オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想、推し活のつれづれなどを呟いたりする気ままなブログ。

わかっちゃいるけど号泣した〜『青春18×2〜君へと続く道』


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 ヲタクにとって映画は、1種の心理カウンセリング的な効用を持っている。気分が下がっている時にはアクションものやマーベルのヒーローもの、コメディが見たくなるし、反対に仕事が上手く運んで周囲から評価を受けて有頂天になりがちな時は難解でシュールな映画やイヤミス

 

 なぜか今日は泣きたかった。なぜかひたすら泣きたかった。新規の仕事の打ち合わせ前に、わけのわからない漠然とした不安と緊張を洗い流してスッキリしたかったから。結果まんまと号泣した。で、めっちゃ気分爽快になった(笑)

 

 現在の台北。大学在学中に友人とゲーム制作会社を立ち上げたジミー(許光漢 シュー・グァンハン)は、CEOの座から追われ、何もかもなくして失意のまま台南に帰郷します。実家で彼がふと手に取ったのは、18年前に台南で出逢い、仄かな恋心を覚えた日本のバックパッカー・アミ(清原果耶)から届いた1通の絵葉書。アミが帰国する時、お互いの夢が叶ったら再会しよう……と誓い合っていたのでした。自分は一旦夢を手にしたように見えたが、全てを失ってしまった。CEOとしての最後の仕事で東京に出張したジミーは、そのまま鎌倉〜松本〜長岡と、さまざまな出逢いを繰り返しながら旅を続けます。旅の途中、彼女と過ごした日々の記憶がジミーの心に蘇り、ついに彼女の生まれ故郷である只見に辿り着きますが……。

 

 結末はほんのり想像がつくから、どこまでも真っ直ぐなピュアなジミーと、それを受け入れたくても受け入れられないアミの切なさが胸を締め付ける😭全編を通じて、グァンハンと清原果耶、若い2人の繊細な演技が光りますが、特に川端康成の『雪国』の書き出し「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」 そのままに、上越線清水トンネルを抜けた時、ジミーが初めて雪を見て目を輝かせて喜ぶシーン、グァンハンくんの幼子のような純粋極まりない表情にヤられます😍

 

 ヲタクはこの映画の舞台となる台南に、ちょうど同時期の約20年前に仕事で10日間滞在したことがあるので懐かしかったなぁ。ただその間、高雄の佛光山にある会議場に詰めっきりだったから、台南の街の様子は全くわからないんだけど…。映画の中で、ジミーとアミの淡い恋を繋ぐのがスクーター(台湾はスクーター天国)。ヲタクは帰国の前日1日だけ観光の時間が取れて、台北の街を急ぎ足で見て回りましたが、その時にめちゃくちゃ驚いたのが、3〜4人のスクーター乗り(^_^;)ヲタクの台北の1番の思い出は、故宮博物院より衛兵の交代式より、ぎゅーぎゅー詰めで人が折り重なるようにして乗ってるスクーター(笑)ジミーとアミがスクーターで走る台湾の街は、設定は18年前だけど、撮影は最近のことでしょうから、交通の様子もすっかり変わっていて、みんなお行儀良く乗ってたね。

 

 そしてもう1つ、ヲタクの台湾の思い出は、とにかく出逢う人がみんな親切だったこと。道で地図広げてるだけで、年配の方が(しかも日本語で)「どしたの❓ダイジョーブ❓」って声をかけてくれることも度々だった。映画の中でアミが見ず知らずのカラオケ店に飛び込んで「サイフ落としちゃったんです。しばらくここで働かせてくれませんか❓」って頼み込んですんなり受け入れられる…って、見ようによってはトンデモ設定だけど、18年前の台湾なら起こり得たかも……って思っちゃった。

 

 ジミーとアミは台湾のランタン祭りで将来の再会を誓い合うのですが、18年後ジミーはアミの生まれ故郷を訪ねる前に、グリーンピア津南(新潟)の雪祭り(花火とランタンが打ち上げられる)を見に行くんですね。こんな互いに酷似した行事が行われているだけでも、台湾ってつくづく、私たち日本人にとって、距離……ではなく、精神的に「一番近い外国」なんだなぁ……と、改めて考えさせられる作品でした。(ランタン祭りは長崎でも行われていますよね)

 

 Mr.Childrenの主題歌『時の旅人』は新曲描き下ろしなのですが、一瞬(あれ❓これミスチルがいつ歌った曲❓)って思っちゃうくらい懐かしい甘酸っぱさに溢れる90’sテイスト。また、アミが愛用しているのが、ニナ・リッチの香水L’air du Temps(時の流れ)。当時はあのフローラルな甘い香りが日本の若い女性の間で大人気だったけど、2000年に入ってから業績不振でニナ・リッチは日本撤退、本国フランスでも経営が危ういらしい……。そんな細かいところも、それこそ「時の流れ」を感じさせました。

 

 女性の方、見に行く時はメーク直しの道具をお持ちください(笑)