U-NEXTで『天才ヴァイオリニストと消えた旋律』観賞。そうそう、これ「キノシネマみなとみらい」で見に行きたいなーと思っていたら、いつのまにか終わってたやつ(笑)
第二次世界大戦下、ポーランド系ユダヤ人の子ドヴィドルは、その天才的なヴァイオリンの腕を見込まれてロンドンの資産家タウンゼント家に預けられます。同世代の一人息子マーティンは、自分を差し置いて父を夢中にさせるドヴィドルに、内心嫉妬し、複雑な思いを抱きますがそれも次第に消え、二人は本当の兄弟のように育ちます。ところがナチスがポーランドに侵攻し、マーティンの両親や幼い妹たちはトレブリンカ収容所で消息不明に。ドヴィドルのやりきれない思いとは裏腹に、彼の天才ぶりは世の知るところとなり、マーティンの父はロンドンで彼のコンサートを開催します。貴族やロンドンの名士が開演を待ちわびる中、とうとうドヴィドルは姿を現さず、そのまま行方不明になってしまったのです。
そして35年後、中年を過ぎたマーティン(ティム・ロス)はふとしたことから、もはやこの世にはいないだろうと思っていたドヴィドルの生の痕跡を発見します。それは、ロンドンからポーランドのワルシャワ、アメリカのニューヨークに至る壮大な旅の始まりでした‥‥❗
このドヴィドルの人物造型がね、傲岸不遜で天才肌で、しかしその底に家族を想う悲痛さを秘めていて‥‥‥‥曰く言い難い魅力があるんですよね。特に子供時代のドヴィドルを演じた少年がめちゃくちゃ良かった。名前の調べがつかなかったけど(笑)
マーティンのドヴィドルに対する思いって、いわば『アマデウス』、サリエリのモーツァルトへの感情にも似て、それは愛なのか憎しみなのか、憧憬なのか嫉妬なのか‥‥。自分で自分の感情を持て余して戸惑うさまを、ティム・ロスが抑制の効いた演技で巧みに表現しています。最初はね、(マーティンって、お父さんの愛情をドヴィドルに取られちゃって、しかもドヴィドルはやりたい放題で、怒りもせずにエライよなー)と思いながら見てたけど、彼が一度だけ感情を爆発させるシーンがあり、ヲタクは(あー、彼もフツーの人間だったんだ、良かった‥‥ホッ)って思いましたことよ😅
ドヴィドルはなぜコンサートの夜に戻って来なかったのか❓
これはマーティンにとっても、観ている私たちにとっても最大の謎となるわけですが、その謎が解き明かされた時、人間の愚かさ、争いの無益さ、戦争の罪に憤り、また涙を禁じ得ないに違いありません😢
このミステリアスなストーリーを彩るのは至高の音楽の数々。防空壕の中で奏でられるパガニーニ「24の奇想曲」、ドヴィドルがコンサートで弾くはずだったブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」のほか、クライスラー「愛の悲しみ」、ベートーベン「6つのバガデル」など、盛りだくさん❗‥‥しっかし、お久しぶりのクライブ・オーウェン、おそらく超正統派ユダヤ教徒の設定のため、長ーいアゴヒゲで顔が殆ど判別できないんだけど(笑)ヴァイオリンを奏でる指先がまんまプロフェッショナルで、いやー、俳優さんってスゴイ❗って感服しましたことよ。(一方、ティム・ロスも『海の上のピアニスト』で、長く過酷な訓練の末、自身で演奏したことが当時話題を呼びましたっけ。)
クライブ・オーウェン、若い頃は相当なイケメンで、映画『トロイ』を観た時はブラピよりカッコいいと思ったけど‥‥月日の経つのは早いっすね😅ブラピがお化け並みに若過ぎるってことかな(笑)
そしてそしてラストに、(ええっ❓そうだったの❗❓)ってゆう衝撃の種明かしがあるので注意してね。うちの夫は、「えー、そういう意味だったの❓」って、私が説明するまで全くわかってなかったですから(笑)