オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

フランス映画

ジョニデの"je t’aime"が心に刺さる〜『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最後の愛人』

横浜黄金町のミニシアター「ジャック&ベティ」で『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最後の愛人』鑑賞。 絶世の美男で「最愛王」と呼ばれたルイ15世。その王が最も愛したのは、極貧の家庭に生まれ娼婦同然の暮らしから持ち前の美貌と才気で貴族社会の階段を駆け…

「なぜ殺されたかって?女の子だからよ!」〜『12日の殺人』

フランス映画『12日の殺人』鑑賞。一応「サスペンス映画」に分類されていますが、ヲタクが直近で観た『落下の解剖学』同様、殺人事件が起きて、頭脳明晰な刑事(または探偵)が登場、見事に謎を解決してめでたしめでたし……なお話ではありません(^_^;)もう冒頭…

映画『落下の解剖学』に鳴り響く50Centの『P.I.M.P』

舞台はフランスのグルノーブル近く、雪に埋もれた山荘。ベストセラー作家のサンドラ(サンドラ・フュラー)は、彼女のファンである女子大生にインタビューを受けていましたが、階上にいる夫サミュエルが大音量で音楽をかけ始めた為、それまで上機嫌でインタ…

巨星墜つ〜『ふたりのマエストロ』と小澤征爾

U-NEXTで『ふたりのマエストロ』(2023年)鑑賞。 オープニング、ヴィクトワール賞を受賞した主人公のドニ(イヴァン・アタル)がスピーチをしますが、その話し出しが……。 「才能のない芸術家を慰めるために賞がある」とある作家は言った。だから僕は野次の…

世界は女で回ってる〜フランソワ・オゾン監督の『私がやりました』

KINOシネマ横浜みなとみらいで、フランソワ・オゾン監督の『私がやりました』鑑賞。黄金町ミニシアター「ジャック&ベティ」で『サタデー・フィクション』を見てすぐKINOシネマに移動して、今日は珍しく映画のハシゴ(^.^; それにしても電車で数駅しか移動し…

東京国際映画祭2023『ポトフ〜美食家と料理人』〜ブノワ・マジメル登壇

※右から、主演のブノワ・マジメル、トラン・アン・ユン監督、監督の奥さま、トラン・ヌー・イェン・ケー。『青いパパイヤの香り』に主演後監督と結婚、 トラン監督の作品ほぼすべてに出演されています。 東京国際映画祭にて『ポトフ』鑑賞。『アメリ』、『大…

バレエ&ダンスオタクも納得❓〜『ダンサー in Paris』

KINOシネマ横浜みなとみらいにて、フランス映画『ダンサー in Paris』鑑賞。 幼少の頃から全てを犠牲にしてバレエに人生を賭けてきたエリーズ(マリオン・バルボー)。パリ・オペラ座バレエ団でエトワールを目指して今日も舞台に立っていましたが、出番の直…

映画界の美しきカリスマ、監督業引退〜グザヴィエ・ドラン『たかが世界の終わり』

この度、若干34歳にして映画監督業からの引退を発表したグザヴィエ・ドラン。「興行収入ありき」の超大作ばかりがもてはやされる現在の映画業界に嫌気がさしたのが主な理由だそうです。ドランと言えば、今俳優業をお休み中の村上虹郎くんが大のドラン・フリ…

響け、音楽の力〜『テノール❗人生はハーモニー』

今日は珍しく映画を2本、ハシゴしました。桜木町駅前のシネコン「ブルグ13」でこの映画を観た後、ダッシュで「KINOシネマ横濱みなとみらい」で『アフターサン Afterson』鑑賞。この2本がまたねぇ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 3』に負けず劣らず…

フランス風苦味の効いたハートフル・コメディ〜『ウィ、シェフ❗』

KINO CINEMA横浜みなとみらいにて、フランス映画『ウィ、シェフ❗』鑑賞。 ⼀流レストランのスーシェフ(副料理長)として働くカティ。夢はいつか⾃分のレストランを開くこと。しかし、自らの技量に圧倒的なプライドを持つ彼女は、ある日オーナーシェフと⼤ゲ…

フツーのシャルロット・ゲンズブールもイイね❗〜『午前4時にパリの夜は明ける』

KINOシネマ横浜みなとみらいにて、フランス映画『午前4時にパリの夜は明ける』鑑賞。 ※エリザベートは、彼女の担当するラジオ番組に参加した18才の少女タルラ(ノエー・アビタ)が家出少女だと知り、自宅に招き入れますが…。 始まりは1981年。所はパリ。街は、…

ジャズとベスパとミニスカ〜『パリタクシー』

借金だらけ、あと2点キップ切られたら免停の「人生崖っぷち」タクシードライバー、シャルル(ダニー・ブーン)がある日乗せたのは、高齢の品の良いマダム、マドレーヌ(リーヌ・ルノー)。自宅を出て高齢者施設に向かうマドレーヌは、「施設に入る前に、人生思い…

パリを舞台にしたおススメ映画PART5〜レトロファッションがステキな『ミセス・ハリス、パリへ行く』&『タイピスト❗』

★ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年) 舞台は1957年、ロンドン。 第二次世界大戦で出征した夫を待ちながら、家政婦の仕事をかけもちして日夜働いているミセス・ハリス(レスリー・マンヴィル)。しかしある日のこと、夫の乗った飛行機は1944年に撃墜され、残っ…

パリを舞台にしたおススメ映画PART4〜『死刑台のエレベーター』『さよならをもう一度』

「パリを舞台にしたおススメ映画」第4弾は、モノクロ画面で輝く美しいパリ……でございます。 ★死刑台のエレベーター(1958年) 武器密売に手を染めるカララ社の社長夫人フロランス(ジャンヌ・モロー)は、年の違いすぎる夫カララとの結婚生活に絶望、夫の部…

パリを舞台にしたおススメ映画PART3〜『パリ、嘘つきな恋』『冬時間のパリ』

今日は「パリを舞台にしたおススメ映画」第3弾上映当時もあまり話題にならなかったけれど、そのまま埋もれてしまうには惜しい映画を2つ選んでみました。 ★冬時間のパリ(2018年) 冬は、パリが一番パリらしい季節。そんな「冬時間のパリ」に繰り広げられる…

ジャン・コクトー没後60年映画祭③〜宝石のような映像詩『詩人の血』

詩は全て紋章である。解読するには詩人の血と涙を必要とする。 冒頭のモノローグが全てを語るような、場面の一つ一つが宝石のように美しい映像詩です。 自室で人の顔のデッサンに余念がない詩人(エンリケ・リベロス)。するとその唇だけが生きたように動き…

ジャン・コクトー没後60年映画祭②〜『美女と野獣』

『オルフェ』(1950)に続いて今回ご紹介するのは、『美女と野獣』。ディズニーのアニメ版・実写版、劇団四季の舞台等で有名すぎるほど有名なお話ですが、元祖はコチラ❗ 原題は『La Belle et la Bête』、まんまです(^_^;)ディズニー版ではたしか「Belle ベル」…

ジャック・コクトー没後60年映画祭①〜『オルフェ』(1950年)

詩人、小説家、劇作家、評論家、画家、映画監督、脚本家……という多彩な貌を持ち、「芸術の神」とも言うべきジャン・コクトー (1889年7月5日 - 1963年10月11日)。今年(2023年)は彼の没後60年とのことで、全国各地で「ジャン・コクトー没後60年映画祭」と銘…

パリを舞台にしたおススメ映画PART1『幻滅』『メグレと若い女の死』『エッフェル塔〜創造者の愛』

いつの頃からでしょう、「映画で巡る4都物語」について語りたい……という想いがヲタクの中で芽生えたのは。4都……とは、いまだその地を踏む機会がない憧れの街ニューヨーク、今まで訪れてすっかり魅了されてしまったロンドン、ウィーン、パリの4都。これま…

心身共に痛くなる~『あのこと』(フランス)

KINOシネマみなとみらいで、本年度ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞のフランス映画『あのこと』鑑賞。……見終わって、なんだか身体のふしぶしが痛い(緊張して身体が硬直してたのか?)、心もついでに痛い。 これは大学生のアンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイ)が一…

名優ジェラール・ドパルデュー~『メグレと若い女の死』3月17日公開

『フランス国際映画祭 2022』の一環として、イオンシネマにて『メグレと若い女の死』(パトリス・ルコント監督)鑑賞。 監督は今回来日出来なかったとのことで、エルストナー・ユニフランス代表より、監督のメッセージの代読がありました。本作品を製作するに…

新たなるスタア誕生!~映画『幻滅』のバンジャマン・ヴォワザン

フランスの文豪オノレ・ド・ヴァルザック原作の『幻滅』を堂々映画化、2時間半に及ぶ大作ですが、全く長さを感じさせない、さすがセザール賞7冠!ヲタク的にはフランス映画というと、人生の断片を独自の視点で切り取った、ミニシアター向けの小品が基本的…

バンジャマン・ヴォワザンがヤンチャだった『フランス映画祭オープニングセレモニー』と映画『エッフェル』

※セレモニーの後、エッフェル塔建設を描いたドラマティックな映画『エッフェル』が上映されました。主演のロマン・デュリス(左)と監督のマルタン・ブルブロン。ブルブロン監督は大作『三銃士』の監督に抜擢されたそうです。そして、映画の中でイケおじサクレ…

ジェラール・フィリップ生誕100年祭~至高なる陰翳の美よ

映画史上に輝き続けるフランスの俳優 ジェラール・フィリップが早や生誕100年を迎えました❗ 彼の映画の特集「ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭」が、11月25日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ…

『彼女のいない部屋』(フランス)~マチュー・アマルリックのジャポニズム

Bunkamuraル・シネマで『彼女のいない部屋』(フランス)。監督はマチュー・アマルリック。ヲタク、監督としてはお初ですけれども、俳優さんとしては何度か拝見しております。独特の風貌をしていて、一度見たら忘れられないタイプ。直近では、『シンク・オア・…

映画『イヴ・サンローラン』~モードの陰にBLロマンスあり?

上 : イヴ・サンローラン本人 下 : ピエール・ニネ 本日ご紹介するのは、フランスの若手演技派ピエール・ニネが伝説のデザイナー、イヴ・サンローランに扮した映画『イヴ・サンローラン』(2014, フランス)。当ブログでは以前、彼が出演した『婚約者の友人』…

映画『ブラック・ボックス/音声分析捜査』~飛行機に乗るのが怖くなる

キノシネマみなとみらいで見逃していた『ブラックボックス /音声分析調査』を、遅蒔きながらU-NEXTで観賞。 ひたひたと静かな怖さが押し寄せてくるようなサスペンスの秀作です。 フランスの航空会社(架空の会社ヨーロピアン航空)肝いりの最新型旅客機が、ア…

『アプローズ、アプローズ!』~ラストがいかにもフランス風

横浜のミニシアター「ジャック&べティ」で『アプローズ、アプローズ❗/囚人たちの大舞台』観賞。 何をやっても上手くいかない舞台俳優のエチエンヌ(カド・メラッド)。親友や離婚した元妻は着々とキャリアを積んでいるというのに、彼自身は3年も俳優の仕事の…

『オフィサー & スパイ』(フランス)~題材は「ドレフュス事件」

キノシネマ横浜みなとみらいで『オフィサー & スパイ』観賞。 19世紀末、フランス国民を震撼させた「ドレフュス事件」。士官学校を出たばかりの青年将校ドレフュス(ルイ・ガレル)がドイツに機密を漏洩した罪で終身刑を言い渡された事件です。当時フランスで…

舞台人の心意気❗~映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい❗』

(横浜美術館前の紅葉) キノシネマみなとみらいで『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい❗』 1897年12月27日の初演以来500日間のロングランを達成し、フランスを代表する戯曲と言われる『シラノ・ド・ベルジュラック』。戯曲の作者、エドモン・ロスタンを主…