗それにキャリー・マリガンって顔に似合わずドスの利いた低音なんですよね。そこもギャップ萌え😍

 

 多数の移民のバイトが働くロンドン下町のピザ屋「リーガル・ピザ」。ある夜、注文を受けた雇われ店主のローリーは、配達の順番がマイキー(ブライアン・ヴァーネル)だったにも関わらず、無理やりシリア人移民のアブドラを差し向けます。配達先は、労働党議員ディヴィッド・マーズ(ジョン・シム)の別れた妻カレン(ビリー・パイパー)のアパート。ピザを受け取ったカレンは激怒、「トッピングが載ってないじゃない❗」と叫んでピザの箱を壁に投げつけます。そしてあろうことか、アパートの入口を出た直後、アブドラは植え込みに潜んでいた何者かに射殺されてしまいます。現場を目撃していたのは、麻薬常用者のリン(ケイ・アレクサンダー)。彼女もまたベトナムからの不法滞在者で、レズビアンの教会司祭ジェーン(ニコラ・ウォーカー)の愛人でした。リンは狙撃者は女性だったと主張します。事件を担当することになったのが、キップ・グラスピー刑事(キャリー・マリガン)。


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レズビアンの司祭役に、『埋もれる殺意』『警部補アニカ〜海上殺人捜査ファイル』等ヒット作の主演が続くニコラ・ウォーカー。イギリス版片平なぎさ?(笑)出番はあまり多くないんですが、彼女くらい大物が出てくると、何かウラがあるんじゃないかと思ってしまう(^_^;)

 

 ローリーが無理やり配達の順番を変えたのはなぜなのか?

カレンが言う「トッピング」とは何を意味するのか?彼女は事件に絡んでいるのか?


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※ピザ屋の店員役にブライアン・ヴァーネル(『ダンケルク』)。この人、出てくるだけでなんだか怪しげな雰囲気、なんかやらかしそう(^.^;(ディスってませんよ、俳優としてはメリット)『窓際のスパイ』(AppleTV)でもテロリスト役で強烈な印象を残しました。

 

 現場検証から、狙撃はプロの仕業だということがわかります。妊娠6ヶ月の身というハンデをかかえ、移民問題が絡むためピリピリしている上司(ベン・マイルズ)の圧力にもめげず、淡々と捜査を続けるキップ。キップって物腰が柔らかいし、少女みたいなヴィジュアルだし、取り調べを受ける側も最初は彼女のことタカをくくって軽く見るんですよ。それを反対に利用して、相手をギャフンと言わせるシーン、めっちゃカッコよかった〜〜❗

あなた、わたしのこと軽く見てたでしょ。

そこを利用させてもらったわ。

きゃあああ、ステキ〜〜❗


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※キップの上司役に英国のイケオジ代表、ベン・マイルズ。こんなチョイ役にベン・マイルズって…。なにげにオールスターキャストぢゃん、このドラマ(゚∀゚)直近ではNetflix『ザ・クラウン』でマーガレット王女(ヴァネッサ・カービー)の恋人、ピーター・タウンゼント役。

 

 このドラマはいわゆる「フーダニット」ではなく、もう最初から私たち視聴者には犯人の素性は割れてしまいます。

 

なぜ彼女が殺人を犯すに至ったのか?

 

 殺された青年がじつはシリア人ではなく、イラク人だったことが判明したことをきっかけにストーリーは急展開を見せ、移民の不法入国、それに関わるエージェント、果てはMI5(英国保安局…イギリスの国内治安維持を担当する情報機関)をも巻き込んだ大事件に発展していきます。移民問題をはじめとして、宗教とLGBTの関係等、英国社会が抱える様々な問題にメスを入れた社会派ミステリーと言えるでしょう。

 

 

 

ニコラス・ホルト、あなたはどっちの役なの?〜DC『スーパーマン:レガシー』

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 ジェームズ・ガン監督によって新たに始動するDCユニバースの『スーパーマン:レガシー』。我が推し、ニコラス・ホルトがスーパーマンの宿敵レックス・ルーサー役にキャスティングされている…と報じられ、ヲタクは(おー、バットマンは最終審査まで行って残念だったけど、レックス・ルーサーか、いいぢゃん!)って思った。レックス・ルーサーは異様に高いIQを持つ天才で、航空、石油、テクノロジー、銀行、ホテルなど様々なグループ会社を抱える巨大コンツェルン、レックス・コープのトップであり、総資産は約750億ドル。アメコミヒーローの中では※4番目の資産家だとか((^_^;)…ちなみにバットマンVSスーパーマン 』ではジェシー・アイゼンバーグが演じてました。『ジャスティス・リーグ』のポストクレジットにも次作の予告…って感じで、ジェシー演じるルーサーがチラッと出てきて、相変わらず何か悪だくみしてたみたいだけど、その後企画がポシャって宙ぶらりん…なのは、DCやマーベルあるある(^_^;)

※ちなみにブラックパンサーがトップで約5000億ドル(さすがの威力、ビブラニウム)、アイアンマンが約1000億ドル、バットマンが約980億ドルらしい。


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 その後仕切り直しでキャストも選び直し。ニコラス・ホルト=レックス・ルーサーの妄想をヲタクがあれこれし始めたところで今度は、「ニコラス・ホルトレックス・ルーサー役ではない❗スーパーマン役の候補の1人になっている」とのニュースが❗

 

 ええい、どっちなんだよぅ〜〜、はっきりしろや(笑)

 

 うーーん、でもやっぱりヲタクはレックス・ルーサー役に一票❗スキンヘッドのニコラスが見てみたいの🎵(『マッドマックス 怒りのデスロード』でもスキンヘッドだったけど、ニュークスはお笑い担当だったから、イケメン顔のスキンヘッドが見てみたい❤)