オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

今、『光る君へ』が面白い!①〜麗しき女人たち


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 ヲタクが今ハマってるのは、今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』!うん、いいですよね。汗臭く泥だらけの合戦モノから華やかな宮廷絵巻へ。脚本も演出も主役も女性が深く関わっている。こういう大河ドラマが見たかったのよ!……あ、男臭い時代劇を否定するわけじゃ、ありませんよ。たまには…たまには、ね?こういうのもいいよね、新鮮で。

 

 『源氏物語』は、男女の愛憎が濃密に描かれていて、男性に選ばれ、通われなければ価値を為さないかのような当時の貴族社会の女性の、恋愛や結婚生活での悲哀や懊悩や怨念が溢れ返っていて、時に息苦しいほどでしたが、『光る君へ』に登場する女性たちは皆賢く、ヒロインのまひろ(吉高由里子)をはじめとして、男たちの野心や権力争いに翻弄されつつも、運命に抗い、それを乗り越えようと奮闘します。NHK大河史上初の「女縁のドラマ」と言っても過言ではありますまい。

 

 『源氏物語』には魅力的な女性たちが登場しますが(ヲタクは個人的に、光源氏狂言回しの役割で、主役は彼が恋するあまたの女性たちだと思っております)、『光る君へ』を見ていると、(あっ、この人はきっとあの人がモデルなのね)という場面が度々出てきて小ネタ満載、何とも面白いです♬

 

★『光る君へ』を彩る麗しき女人たち


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※ヒロインまひろ(後の紫式部吉高由里子)が五節の舞姫を務めるシーン。『源氏物語』にも、源氏がかつて五節の舞姫を務めた「筑紫五節の姫君」(父親が筑紫太宰府の役人だった)に懸想するくだりが出てきますよね。

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円融天皇に入内し、たった1人の皇子を産んだにも関わらず、天皇に疎まれ、憎まれ、孤独を深めていく藤原詮子(吉田羊)。弘徽殿女御か光源氏の最初の正妻・葵の上のモデルかしら。ヲタクも若い頃は源氏の寵愛を受けた紫の上や明石の上に憧れていたけど、年取ってからは、身分が高くても愛を得られず、孤独に苦しむ女人たちに心惹かれるようになりました。

 

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※後に藤原道長柄本佑)の妻となる源倫子(黒木華)。春風のようにたおやかかと思いきや、笑いに包んで鋭いホンネをかましてくる、どこかとらえどころのない、しかしめっちゃ魅力的な女性。彼女の猫好きエピソードは、光源氏最後の正妻、女三の宮を思い起こさせます。女三の宮もふわふわした不思議ちゃんだもんね(笑)


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※ヲタクイチ推しはこの人!当代随一の教養人にして女流歌人赤染衛門(凰稀 かなめ)。迸る知性と凛とした佇まい……。お慕いしておりまする〜(笑)

 

 健気で辛抱強く、魅力キラキラな女性たちに引き比べて、男性のキャラはどこか頼りなく、権力争いに汲々とするさまはどこか滑稽です。自分の出世の為なら天皇にさえ毒を盛る冷酷非道な陰謀家であるかと思えば、悪夢にうなされて妾の藤原 寧子(『蜻蛉日記』の作者・財前直見)に(ボクチン、コワイ)とばかりにすがりつく藤原兼家段田安則)や、おカネのためには何でもしがちな?安倍晴明ユースケ・サンタマリア……晴明よ、オマエもか。なんでこんなに堕落しちゃったんじゃ〜(ToT)『陰陽師ゼロ』の山崎賢人くんがこうなっちゃうのね……笑)、愛妻・忯子(井上咲楽)がいないとなーんもできん花山天皇(本多奏多……『キングダム』同様、上手いなぁ狂える貴公子が 笑)、仕事のグチを延々と話すものだから、妻から「私に話さないで日記にでもかけば!」と言われちゃう藤原実資ロバート秋山)……etc.etc.マトモなのは藤原道長柄本佑)とまひろの父・藤原為時岸谷五朗)くらいかしら(^_^;)

 

 しっかし、町田啓太や本多奏多など当代きってのイケメン俳優を揃えたはずが、演じる若い公達(きんだち)、ゲスばっか。イケメン俳優の無駄遣い…(^_^;)まあ彼らも厳しい身分制度でがんじがらめにされ、当時の貴族社会のシステムの中で右往左往しているだけなんで、現代人のヲタクが文句つけてもしょうがないんだけどね。

 

 若い公達と言えば、『源氏物語』の帚木の章、あの有名な「雨夜の品定め」を想い起こさせるこんな場面も。

 

 平安京いちのモテ男、左大臣の息子・藤原公任(町田啓太)は宮廷の若い女房たちから数え切れないほど恋文をもらってるらしく、「字は上手いが顔が悪くて」「たまに(貰った文を)便所に落としちゃう」など、言いたい放題(^_^;)それを受ける藤原斉信(はんにゃ・金田哲)も「そりゃ運が悪い」だって。全くねぇ……。


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※政(まつりごと)そっちのけで女性の品定めに興じる若い公達たち。軽いなー、軽すぎるよ、君たち(笑)大河出演2回目の町田啓太くん、『青天を衝け』あの凛々しい土方歳三今いずこ……(泣)

 

 この場面は昔も今も変わらぬ若者のありがちなエロトークなんですが、公任たちの軽々しいトークを、

※「雨夜の品定め」に昇華させるなんて、さすが稀代の天才ストーリーテラー紫式部

※この時、光源氏は義母である藤壺女御と許されぬ恋の真っ最中、しかもその後、会話の相手の頭中将の昔の愛人・夕顔となさぬ仲になる……という展開でかなりドロドロしております。


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※何もかも捨てて駆け落ちしようと迫る道長に、「それはなりませぬ。あなたは良き政を為すために生まれて来た。私はそんなあなたを死ぬまで見つめ続けます」と言い切るまひろがカッコよすぎて泣いた…… 。

 

 先日の第7話で紫式部のライバル、清少納言ファーストサマーウイカ)も初登場したことだし、これからますます面白くなってきそうな予感!!

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