オタクの迷宮

海外記事を元ネタにエンタメ情報を発信したり、映画・舞台・ライブの感想、推し活のつれづれなどを呟く気ままなブログ。

夏におススメ❗〜涼感誘う映画『真夏の夜の夢』(1999年)


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 いやー、毎日暑いっすね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。日本の夏は暑さもさることながら、身体にこたえるのはこの湿気ですよね。…そんな暑苦しい夏の夜におススメなのがコレ。1999年の映画『真夏の夜の夢』。20年ぶりくらいに見直しましたが、じゅうぶん面白い❗

 

 原題は『Midsummer Nights Dream』ご存知シェイクスピア原作の戯曲の映画化です。ミッドサマーを真夏と訳したことについては諸説ありまして、最も人口に膾炙しているのは、Midsummer Night は聖ヨハネ祭(6月24日)の前夜に当たるから、6月23日の夜の話ではないかという説。聖ヨハネ祭の前夜に限り、キリスト教的な嗜みはどこへやら、妖精や魔女が地上に現れ、男女は森の中で大胆に恋を語り、飲めや歌えの大騒ぎも許される……。シェイクスピアのこの作品の内容を見る限り、この説が最も的を得ていそうですね。

 

 
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※ヘレナ(キャリスタ・フロックハート…はいっ、ご存知ハリウッドのレジェンド、ハリソン・フォードの愛妻)とディミトリアスクリスチャン・ベール)。クリスチャン・ベールが若い〜〜❗

 

 19世紀初頭のイタリア、モンテ・アテナ。貴族の娘ハーミア(アンナ・フリエル)は父イジアス(バーナード・ヒル)の決めた婚約者ディミトリアスクリスチャン・ベール)と結婚するよう、父から迫られていました。しかし彼女はライサンダードミニク・ウェスト)と愛し合っていて父に反抗しますが、「そんなことをすれば親子の縁を切る。どこへでも行って野垂れ死にすればよい」と無慈悲な答が返ってくるばかり。

 
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ライサンダー役のドミニク・ウェスト。最近ではNetflixドラマ『ザ・クラウン』第5シーズンで、ダイアナ妃(エリザベス・デビッキ)との確執に苦悩するチャールズ皇太子の渋い演技が印象的。彼もまた…若い❗(笑)

 

 見かねたアテナの公爵シーシアス(デヴィッド・ストラザーン……シーシアス自身も、アマゾン国の女王ヒポリタ(ソフィー・マルソー)との婚礼を4日後に控えています)は、父の意向に沿ってディミトリアスの求婚を受け入れるようハーミアに言い渡します。追い詰められたハーミアはライサンダーと駆け落ちすることを決心、友人ヘレナ(キャリスタ・フロックハート)に打ち明けますが、以前からディミトリアスに恋しているヘレナは、ハーミアへの嫉妬からディミトリアスに2人の駆け落ちをバラしてしまいます。ディミトリアスけんもほろろの手ひどい扱いを受けているヘレナの姿を木陰から見て、彼女に同情したのが妖精王オーベロン(ルパート・エベレット)。彼はイタズラ者の妖精パック(スタンリー・トゥッチ)に、「眠りから目覚めると1番先に目に入った人にゾッコンになる」惚れ薬をディミトリアスの瞼につけるよう命じます。ところがおっちょこちょいのパックがディミトリアスだけでなくライサンダーの瞼にも惚れ薬を付け、2人とも真っ先にヘレナを見てしまったからさあ大変。2人の若者はヘレナを巡って決闘騒ぎに……。


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※イタズラ妖精パックのスタンリー・トゥッチ(左)。最近ではアマゾンプライムビデオのスパイドラマシリーズ『シタデル』でスパイ組織のボスを演じ、イケおじぶりを発揮しています。オーベロンのルパート・エベレット(右)。最近あまりお見かけしませんが、当時は英国を代表する美青年といえばこの人でしたよねぇ……。

 

 一方、当のオーベロンも妃の妖精女王タイターニア(ミッシェル・ファイファー)と夫婦げんかの真っ最中。「生意気な妃をちとこらしめてやろう」とばかりに眠っているタイターニアの瞼に惚れ薬を……。目覚めたタイターニアは、シーシアスの結婚披露宴で上演される素人芝居の主役ニック・ボトム(しかもパックの悪ふざけから、ロバの姿に変えられています……ケヴィン・クライン)にもう夢中(^.^;

妖精や魔物や恋人たちが森の中、右往左往の大騒動。はてさてその顛末はいかに……❗❓


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※まさに「美女と野獣カップル、ボトム(ケヴィン・クライン)とタイターニア(ミッシェル・ファイファー)

 

 惚れ薬や、恋人たちのてんやわんやを大笑いして見ているうちに、欲に目が眩んで理性を失う愚かさや、移り気な恋に命を賭ける滑稽さが透けて見えて、さすが人間観察の達人(別名いぢわるオジサンとも言う 笑)シェイクスピアの面目躍如な喜劇でございます。


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※この作品のミッシェル・ファイファーはまさに人間離れした美しさです。

 

 夜の森や小川のせせらぎの描写は素晴らしく、何と言っても妖精女王役、絶頂期のミッシェル・ファイファーの美しさ、品の良さが絶品❗また、現在映画界を背負って立っている俳優たち……クリスチャン・ベールサム・ロックウェルの若かりし頃、駆け出し時代の初々しい演技が見られるのも楽しい。

 

 ヲタクは5年間ヨーロッパに住んでいた経験があるのですが、湿度の低いヨーロッパの夏は最高です、陽射しはキツイですが、ひと度木陰に入ると、風が枝葉をすり抜けていって…。作品の舞台となっている6月の聖ヨハネ祭の頃は、1番快適な季節。涼感が画面から感じられるような作品です。


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アカデミー賞俳優のサム・ロックウェル。『真夏の夜の夢』では、『スリー・ビルボード』や『ジョジョ・ラビット』のイカツイお兄さんのイメージは皆無(^.^;、素人劇団の女役。線の細い優男ぶりが新鮮。

 

 寝苦しい夜には、こんな涼感溢れた作品をぜひどうぞ❤