オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

フローレンス・ピューの表情もコワイ『ミッドサマー』

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   『ヘレディタリー 継承』で世界を恐怖のどん底に陥れたアリ・アスター監督が再び放つ、恐怖と美とエロティシズムの融合*1U-NEXTを初めとして、各動画配信サイトで、今日から1ヶ月限定配信開始です❗緊急事態宣言解除後、ヲタクの家の近くの映画館では夜6時から上映してたんだけど…。

 

『ミッドサマー』観て、ヒタヒタ夜道を歩いて家に帰るなんて、そんな恐ろしいことできるわきゃないっ❗

…というわけで、日の明るいうちに安全なおうちの中で観ましたよ(笑)それでも充分怖かったけど😅

 

  ヲタク的には今回のほうが、『ヘレディタリー 継承』より何倍も怖かった。『ヘレディタリー』は言わば『エクソシスト』系だから、不信心者のヲタクには今いちピンと来ないんですよね。神の存在を信じているからこそ、その対極にある超自然かつ邪悪な存在に恐怖を覚える…っていうか。『エクソシスト』の時も、欧米の映画館では失神する人が続出したっていうけど、それはやはりキリスト教の考え方が体に染み込んでいるからであって、おそらく日本ではそれほど…って感じだったと思う。

 

  しかしですね、『ミッドサマー』は心底怖いです。出てくる人間がみんなコワイのよ(笑)自分と全く価値観が違う、言葉も満足に通じない相手。場所も人里離れた山の奥の奥で、逃げたところで野性動物のエジキになるのがオチ。しかも相手は、こちらが狂気の沙汰としか思えないことを、『神の思し召し』やら『宿命』やらにかこつけて、抜けるような青空の下、目にも鮮やかな花畑に囲まれて、粛々と断行していくのです。それも、嬉々として薄ら笑いを浮かべながら…。

 

 理性とか理屈が通じない、何言ってもムダ、ってのは相当コワイ。…で、最初は感情移入して一緒に不安になったり恐怖を感じてたヒロインが、最後に『あちらの世界』に持ってかれちゃう絶望的な感覚は、『ヘレディタリー』と同じですね。アリ・アスター監督、デヴィッド・フィンチャーに負けず劣らずお人が悪いわ😅

 

  フローレンス・ピュー演じるヒロイン・ダニー、遠く離れた家族を一家心中で失ったトラウマを抱えていて、しかも妹が双極性障害を患っていたことから、(ひょっとして私も…)と思っているんですね。ボーイフレンドのクリスチャン(ジャック・レイナー)が自分との付き合いを重荷に感じ始めている、ということを薄々わかっていても、彼への精神的依存を断ち切ることができない。不眠症なところに夏至の白夜だから、ますます眠れなくて、いつも白昼夢状態(;-ω-)ノそんな不安定な心理状態につけこまれて、どんどん他者の思想に浸食され、洗脳されていく恐ろしさ。キャッチコピーは『祝祭ホラー』、そんなジャンルあるのかしら、怖すぎる😅

 

  フローレンス嬢は、ゴスファッションのプロレスラー役だった『ファイティングファミリー』以来で、剛腕アマゾネスからメンヘラ女子大生、役の振れ幅ハンパない❗英国出身の女優さんで今ハリウッド進出中ですが、現在上映中の『ストーリー・オブ・マイライフ~わたしの若草物語』の末っ子エイミー、『ブラックウィドウ』スカヨハの妹役と、大役が目白押しですね。将来、ハリウッドを背負って立つ女優さんのひとりになるのは確実だと思います。

 

  …しっかし、彼女が最後に見せたあの表情はどういう意味だったんだろうか(-ω- ?)ネタバレになっちゃうから、何一つ具体的な話ができないのがもどかしい😅

 

  綺麗で怖くて、最後に残された大きな謎。二時間半があっという間でございました。

*1:゚□゚;