オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

これは熱烈ブロマンス映画なのだ❗(ち、違う😅❓)~『生きちゃった』


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 およそ8ヶ月ぶりの東京にキタ~❗ユーロスペースで映画『生きちゃった』。前回の上京は、渋谷Bunkamuraでセルゲイ・ポルーニンのバレエの舞台を見たんでした。それからというもの、文化芸術への試練が続いたのはご存知の通り。昨年と全く同じ状況…というわけにはもちろんいかないけれど、好きな映画を好きな映画館で見ることのできる幸せを、改めてかみしめる。

 

  妻の奈津美(大島優子)と娘と3人で、平凡だけど幸せに暮らしている…と思い込んでいた主人公・厚久(仲野太賀)。いつか一緒に起業することを夢見ている親友・武田(若葉竜也)と通っている英語や中国語のクラスでも、例文として口をつくのは家族のこと。

 

  だけど、だけど妻の気持ちは、違った。ある夏の暑い日、体調を崩して早退した厚久の目に飛び込んできたのは、あられもない姿で喘ぎながら、見知らぬ男に馬乗りになっている妻の姿だった…。

 

  厚久はどうしてこんな事態になってしまったのか、訳もわからず途方に暮れるばかり。親友の助けを借りて、筋道立てて考えをまとめようとするが、上手くいかない。そうこうするうちに時ばかりが過ぎ、妻や子のその後を含め、彼を取り巻く運命はまるで坂道を転がるように、思わぬ方向に急加速で動き始めて…。

 

  自分の心の在りかもわからず、それを表現する術も知らず、どんな状況にあってもただ困ったように微笑むだけの無口な主人公を、仲野太賀がもう、心憎いばかりに巧みに演じています。だからこそ最後のクライマックス、自分が本当に望んでいることに気づいて、人生で初めて❓自ら行動を起こす、その感情の爆発が生きた❗そして若葉竜也ね~~😍優しい優しい人柄の親友役。『愛がなんだ』のナカハラくんよりさらに優しいんだよね。彼の、主人公への気持ちはきっと、友情を越えた熱烈なプラトニックラブ❤️…たぶん、今日一緒の回で見てた人の中で、ヲタクと同じ感想を持った人は誰一人いないと思うけど(笑)でもいいの、映画館で上映が始まったら、もはや作品は監督のものでも俳優さんたちのものでもない、私たち観客のものだから😊私たちは自由に作品を愛せばいい🎵…と思う(笑)

 

  最後のクライマックス、自らに目覚めようとする厚久の再生の号泣。私たち観客も、彼を励ます武田と一緒に号泣する。心の中で(がんばれ❗今こそ愛を叫ぶ時だっ❗)って…。上映終了後、場内が明るくなって目を腫らしてるのは少々気恥ずかしいけど、他のみんなもだいたい似たような顔してるから、大丈夫(笑)この後味、不器用でどんくさい主人公にいつのまにか感情移入して、頑張れ頑張れって心の中で旗振るカンジは、昨年公開の名作『宮本から君へ』に似てるなぁ~~😊もっとも宮本くんの場合、厚久とは真逆で、考える前に行動起こしちゃって、大変なことにいつも巻き込まれてたけど(笑)

 

  大島優子もね、女性の一途さ、狡さ、身勝手さを持つ反面、愛に飢えた女性の淋しさ、娘の為なら身を投げ出す母性のひたむきさが滲む難しい役どころだったと思うんですが、リアルに演じきって凄いと思いました。『紙の月』の時も宮沢りえに負けてないな、と思ったけど、今回の作品ではもう何というか、役が憑依してましたよね😮嶋田久作伊佐山ひろ子(厚久の両親)、北村有起哉など脇役も味のある役者さんたちばかり(北村さんの役は…まあ、ホントにキモチ悪かった=笑。演技の力ですね😊)そしてそして、厚久の兄役にパク・ジョンボム監督❗愚かな、だけどひたすらに弟を愛する兄😢

 

  見た後が爽やかなのは、登場人物がみな、誰かを一生懸命愛しているから。その発動のしかたがかなりズレてる為に、結果的に人や自分を傷つけちゃうんだけど、それが何なんだ?誰も正しく人を愛せる方法なんか知らない、みんな失敗だらけでもがきながら生きている、だからこそ生きてることが、生き続けることが大事なんだ。

 

…久しぶりに そんな気持ちにさせてくれる、熱いエネルギッシュな映画でした❗

(おまけ)

レ・ロマネスクの劇中歌が、いまだにヲタクのアタマの中をぐるぐる回ってる。パフォーマンスをボーゼンと見つめる仲野太賀と若葉竜也の何とも言えない表情と共に(笑)