オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

フツーのシャルロット・ゲンズブールもイイね❗〜『午前4時にパリの夜は明ける』

 
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KINOシネマ横浜みなとみらいにて、フランス映画『午前4時にパリの夜は明ける』鑑賞。


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エリザベートは、彼女の担当するラジオ番組に参加した18才の少女タルラ(ノエー・アビタ)が家出少女だと知り、自宅に招き入れますが…。

 

 始まりは1981年。所はパリ。街は、※ミッテラン大統領当選の祝賀ムードに沸き立っています。思春期の子供2人を持つヒロイン、エリザベート(シャルロット・ゲンズブール)もまた、「何かが変わる」希望と期待に胸を膨らませる1人でした。しかしその僅か3年後の1984年、彼女の人生は奈落の底に……。長い間険悪な関係になっていた夫がついに家を出て、愛人と同棲生活を始めたからです。人生で1度も働いたことのないエリザベートは途方に暮れますが、そんな時にふと頭に浮かんだのが、破綻した結婚生活の心の支えだった、リスナー参加型の深夜のラジオ番組「夜の乗客」でした。思い切って彼女は、「ラジオ・フランス」の門を叩き、「夜の乗客」のパーソナリティであるヴァンダ(※2 エマニュエル・ベアール)のオーディションを受けますが…。

※1「フランス最後の国父」と呼ばれるミッテラン大統領。現在でも、死刑廃止生活保護費・年金の充実・週39時間労働制の実施、マーストリヒト条約の署名など、彼のかつての政策を評価するフランス人は多いようです。

※2 エリザベートとは対照的、ザッツ・キャリアウーマンなヴァンダを演じるのは、フランスを代表する名女優エマニュエル・ベアール(『美しき諍い女』『8人の女たち』)。彼女もシャルロットに負けず劣らず大胆な演技をするので有名。『美しき諍い女』のベアールはスゴかったっすよね(笑)


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エリザベートの住むアパルトマン。窓の外に広がるパリの街の、夜も早朝も昼下がりも全て美しい❗

 

 繊細で傷つきやすい一人の女性の自立への歩みとその家族の歴史、そして、ふとしたきっかけから彼ら家族と同居し始めた路上生活者の少女との心の交流を淡々と、しかし温かな眼差しで綴った映画。ヲタクは、どこかでとんでもないどんでん返しが起きるのではないかとずっとハラハラしていたのだけれど、最後までそんな衝撃的な事件は起こらなかった(笑)

 

 ヲタクがなぜ映画を観ている間ぢゅう疑心暗鬼だったのか?

……いやだって、ヒロインがあのシャルロット・ゲンズブールだからさ〜。


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※この作品のもう一人の主役は、言うまでもなくパリの街。家族の住むアパルトマンの屋上から眺めるパリの夜景は、息を呑むほど美しい。

 

 女優、歌手、プロデューサー……と多彩な顔を持つシャルロット・ゲンズブール。女優としての彼女を思う時、ヲタクの脳裏には「ぶっ飛び〜〜」という言葉がよぎる(笑)。その身体の「全て」を惜しげもなくスクリーンに晒すことで有名で、カンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲った『アンチクライスト』(2009年)なんて、ウィレム・デフォーとのシーンのあまりの激しさに、ちょっとしたことじゃ驚きそうもない記者連中からブーイングが起こったとか。日本では公開は無理だろうって言われてたけど、まさかの劇場公開が決まって、ごく一部の映画ファンが騒いでたのは覚えてる。ビビリのヲタクは、『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』以外、彼女の映画って観たことないんだよね。だって、顔を隠しながらこそこそ映画館に忍び込まなきゃいけないような作品ばっかりなんだもん(笑)かといって家族の眼がある中、リビングで動画配信観るのもなんだか気まずいし(^_^;)

 

 この作品の中でシャルロットは、実の子ども2人の子育てでも大変なのに、家出少女まで家に連れてきちゃう母性のカタマリみたいな女性を好演していますが、実生活での子育てはなかなか上手くはいかないらしく(^_^;)、パートナーのイヴァン・アタル(俳優・監督…事実婚で籍は入れていない)との間の息子ベンが最近インタビューで、「母親のシャルロットとの関係は良いとは言えない。常に見棄てられるのではないか……という不安を抱えていた。今でも母親と話す時は声が震えてしまう」と話して話題になってましたね。

 

 今回の作品を観る限りでは、シャルロット・ゲンズブールという人は、とても愛情に溢れた人のように見える。それが彼女の卓越した演技力の賜物なのか、はたまた彼女自身の人柄から滲み出るものなのか、ヲタクには測りかねるけれども(笑)

 

★今日のオマケ

 エリザベートの家では、何かおめでたい時に、※ジョー・ダッサンのフレンチ・ポップス『もし君がいなかったら』を聴きながらエリザベート手作りのプリンを食べる……というナゾの習慣が(笑)その他にも、タルラが夢中なテレビジョンをはじめとして、ペイル・ファウンテンズ、キム・ワイルド、ヘヴンリーのヒット曲が全編を彩り、監督であるミカエル・アースの「1980年代愛」がアツい❗

アメリカ生まれなのに何故かフランス好きで、フランス語の歌を数多く作ったシンガーソングライター。日本人なら誰でも知っているあの『オー🎵シャンゼリゼ』の作者でもあります。