オタクの迷宮

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歴史上のイケメン列伝⑤~光源氏のモデル❓在原業平


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 お久しぶりです、ヲタクの『歴史上のイケメン』シリーズ第5弾〜〜❗

 

 チェーザレ・ボルジアアラビアのロレンス、英国スパイの祖ウォルシンガム卿、フランツ・ヨーゼフ1世……と来て、あれれ、我が日の本の美男子は❓……というわけで、今日は、日出る国の代表的イケメン、在原業平(ありわらのなりひら 825〜880)をご紹介しましょう。折しも来年のNHK大河ドラマは『源氏物語』の作者、紫式部吉高由里子)の生涯を描いた物語…と発表されましたからね。じつはこの在原業平、『源氏物語』の主人公、光源氏のモデルと言われている人なんです。『源氏物語』、高校の古典の教科書にも冒頭の部分が掲載されてますけれども、純真な高校生が興味を持って、その後全編現代語訳で読んじゃったらどーするん❓(……ヲタクみたいに 笑)って心配になっちゃうくらいスキャンダラスなお話じゃありませんか(^.^; 帝(天皇)の御子(源氏)が、いくら自分の生みの母親に生き写しだからって言って、義理の母親である天皇の後添え・藤壺女御に夜這いをかけ、その結果、藤壺女御は源氏の子を妊娠・出産、帝はそれを知りつつ源氏と藤壺の不義の子を皇太子として育てる……というトンデモストーリーだよ。

 

 そんな源氏のモデルとなった在原業平(825~880年)は、父に平城天皇の皇子・阿保(あぼ)親王、母に桓武天皇の皇女・伊都(いと)内親王を持つ平安時代の貴公子。※『日本三大実録』には、「体貌閑麗、放縦不拘(眉目秀麗かつ自由奔放)」とあり、「略無才学、善作倭歌」と続きます。お勉強はイマイチだけど和歌には長けている……文系だけ得意なアーティストタイプ(笑)兄の行平と共に鷹狩りの名手でもあったようで、出自・外見・和歌の才、運動神経…と四拍子❓揃った業平は、トーゼン当時の女子にモテモテ(^.^;しかし光源氏のモデルになるだけあって恋愛嗜好はラブ・ハンター、禁じられるほど燃えるタイプだったよう。

※『日本三大実録』…日本の平安時代に編纂された歴史書六国史の第六にあたり、清和天皇陽成天皇光孝天皇の3代である天安2年(858年)8月から仁和3年(887年)8月までの30年間を扱っている。

 

 業平といえばあの

世の中にたえて桜のなかりせば

春の心はのどけからまし

があまりにも有名ですが、ヲタク的には「自然を愛でる歌」より、もっと艶っぽい系が好き。

 

百人一首にも入っている

ちはやぶる神代もきかず竜田川

からくれなゐに水くくるとは

さまざまな不思議なことが起こる神代にも聞いたことがありません。竜田川がこんなに色鮮やかに紅く染められるのは。

 

 この歌、表面的には竜田川に色鮮やかに散っている紅葉の美しさを詠んだもの……と言われているけど、裏の意味があるみたいなんですね。当時清和天皇の后として入内が決まっていた藤原高子(当時18才)と業平(当時35才)は、愛人関係になってしまったらしい。さすが禁忌の恋ほど燃えるラブ・ハンターの面目躍如(笑)、高子の閨にその光景を描いた屏風があり、アノ最中に眺めた屏風を歌ったものという説もアリ。こんなヤらしい歌、百人一首に入れるなんて(笑)。業平と高子は駆け落ちを試みるも連れ戻され、その後高子は入内、清和天皇の子※を出産したらしいのですが、業平も京の都から追放されただけで他にお咎めがあったわけでもなく…。平安時代っておおらかというか、かなり倫理的にユルい時代だったの❓三島由紀夫の『春の海』、同じような禁忌の恋愛を描いているけど、時代背景が明治末期だから主人公2人共大変なことになっちゃったよねぇ…。

※高子の産んだ男子が、皇室史上最もヤバい「狂気の天皇」と言われた陽成天皇。…ま、まさか、陽成天皇は業平の子…なんてことはないよね(^.^;

 

 業平にはまた、こんな歌もあります。

われならで 下紐解くな あさがほの

夕影待たぬ 花にはありとも
私以外の男の前で下紐をほどかないでくださいね。いくらあなたが夕日を待たずにしおれる朝顔のように、心変わりしやすい女性だとしても。

 

 下紐というのは肌着の上に結ぶ紐ということで、下紐を解くということはつまり……&℃€£№¢]<@&%

 

白玉か何ぞと人の問ひし時

露ぞとこたへて消なましものを

草の露を見た愛しい人が「あれは真珠かしら?」と尋ねたときに、「いやあれは露だよ」と答えて、(その露が消えるように私も)死んでしまえばよかった。

 高子と駆け落ちしてその後引き裂かれた時の心情を歌ったものらしいのですが、なんかこう…業平の歌っていちいち艶めかしいのよね(笑)

 

 数々の歌から垣間見える「在原業平」像。嘘か真か、生涯で三千人の女性と関係したという光源氏顔負けの華麗なドンファンぶりとは裏腹にどこか、世の移ろいや人の命の儚さを見据えているかのような陰翳が仄見えて、なんとも表現しがたい複雑な魅力がある男。千年以上経った今でも、彼の歌がこんなにも私たちの心を捉えて離さないのは、そんなところに秘密がありそうです。