オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

太宰治 in『文豪ストレイドッグス』 VS. モノホン対決❗

  以前、我が耽美主義の師匠、澁澤龍彦様ご登場の映画「文豪ストレイドッグス~Dead Apple」についてチラッと書きましたが、今はTVアニメにハマってます。イチオシは堅物メガネ国木田独歩センセイですけど、今日は、今年が生誕110年ということであちらこちらでイベントが開催されたり、蜷川実花監督「太宰治と三人の女たち」も公開…というわけで、太宰治についてひとくさり(笑)

 

  文ストキャラ人気投票ではたいていダントツ1位の太宰治。本人包帯だらけの自殺マニアで(汗)「美人と心中」をいつも夢見ていろんな人を口説いてますが、まだ実現には至ってません(笑)モノホンの太宰さんは、愛人の看護婦さんと玉川上水に入水して亡くなってますけどね…。

 

  ワタシが太宰にハマっていたのは高校時代。親にねだって「太宰治全集」全巻、神田の古本屋で揃えたのを覚えてます。大学受験真っ只中だったけど、目指す大学が自分の実力より上すぎて担任には「お前の模試の成績じゃとてもムリ。浪人したくなきゃランク落とせ」って言われてた頃で、でもその鬱々としたキモチを表に出せず、なんか友達の前ではことさらへらへらしてた。そんな自分を、同じように自己確立ができなくて、でもそれをひたすら隠しておちゃらけて、「自分は道化者」って言ってる太宰に重ね合わせていたんだろうなぁ。またね、太宰ってうまいんだわ、人をたらしこむような言葉が(笑)「生まれて、すみません」「恥の多い生涯を送ってきました」とか「惚れられるつらさ、愛せられる不安」「弱虫には幸福さえ不安なものです」とか。母性愛の強い女性だと、つい(私が幸せにしてあげる❗)ってフラフラいっちゃうかも。

 

  文ストの太宰さんも、本心見せてくれるかなぁ…と思って近づくと、ヒラリとかわされたりして、ミステリアスな人物ですよね。優しいのか冷酷なのかわかんないし…。そんなところ、実在の太宰を彷彿とさせますし、太宰治織田作之助坂口安吾の三人は、いわゆる取り澄ました「古典文学」に反抗して、シャレや滑稽さを強調した「無頼派」と呼ばれるグループの盟友同士なんです。だから、アニメの第2シリーズ、横浜のバー「ルパン」であの3人が飲んでる図って、まんまなんですよ。実際、バーで寛いでいる太宰の写真も現存してますし。しかし、第2シリーズ、太宰がポートマフィアの幹部時代の、織田作とのエピソード切なすぎるよぅ😭特に子供たちが…ううう。

 

  しかし文スト、実在の文豪の作品やエピソードよくもまああれだけ調べてマンガにしたなぁ…ってカンジで、そこここに小ネタが散りばめられていて楽しい🎵個人的にツボなのは、実際には太宰が神様みたいに崇拝していた芥川龍之介が、文ストの中ではもう太宰にゴロニャンなところかなぁ。「ヤツガレは…」って、太宰に必死に愛を訴える芥川が超可愛い(笑)太宰さんに「(人虎の)敦のほうがよほどお前より優秀だ」って言われて、敦にシットしまくるヤツガレくんが。

 

  実在の太宰って、生きている間はなかなか世の中に認められなくて、芥川賞の選考に漏れた時には、あの「文豪」川端康成にまるで駄々っ子みたいな手紙送り付けてる。「大家」とか「文豪」なんてクソくらえ❗ってスネながらじつは、一番憧れていたのは太宰自身じゃないか…って。「あらまほしき自分」と、「リアルな自分」と折り合いをつけられずに、引き裂かれてしまったのが太宰治じゃないかと、ワタシ的には思ってます。

 

  文ストの太宰はミステリアスで掴み所がないけど、みんなに慕われ頼りにされるアニキ的なカッコいいヒーロー。作者の朝霧カフカさんの、太宰の生前は果たせなかった夢をマンガの中で叶えてあげよう…って、彼への深い愛を感じます、うん(笑)