オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

アカデミー賞受賞作『グリーンブック』


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桜木町駅前のシネコン「ブルグ13」にて、アカデミー賞助演男優賞、作品賞受賞の『グリーンブック』鑑賞。

 

 グリーンブックとは、映画の舞台になった1960年代アメリカ、黒人の夜の外出が法律で禁じられていた頃、「黒人宿泊可能なホテル」を羅列したガイドブックのこと。テーマの全てが、この短い題名に込められています。



 黒人ピアニスト、ドン(通称ドクター)シャーリーは、1960年代、人種差別を自らの天才的演奏技術で乗り越えるべく、危険きわまりない、「最も南部的な地域(Deep South)」に演奏旅行に出かけることを決意。その運転手兼用心棒に雇われたのが、イタリア移民出のトニー(ヴィゴ・モーテンセン)。シャーリー演じるマハーシャラ・アリ。どんなに天才で富裕であっても、黒人であるがゆえに宿泊ホテルも限定され、レストランもトイレも閉め出される。かといって、黒人からは富裕で成功者であるがゆえに白い目で見られる。しかも彼はゲイ。圧倒的マイノリティの孤独の中で「私は一体どう生きるのが正解なんだ❗」と、トニーに叫ぶその場面、助演男優賞に相応しい名演技でしたね。一方、単純ですぐ手が出る、奥さんに満足に手紙も書けない粗野な、だけど気の良い男を知性派のイメージが強いヴィゴ・モーテンセンが巧みに演じていました。(最近で印象的な役は、「危険なメソッド」かなぁ。今回とは真逆の役だという意味で。冷徹な精神分析の祖、フロイトを演じていました。)

 

  重たいテーマを、笑いを交えつつエピソードを積み重ね、感動の結末に導く展開は、コメディを得意とするピーター・ファレリー監督の職人わざで、作品賞も納得の内容だったと思います。それにしてもマハーシャラ・アリ、ピアノ弾いているのは全て本人❗それも短期間でマスターしたそうです。「ラ・ラ・ランド」のジャズピアニスト、ライアン・ゴズリングにもタマゲましたが。二人とも天才だわ❗あのピアノの場面だけでも、アカデミー賞あげていいくらい(笑)