オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

最後に愛は勝つ〜『コンパートメント No.6』


f:id:rie4771:20231210124432j:image

 1990年代モスクワ。モスクワの大学で考古学を学んでいるフィンランドからの留学生ラウラ(セイディ・ハーラ)は、大学の担当教授イリーナと愛人関係にあり、イリーナの取り巻きであるロシア人のインテリゲンチャたちとパーティ三昧の日々。そんなある日、ロシア最北の漁港の町ムールマンスクにあるペトログリフ(古代の岩面壁画)を見に行こうと思い立ったラウラはイリーナと一緒に※モスクワからムールマンスクまで鉄道旅をすることにしますが、出発当日イリーナは現れず…。恋人にドタキャンされたラウラは仕方なく一人で寝台車のコンパートメントNo.6に乗り込みますがそこには、すでに強い酒を飲んで出発前からベロベロになっている若い労働者風の男リョーハ(ユーリ・ボリソフ)がいました。一目でラウラに興味を抱いたらしいリョーハですが、次々と下品な会話を繰り出して来るのでラウラはしょっぱなからウンザリ(^.^; 挙げ句の果てには「ムールマンスクまで何しに行くんだ❓売春か❓」と言われたもんだから、大人しい彼女もついにプッツン(笑)車掌に部屋換えを直訴しに行きますが……。

※モスクワからムールマンスクまで約2000キロ、走行時間は35時間。


f:id:rie4771:20231210124522j:image

※ロシア語ペラペラだなぁ…と感心して見ていたラウラ役のセイディ・ハーラ。彼女自身、サンクトペテルブルクのロシア国立舞台芸術研究所に留学して演技を学んだそうで…。この役にぴったりな方だったんですね。

 

 何しろ、一見粗野で無教養に見えながら、それはただ言葉を知らず、表現が不器用なだけで、そのじつ優しく、純粋な赤子のような魂を持つリョーハを演じるロシア人俳優ユーリ・ボリソフに全て持って行かれたよ。(笑)冒頭の登場場面では、ラウラに感情移入して、画面に向かって「何なの、このサイテーのセクハラ男❗」ってさんざん毒づいていたヲタク(自宅で映画を観る醍醐味はコレね。独り言言いたい放題、食べ放題🥐、飲み放題🥤 笑)。ところが、ラウラが次第に彼に心を開いていくにつれ、(あ、あれ❓この人、こんな湖みたいなブルーアイズだったっけ❓キリアン・マーフィーにも負けないじゃん。それによくよく見たら、ジェームズ・マカヴォイに似たイケメンだわ😍)なーんて思い始めた。ズルい、ズルいよ、ユーリ。あんな登場の仕方しておきながら、いつのまにか観ている女子はみんなあなたのトリコ(笑)


f:id:rie4771:20231210133956j:image

※ユーリ・ボリソフ、モスクワ生まれ。シチェプキン高等演劇学校出身、2020 年ロシアの年間最優秀俳優、2021年ゴールデン イーグル賞受賞。

 

 ヒロインのセイディ・ハーラ、お世辞にも美人とは言えないんだけど、知的な雰囲気を醸し出しており、リョーハがラウラに惹かれたのは決してその外見ではなく、知性や教養、真面目さを見抜いていたからなんだと、自然と私たち観客が納得できる設定になっているんですよね。また、ラウラがリョーハに「なんでその恋人を好きになったの❓」と聞かれ、「生き方が美しい人なの。家がキレイだし、壁紙が……」と話しているうちに、(私はイリーナの表面しか見ていなかった)と、自分が憧れていたものの本質と、自らの浅薄なスノッブさ加減を次第に認識していくシーンも良かったなぁ。

 

 舞台は、真冬のロシア北部を走る鉄道と世界最果ての街。渺々と吹きすさぶ吹雪や、睫毛も白くなるほどの凍てつく空気の中で、なおさら欲しくなる人の温もり。果たしてラウラはそれを手にすることができるのでしょうか❓最初のほうでリョーハが「フィンランド語で「アイシテル」ってなんて言うの❓」とラウラに尋ねた時、彼にぷっつん中(笑)のラウラは「クソッタレ」って意味のフィンランド語を教えるんですが(…ヒドイね 笑)、これが映画の最後のオチに効いてきますのでお楽しみに❤

 

 監督は「オリ・マキの人生で最も幸せな日」で彗星の如く長編映画デビューを飾り、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の作品賞に輝いたフィンランドの新鋭ユホ・クオスマネン。原作は同国の作家ロサ・リクソムの小説だそうです。本作品もまた、2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、グランプリを受賞しました。


f:id:rie4771:20231210153749j:image

※ムールマンスクで時折見られるというオーロラ。

 

★ムールマンスクという街

 ラウラがペトログリフを見るために目指した世界最北の街ムールマンスク。(ここには一生行かないだろうなぁ)という場所でも、旅の疑似体験ができるのが映画の醍醐味だと思うのですが、YouTubeでもムールマンスクを紹介した動画を発見❗ヲタクがいつも拝見しております、ゆるゆる旅動画YouTuber「無職旅」さんが6年前にムールマンスクに行かれているんですよね。もっとも「無職旅」さんの目的はペトログリフではなく、オーロラだったんですが。映画を観て、この北極圏の街に興味を持たれた方は、「無職旅」さんのこちらの動画もおススメです👇

https://youtu.be/xTUCMZr0GoE?si=5tlEZzx1rpZ7AmG-