オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994年)と台湾の思い出


f:id:rie4771:20230818134146j:image

 KINOシネマ横浜みなとみらいで『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994年)4Kレストア版鑑賞。

 

 思い起こせば1年前、昨年秋に開催された「東京国際映画祭」。エドワード・ヤン監督の追悼上映ということで、『恋愛時代』が初めて日本で上映されました。仕事の関係でどうしてもその時間までに東京まで辿り着けなくて、涙を呑んだあの日😢濱口竜介監督のTS付き……という最高にゴージャスなプログラムだったのに……。それ以来、劇場公開を今か今かと首を長くして待っていたヲタクであるが、待ちくたびれて熱もさめかけていた頃に突然の公開🫢…夏の疲れも一気に吹っ飛んだ❗(←単純(^o^;))

 

 1990年代前半の台北。若くして会社の経営者となったモーリー(リー・シューチュン)ですが、経営状況はイマイチで、しかも婚約者アキンとの仲も停滞気味。一方、モーリーの親友チチはモーリーの会社で、彼女の右腕として奮闘しているものの、モーリーの、いかにも財閥令嬢的な奔放な仕事ぶりに振り回されてプライベートもままならず、それに不満を持つ恋人ミンとはケンカが絶えません。そんなモーリーとチチの2人を中心に、モーリーの友人で舞台演出家のバーディ、モーリーの姉(TVプロデューサー)と、小説家で別居中の彼女の夫、顧問弁護士、女優のタマゴ……etc.って、他にも誰かいたっけ❓(笑)10人にも及ぶ登場人物たちが組んず解れつ行ったり来たり、愛や人生の意義、自己実現を求めて疾走するスクリューボール・コメディ❗……だよね❓ジャンル分けするなら。彼らの恋愛絡みのドタバタ、かな〜り笑えたんだけど、シアター内は妙にシーンとしていて、バカ笑いしたい衝動を必死にこらえるヲタクなのでした(^.^; 前作の『牯嶺街(クーリンチェ殺人事件』で、重厚な作品が得意な「台湾の巨匠」の印象があるエドワード・ヤンだけど、彼自身は固定的なイメージが付くのを嫌っていたのではないのかな❓だからこの作品も、もっと肩の力を抜いて楽しんでもいいと思われる。
f:id:rie4771:20230818181926j:image

※観終わって、(…これって結局、モーリーとチチのシスターフッドだったの❓)って思ったヲタク(笑)

 

 じつはヲタク、この映画が製作されたちょうど翌年の1995年に仕事で台湾を訪れているんですね。ある国際会議に、日本使節団のアテンド通訳として。アテンド通訳…と言っても名ばかりで、ツアコンよろしく使節団のお偉いさんたちにアゴでコキ使われ、ヘトヘトになってましたが(^.^; 台南の山中にある会議場に1週間籠もっていたので、台北を観光したのは帰国直前の1日だけでしたが、夜の街角、ボンヤリしていると「お小遣いちょーだい」と言いながらわらわらと集まって来る子供たち、小さなスクーターに4人も5人も乗って猛スピードで走り去るさま、怪しげな屋台の裸電球の下、白い腹がヌメヌメと光るヘビのアルコール漬……等等が脳裏に蘇ります。そして大気汚染が酷いためか、アレルギー持ちのヲタクは台北にいる間じゅうノドがムズムズして、しょっちゅう咳き込んでいました。エドワード・ヤンの作品で言えばまさに、『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)で描かれた世界です。『牯嶺街』直後に製作された『恋愛時代』では、ヤン監督は一転して、時代の先端で働く若者たちのポップな恋愛模様を描き出してみせました。ヤン監督がこの作品で描いた台北は、ヲタクが当時見た台北と同じ街だとはとても思えません(^o^;) こんなモダンな貌がどこに隠れてたの(笑)

 

 1994年の台北と言えば、西欧化と経済発展が急激に進んでいた頃。ヲタクが台湾を訪れた時に見た、時代に取り残されたような古い町並みが残っている一方で、次々と新しい高層ビル群が林立していく……。しかし、当のビルのオフィスで働くヤングキャリアたちは、そんな時代の「軋み」の中で不安を抱え、過剰な言葉の洪水の中、右往左往するばかりのように見えます。コメディのオブラートに包まれてはいるけれど、内包されるテーマは、かなり重いと見た。日本の高度成長期に青春時代を過ごしたヲタクなどは、彼らにひどく感情移入しながら見ていましたが。


f:id:rie4771:20230818182201j:image

台北のビル群を背景に浮かび上がるモーリーとチチの美しいシルエット。…結局のところ、世界を動かすべきは女縁よね❗(…ち、違う❗❓(^o^;))

 

 ヤン監督を敬愛しているという濱口竜介監督は、この作品について以下のように語っています。

 

 きっとエドワード・ヤンは、あの町のモダンな側面にある一種の病、都市特有の人間が阻害されているところに焦点を当てたかったんだろうなと思います。

 

 …なるほど❗男性の感覚からすればそうかも。……でもね、モーリーやチチ、女優志望のファンに限らず女子はもっとしたたか。病を得ようと阻害されようと、這い上がって生きていくよ❗

 

 

★今日のオマケ〜ヒロイン・チチを演じるチェン・シャンチー

 キュートでコケティッシュで、魅力溢れるヒロインを演じたのは、蔡明亮ツァイ・ミンリャン)監督のミューズ、チェン・シャンチー。ヲタクが彼女の演技を初めて観たのは、ミンリャン監督の『西瓜』(2005)だったから(昨年の東京国際映画祭で鑑賞)、その落差に驚いた🫢別人かと思った。……まあ、9年の年月が経っているわけだから当然かもしれないけど。『西瓜』はR18指定で、その過激な性描写から、当時台湾国内で上映するか否かで紛糾したらしいけど、そのじつ、恋に不器用な男女の切ないラブストーリーなんです。『恋愛時代』を見て、チェン嬢に魅了された向きはぜひどうぞ。但し、作品のテイストは全くと言っていいほど違いますけど(^.^;


f:id:rie4771:20230818194224j:image

※チェン・シャンチーが西瓜を舐め回すこのシーン……映画史上1、2を争うエロさです(^o^;)


f:id:rie4771:20230818194458j:image

好きな女性にはなぜか勃たない……というAV男優の悲喜劇を魅力的に演じたリー・カーション。可愛らしくて、めっちゃ母性本能くすぐられた(笑)