オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

松本穂香&玉城ティナ〜Wヒロインで魅せる『恋のいばら』

 
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イケメンカメラマン健太朗(渡辺圭祐)とアツアツ恋愛中の莉子(玉城ティナ)。幸せ一杯の彼女はある日、バスで隣り合った見知らぬ女性(松本穂香)から突然声をかけられます。桃と名乗るその女性は健太朗の元カノで、交際していた時に撮影されたあられもない写真を取り戻したいと言うのです。「もしかしてあなたも撮られたのでは…?」と桃に言われた莉子は、ドキリとします。(撮られた時、彼に「データ消して❗」って言って、彼は「わかった。消しとくよ」って答えたけど、もしかして…。)初めは半信半疑だった莉子も、お互いの過去を話し合ううち、次第に桃の方に心が傾き始め、健太朗の留守中に二人して彼の部屋に忍び込み、パソコンのデータを消去しようと計画しますが…。

 

 「パソコンデータ消去大作戦」はちょっとしたアクションモノだし、互いの過去が明らかになっていくプロセスはサスペンスタッチ、ストーリーがどう転がっていくのか全然読めなくてハラハラしていると、ラストのどんでん返しで、ヒロイン桃(松本穂香)の真意が初めて明らかになり、思わずホロリとします。いろいろな要素がジグゾーパズルみたいに上手くハマった、城定秀夫監督の職人ワザ❗

 

 

これ、男脳で見ると、元カノと今カノがイケメン男を巡ってドロドロの闘いを繰り広げる…という妄想が脳内を駆け巡ると思うんだけど…

 

世の男たちよ、残念ながらそういう展開にはなりません www

 

まあね、玉城ティナ松本穂香という、いずれは菖蒲杜若…という当代きっての超魅力的な美女たちが、自分の愛をゲットする為に競い合う図は、最高のドリームでしょうけどね。そうは問屋がおろしませんよ(笑)

 

 私たち女子は小さい頃から、お金も地位も名誉もある男に「選ばれる」のが女の一番の幸せ…という幻想を、数々の童話から刷り込まれて育つわけですが、邦画にも最近やっと、そういった刷り込みに対するアンチテーゼがちらほら出始めて、ヲタク的には嬉しい限り。昨年の「映画納め」に見た、アロマンティック・アセクシュアルの女性が主人公の『そばかす』でも、保育士のヒロイン(三浦透子)が『シンデレラ』のストーリーに小さい頃から違和感を抱いていて、園で上演する紙芝居の結末をシンデレラの自立に書き換えてしまい、物議をかもすシーンがありましたっけ(^_^;)今作の隠れテーマは『眠り姫(別名 いばら姫)』。…でもそれは『そばかす』の戦うヒロイン、シンデレラのように直截的な表現ではくて、もっと手が込んでるの。ラストの種明かしがされて初めて私たちは、この映画が、「クズの浮気男に対するリベンジストーリー」でもなく、恋愛において女性も対等な立場に立つべきといったフェミニズム(…むろん、その要素も含まれているけど)を全面に押し出した作品でもない、真の愛を知った時、人はその人を全力で守りたいと思う…そんな真っ当なラブストーリーであることに気づくのです。

 

 何しろね、松本穂香玉城ティナ、Wヒロインが素晴らしいです❗

 

 ナード気質でゴミ屋敷の住人松本穂香と、彼女の憧れの対象で、リア充を生きる華やかなインフルエンサー玉城ティナ。その二人の関係が一気に引っくり返るラストシーンがみごと。いばらをかき分け、眠り姫を救い出す真のナイトは誰なのか?

 

 何せ城定監督だから、さらっと「リベンジポルノ」なんて言葉を松本穂香に言わせたり、玉城ティナが勤めているクラブでいきなりポールダンスショウが始まったり……で、設定はセクシー系なんだけど(^_^;)そのじつ城定監督、かなりのロマンチストだと見た。