オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

BAFTA(英国アカデミー賞)にベン・ウィショー、ゲイリー・オールドマン、キリアン・マーフィーがノミネート❗

 つい先日、BAFTA(英国アカデミー賞)各賞候補者が発表されました。助演男優賞は昨日のブログでも呟いた(叫んだ?)通り、ジャック・ロウデン一択なんだけど、主演男優賞は迷う〜〜〜❗今回、推しのオンパレードなんだもん(笑)それぞれドラマ自体も素晴らしいし、主役の彼らにとってここ数年来の一番の当たり役のような気がするし。

 

 ……というわけで、今日は3人まとめてご紹介❗


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★『産婦人科医アダムの赤裸々日記』のベン・ウィショー

 実際に産婦人科医だったアダム・ケイの原作「少し痛みますよ~This is going to hurt」のドラマ化。原作は、作者がNHSに勤務していた時の体験談を「赤裸々に」綴ったもの。

「イギリス医療界の良心」と称されるNHS(国民保健サービス)。NHS (National Health Service) はイギリス政府が運営する国民保険サービスで、税収など一般財源によって賄われている医療機関のため、利用者の経済的な支払い能力にかかわらず利用が可能で、原則無料で提供されているのです。むろん、国民にとっては最高の医療機関ですが、「来る者拒まず」のスタンスのため、勤める側の勤務状況は過酷を極めます。

 

 産婦人科医の主人公アダム(ベン・ウィショー)はレジストラー代理で、研修医期間(2年)を終え、専門医として働き始めて数年‥‥といったところでしょうか❓高給取りの、コンサルタントと呼ばれる上級医までは、まだ数年かかるかな‥‥と言ったところ。上司のコンサルタントからは叱られ、看護師からは突き上げられ、まるで企業の中間管理職。

 

ドラマは、病院の駐車場で寝落ちしてしまい、病院からの呼び出し電話で慌てて起きるアダムの寝惚け顔で幕を開けます。病院の入り口で陣痛に苦しんでいる妊婦に遭遇するアダム。覗き込むと、横位の赤ちゃんの手がぶら下がってる~~ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァしかも臍帯脱出(>_<)「あなたホントに医者なの❓」と尋ねる妊婦に「膣を見せる前に聞くべきだ」❗

 

 新米医師のあまりにも過酷すぎる日常を描いているにもかかわらず、どの場面にもそこはかとないユーモアを感じさせるのはさすが英国ドラマ。そして、当代随一のカメレオン俳優ベン・ウィショーの柔軟な演技。その時その時の情感を表情に滲ませる巧みさは彼ならでは。


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バットマンビギンズ』の撮影当時、監督のクリストファー・ノーランに、「キリアンの青い瞳をいつ観客に見せるか。メガネを外す瞬間をいつにしようかばかり考えていた」と言わしめたキリアンのペールブルーの瞳の魔力は、このドラマでも健在❗

 

キリアン・マーフィー『ピーキーブラインダーズ』

…もうこれは言うまでもありますまい。

BBCの大人気ドラマ『ピーキーブラインダーズ』。舞台は第1次世界大戦直後、1920年代英国のバーミンガム。実在のギャング・ファミリーを描いた物語で、題名の由来は、いつも被っているハンチングにカミソリを忍ばせ、いざという時は「眼を切り裂いて、盲目にしてしまう」から。おそろしや~。「ゴッドファーザー」英国版とでも言いましょうか。

 

 ファミリーの勢力拡大の野望を抱き、裏社会で手段を選ばずのしあがっていく次男坊トーマス(通称トミー)シェルビーを演じるのが、アイルランド出身俳優のキリアン・マーフィー。これまで得意としていた繊細……というよりメンヘラがかった演技から一転して、敵に対する容赦ない残忍さとファミリーに見せる優しさ・温かさを持つマフィアのドンを見事に演じ切り(ドラマはシーズン6で終了。含みを持たせたラストだったため、映画化の噂も囁かれています)華奢なイメージでしたが、トミー役の為に肉体改造し、見事なムキムキボディを見せてくれてます(^_^;)トミーはギャングのボスから、ドラマの後半は憂国の政治家へと変身を遂げていきますが、その過程の変化も、超演技派キリアンの腕の見せどころとなっています。


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★『窓際のスパイ』のゲイリー・オールドマン

『窓際のスパイ』は、英国スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの原作を基にしており、MI5(英国情報局保安部‥‥国際問題を扱うMI6とは違い、英国国内の治安維持に務める)の中の「泥沼の家」と呼ばれる窓際部署に寄せ集められたスパイの落ちこぼれたちを描くミステリードラマです。ゲイリーは、毒舌家で品がなくて太鼓腹で^^;、でも内心は部下思いの親分肌、リーダーのジャクソン・ラムを演じています。

 

『窓際のスパイ』は、あのスタイリッシュな007シリーズに対するアンチテーゼのスパイ小説だ‥‥と、ゲイリー・オールドマンがインタビューで語っていた通り、「泥沼の家」、建物はガタガタだし、ラムのオフィスなんてゴミ屋敷。でも、リアルなスパイ活動って、日々の地道な足を使った調査や、それを元に会議や討論を積み重ねることから成り立っているんだな‥‥と気づかされます。しかし一方では、危険も顧みずカラダを張ってやらなきゃいけない任務もある(いやしくもスパイなので(^_^;))。それにしては表彰されるわけでもなく、感謝されるわけでもなく、どこまで行っても陰の黒子のような存在。なんだかワリに合わないよね(笑)そんなスパイたちの哀愁が、ゲイリーの寂寥とした後ろ姿に滲み出ているようで、「背中で語る」ってこういうことなのかな…と。映画『シド&ナンシー』でセックス・ピストルズの伝説的ベーシスト、シド・ヴィシャスを演じて衝撃のデビューを飾ったゲイリー。あらゆる役を経て、辿り着いた到達点がジャクソン・ラムなんだね。このドラマ終了後に引退も仄めかしているゲイリーですが、さて、有終の美を飾ることができるでしょうか?