オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

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映画で世界旅行✈️👜②~『マクベス』2015年版 (スコットランド)

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  (Scotland from Pixabay)

  「おうち時間を楽しく~映画で世界の絶景を堪能する」第2回目は、シェイクスピア原作の『マクベス』、舞台はスコットランドです。

 

  『マクベス』はご存知の通りシェイクスピアの四代悲劇のうちの1つで、本来は舞台劇なんですが、映画で取り上げるからには、観客の私たちからすれば、映画独自のロケーションの美しさやスペクタクルが見たいなぁ…と思うわけでして。その点から見て、これまで何度も映画化、ドラマ化を繰り返してきた『マクベス』、中でもおススメは2015年版です。主役のマクベスをドイツ出身の俳優マイケル・ファスベンダー(ヲタクはミュヒャエル…っていうドイツ語読みのほうが好きなんですけどね😅)、レディ・マクベスをフランス人女優のマリオン・コティヤールシェイクスピアにイギリス人以外の俳優…?って思う方がいらっしゃるかもしれませんが、イングランド人の都会っ子シェイクスピアにとって、当時のスコットランドというのはまるで外国、迷信と呪術の蔓延る、どこか得体が知れなくて妖しい魅力を持った場所…といったイメージだったのではないでしょうか?…なので、いわゆるクイーンズイングリッシュを話さない俳優のキャスティングというのは、『マクベス』に限って言えば、ぴったりな気がします😊


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  スコットランド領主のマクベスは、野心家の妻に唆され、また荒野で偶然出逢った魔女たちの「あなたはいずれ王となるお方」という甘言に心奪われて慈悲深く人望の厚いダンカン王を暗殺、自らが王位につきます。王の暗殺を疑う親友のバンクォーや、自分に背いてダンカン王の長子・マルコムの元に走った臣下のマクダフの妻子を虐殺するも、そんな血塗られた王位が長く続くはずもありません。気丈な筈のマクベス夫人は良心の呵責に苛まれ、次第に狂乱に陥っていきます。マクベスに焼き殺されたマクダフの妻子の幻覚を見、虚ろな目で「手についた血が取れない」と身悶えるマクベス夫人ことマリオン・コティヤール。従来のマクベス夫人の毒々しいイメージとは真逆の、少女のようなコティヤールの風情に、(もしかして、男性を翻弄し、破滅へと導くファム・ファタールとはこんな人を言うのだろうか)と、ヲタク納得(笑)マクベスの横暴に、臣下たちの心も離れていく中、イングランド軍を味方につけたマルコム王子はついに決起。夫人を亡くして茫然自失のマクベスの居城に向かって、大軍が進軍し始めます……。

 

  マクベスにさまざまな予言を投げかけて彼を翻弄する三人の魔女。舞台では、大鍋囲んで

鍋のりをぐるぐる回れ。
腐った内臓を放り込め、
冷たい冷たい石の下
31日昼夜を分かず
眠っている間にたっぷりと
毒溜め込んだヒキガエル、お前を先に茹でてやる。

なんて強烈なセリフで、エグいイメージなんですが😅この映画の中では、スコットランドの冷たい空気に溶け込んだような、祖母・母・孫という妖精族のような存在として登場します。

 

  また、マクベスが自分の未来に絶望して呟くモノローグ(いわゆるトゥモロー・スピーチ)

明日も、明日も、また明日も、
とぼとぼと小刻みにその日その日の歩みを進め、
歴史の記述の最後の一言にたどり着く。
すべての昨日は、愚かな人間が土に還る。

これも、マクベス夫人の亡骸をかき抱いての絶望のセリフになっていて、マクベスが、たとえば同じシェイクスピアの造型したリチャード三世や『オセロ』のイアーゴーや『ジュリアス・シーザー』のキャシアス等の「絶対悪」ではなく、肥大した野心と傲慢さの中に、どこか脆さと弱さを秘めた人物として描かれています。

 

  低く垂れ籠める灰色の雲。

ハイランドの荒涼たる原野に吹き荒ぶ風。

地獄の業火を思わせるような炎と、暗黒の闇の素晴らしい対比。

 

映画でこそ表現できたシェイクスピア劇をぜひ😊


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(Scotland from Pixabay)