オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

NEWダーク・ヒロイン、爆・誕❗〜『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』のチョン・ジョンソ


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※過去にフランスとスペインの支配を受けた為、異国情緒溢れるニューオーリンズを舞台に、キッチュでポップな世界観が展開。

 

 ハーレイ・クインキャットウーマン、『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャシー、『パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女』のチャン・ウナ、『355』や『オーシャンズ8』の強くてカッコいい姐さんたち……と、これまでヲタクの心を震わせたダーク・ヒロイン数々あれど、また1人、「オタクによるオタクの為の魅力的なダークヒロインリスト」に新たに加わったのが、今作の主役であるモナリザ・リー(チョン・ジョンソ)。

 

 モナリザ(はっきりとは語られていませんが、どうも脱北者らしい)は重度の精神疾患を患っているらしく、閉鎖病棟に物心ついてから12年暮らしています。しかしある満月の夜、彼女は他人の心を繰る特殊能力があるのに気付き、今まで彼女にさんざん虐待行為を行ってきた看護師にキツイお仕置き(このお仕置きシーン、いきなりの流血の惨事なので、気の弱い人は要注意^^;)をして、拘束着のまま病院から逃げ出します。ミシシッピ川の辺り、森をかいくぐって歩きに歩き、行き着いた先はニューオーリンズ。ダイナーで絡まれていたポール・ダンサーのボニー・ベル(ケイト・ハドソン)を助けたことから、彼女の家に居候することに。モナの能力を知ったボニーは、2人で組んでひと儲けを企みますが……。

 

 お金も知識も生活技術も何もない、赤ん坊のような状況で世の中に放り出されたモナ(人を繰る異能の持ち主とはいえ、使い方を間違えれば自身を傷つける刃になるわけですからね)。病院を逃げ出して最初に出会った青年ファズ(エド・スクライン)が

えっ?この広い、残酷な世の中で、何も持っていないのか?

はからずも呟いたように、そんなモナが、触れ合う人々との縁によって次第に心身ともに変化し、いかにサバイバルしていくのかが、最大の見どころ。

 

 一見麻薬の売人みたいなファズが実は心優しい青年だったり、街の人々からビッチ視されているボニーが気さくな姐御肌だったり、反対にモナを追い詰める警官が差別的発言を連発したり……と、登場キャラの描き方に、監督であるアナ・リリ・アミリプールの、現代の世相に対する皮肉がピリリと利いている気がするのはヲタクだけ?


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※「次世代のタランティーノ」の異名を持つアミリプール監督から、「この作品のヒロインは彼女でなくては」と、熱烈なラブコールを受けたというチョン・ジョンソ。エキセントリックな魅力に溢れるダークヒロインを熱演。

 

 異能なモナは、街の人々から魔女呼ばわりされますが、何せ舞台がニューオーリンズだから、違和感がないんですよね。歴史上、魔女裁判で知られるセイラムはニューオーリンズにある町。ハイチから伝わったブードゥー教ネイティヴアメリカンの信仰、そしてカトリックが交じり合った独特の精神文化がある言われています。映画の中でも、モナを追い詰める粘着質の警官(クレイグ・ロビンソン)が怪しげな祈祷師のおばさんに捜査の相談を持ちかける場面が出てきますが、元々そういった素地がある場所らしいです、ニューオーリンズって。例えば昔ニューオーリンズで多数の黒人奴隷を虐殺したと言われる「血塗られた貴婦人」マダム・ラローリー(マリー・デルフィーン・ラローリー/1775~1800年代)や、ブードゥー・クィーンと呼ばれたマリー・ラヴォー(1801~81)ら、実在の人物ゆかりの場所では、今でも心霊現象が多発しているとか(^o^;)観光客向けに「幽霊屋敷ツァー」もあるみたいですね。そんな前知識をもってこの作品を見ると、また違った味わいがあるかも。

 
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※いかつい風貌なのに、実は心優しきDJファズを演じたのは英国出身のラッパー&俳優のエド・スクライン。そう、『ゲースロ』のダーリオ様ですわー。ヲタク的にはファズがモナのために一生懸命目玉焼きを作るこのシーンにギャップ萌え。

 

 ファズったら別れ際にモナへ「続編でまた会おうなっ❤」って言ってたよねぇ。もしかして伏線❗❓

見たい見たい❗モナリザの心躍る冒険の続きを。