それだけじゃない❗インドの『今』、女性の置かれている立場や自立問題、カースト制度や古い因習…。様々に深いテーマを内包した作品です。ヲタクが以前、横浜のミニシアター『ジャック&べティ』の片隅で涙した珠玉の佳品が、動画配信サイトで見れるようになりました❗
いまだに名誉殺人なんて風習が横行しているインドで、メイド(しかも本人が言うようにインドの地方の村では『すでに人生が終わった』19才で未亡人になった女性)と、身分の高いご主人様の禁断の恋愛を描いた作品なんて、初めて見ました😮あの『インドの良心』アーミル・カーンだって手をつけられない不可侵領域じゃないんだろうか…。本国では上映を許されず、1年経ってやっと上映にこぎ着けたといういわくつきの作品です。
…とは言え、映画の醸し出す雰囲気はあくまでも甘く、切なく、物悲しい。高層マンションから眺める、煌めく宝石のようなムンバイの夜景、ヒロインのラトナ(ティロタマ・ショーム)が身に纏うサリーの鮮やかな色合いはこの上もなく美しく、そしてそして、彼女が旦那様(いみじくも原題はそのものズバリ"Sir")に日々作るライムジュースやサンドイッチや数々のインド料理が美味しそうなこと❗🤤
監督・脚本・製作を手掛けた若き新鋭ロヘナ・ゲラは、スタンフォード大学の学位を持つアメリカ育ちのインド女性。生粋のアメリカンだったら、それこそ『エリン・ブロコビッチ』や『スキャンダル』みたいに、戦うアマゾネス的な切り口になっちゃうのかもしれないけど、一見たおやかに見えながら何物にも動かされない芯の強さを持つラトナの人物造型は、彼女の生まれながらのDNAがそうさせたのか…❓
着目したいのは監督だけでなくヒロイン役のティロタマ・ショームもニューヨークで教育を受け、世界で活躍するインド女性であり、旦那様アシュヴァン役のヴィヴェーク・ゴーンバルもインド系シンガポール人であると言う点。ある意味彼らはインド社会のアウトサイダーなんですね。こういう画期的な作品がインド国内で製作されるようになるには、まだまだ時期尚早…ということなんでしょうか。
それにしても、アシュヴァンから「名前を呼んで欲しい」と何度も懇願されながら、頑なに「旦那様」と呼び続けたラトナが、初めて愛しい人の名前を口にする瞬間…。その一瞬に、この作品の全てが凝縮されているように思います😊
☆おまけ
日本版と海外版のポスター、これ同じ映画なの❗❓って突っ込みたくなるくらいイメージ違いますよね😅いつも控え目で感情を表に出さず、愁いの表情が印象的なラトナが、唯一弾けるように踊る祭りの場面を海外版は切り取ってます。お国柄…と言ってしまえばそれまでですが、なかなか興味深いです😊