10話まで見て、すっかり『光る君へ』にどハマリ中のヲタク。五節の舞や打毬(だきゅう…平安時代の馬術競技)シーンなど、当時の宮廷行事も度々登場、それだけでもめっちゃ楽しい。NHKはさすがおカネがあるから、衣装もセットもモノホン感ハンパないしね(笑)。
ヒロイン・まひろ(吉高由里子)が後々、自らの宮廷での体験を基にして『源氏物語』を書いたものと考えれば、これからドラマのほうにも、物語中に描かれる平安時代の様々な名シーンが登場するのでしょうか。つらつら思いつくだけでも、「藤の花宴」(右大臣家の姫君と一夜を共にし、名を告げることなく扇を交換する…『朧月夜』)や賀茂祭(源氏の正妻・葵の上と愛人である六条御息所が鉢合わせ)、月見の宴(京を追われた源氏が須磨で明石の上と月を愛でる)等など枚挙にいとまがありませんが、ヲタク的に1番映像化してほしいのは、やはりあの、光源氏と頭中将が、唐から伝わった二人舞の青海波(せいがいは)を披露する場面かしら……。٩(♡ε♡ )۶源氏があまりにも人間離れした美しさであったため、「不吉過ぎる美しさだ。こんなに美しい人は神隠しにあうのでは」などという口さがない噂が出るほどでしたよね。打毬(だきゅう)より、青海波プリーズ!!(笑)
……って、結局何が言いたかったんだっけ(^_^;)……あっ、そうそう、宮廷の人々と交わりはじめたヒロイン・まひろの周りでは、良しきにつけ悪きにつけ実に様々な出来事が起こりますが、脚本家の大石静氏は、まひろを徹頭徹尾、知性の勝った客観的な観察者として描いているところが上手いな、と思います。私たち視聴者も、まひろの視点を通して、当時の貴族社会をそっと覗き見しているような気になる。それも対象はやんごとなき天皇様や、歴史物語や和歌集に登場する貴人たちよ?そんな方々が繰り広げる愛憎ドロドロ……それを黙ってじっと観察するまひろと私たち。まあなんて淫靡な楽しみ方なんでしょう(笑)
※ヒロイン・まひろ(後の紫式部)を演じるのは、吉高由里子。この方のふだんのキャラからいくと、源倫子(黒木華)の不思議ちゃんキャラのほうが適役なのでは…?なんて当初は思っていましたが、まひろの鋭く、硬質な感じを巧みに表現していて、素晴らしいです。
「見る女」、「観察者」まひろの面目躍如だったのが、第10回、藤原道長(柄本佑)と初めて契りを結ぶシーン。政治のドロドロ派閥争いに嫌気がさした道長が、まひろに駆け落ちを持ちかけますが、彼女は即座に「あなたが今、政(まつりごと)から逃げたら、この世を正す人がいなくなる。私はあなたが世を変えていくさまを見ていたいのです。」と切って捨てます(笑)。カッコよかったよね、まひろ。自分自身の特性を早くから見抜いて我が道を行く、ブレない女。彼女は、生まれながらの名評論家といえるのではないでしょうか。この夜のシーン、演じるのが稀代のラブシーンの名手、吉高由里子と柄本佑なんで絵面はめっちゃエロいんですが、まひろの台詞をよくよく聞いてみると、かなりバッサリ切られてるよね、道長(笑)。
そんな彼女の批評眼に、これからどんな景色が映っていくのか。私たち視聴者もまた、息を潜めて成り行きを見守ることといたしましょう。