現在、池袋シネ・リーブルにて、恒例の「NTLive(ナショナル・シアターライブ)夏祭り」が開催中。ヲタクは、ベネディクト・カンバーバッチの舞台『ハムレット』を今週のどこかで観に行く予定。この殺人的に暑い時期、ビル間の熱風が吹き荒れる東京にはあまり行きたくはないのですが、ベネさまのハムレットを観に行くためとあらば、猛暑も酷暑も何のその。
ベネさまはもちろん、英国で俳優を目指す限り、1度は演じてみたいと願う役がまさに『ハムレット』。サー・ローレンス・オリヴィエの昔から、映画やドラマで今をときめく旬の俳優に至るまで、綺羅星の如きスタァたちがこの憂愁のプリンスを演じてきました。ベネさまはもちろんだけど、ヲタクが「とにかく目の黒いうちにこの目で見ておきたい」と思っているハムレット俳優は2人。ベン・ウィショーとアンドリュー・スコット。今日はそんな2人のお話し。
★ベン・ウィショー(2004年)
※「我らが時代の狂えるプリンス」と評されたベン・ウィショーの伝説的舞台。
ベンがハムレットを演じたのは2004年、ロンドンの名門劇場オールドヴィック・シアター(演出/トレバー・ナン)。当時23歳だった無名に近いベンがハムレット役に大抜擢され、賛否両論が巻き起こりました。ところがどっこい、舞台を見た観客は総立ち、辛口の批評家たちも大絶賛、「スタァ誕生」を地で行ったのです。それからというもの、確かな作品選びと卓越した演技で、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、エミー賞…と、名だたる賞総ナメの演技派(今年も英国アカデミー賞ドラマ部門で、『産婦人科医アダムの赤裸々日記』の演技により、主演男優賞に輝いたばかり)となったベンですが、その原点はこのハムレット役にあった……と言っても過言ではないでしょう。
※若いなぁ……23才のベン・ウィショー。40才を越えた今でもその青年っぽさは驚くほど変わらないけど、やっぱり…なんというか、瑞々しさが違う(笑)
当時の演劇評論家から絶賛されたベンのハムレット。しかし彼は、一切劇評に目を通さなかったそう。「それはなぜ?」と問いかけるインタビュアーに、ベンはこう答えています。
「なぜなら、もし、よく書かれてあったとしたら、急にそれにしばられてしまうだろうし、悪かったとしたらもっと最悪です。どちらにせよ自意識過剰になるだけです」
でも、ことがうまく進んでいることを知るくらいには・・? それについても小妖精のように笑って
「母が『ぼくが新聞の一面に出ている』と電話してきました。ぼくが知りたくないと言っているのに、話し続けていました」
※この時、ガートルードはイモジェン・スタッブスだったんですね。彼女は当時、トレヴァー・ナンの奥さまでした。(のちに離婚)イモジェンと言えば、イケメンだった頃(^.^;のジェームズ・スペイダー主演作『トゥルー・カラーズ』上院議員のお嬢さま役が印象的。
これよ、これ❗つい先日の英国アカデミー賞授賞式でも、少年のようにはにかみながらまず、スタッフや共演者を讃えていたベン。それが単なるポーズでないことは、当時のインタビューで明らかでしょう。…こういう人を好きになったら大変だろうなぁ。追いかけても追いかけてもスルリと逃げられそうで。まっ、彼はゲイを公表していて、同性婚の経験もある人だから、そんな妄想もムダなんだけど(笑)
★アンドリュー・スコット(2017年)
ベン・ウィショーのマブダチ、アンドリュー・スコットも、2017年ハロルド・ピンター劇場でハムレットを演じています(演出/ロバート・アイク)。ヲタクは最近、英国ドラマ『フリーバッグ』で彼のホット・プリースト役を観たばかりでアンドリュー熱が急上昇中だから(^.^;何しろどうにかして観たくてたまらん(笑)映像化はされていてBBCでは放映されたらしいんだけど、DVDにはなってなくて…。どこに行ったら見れるんじゃ、おせーて(笑)
ハムレットを演じるに当たり心構えを聞かれたアンドリュー、「ベンもベネディクト(カンバーバッチ)も友人だけど、どうやってハムレットを演じるかなんて相談してないよ(笑)」なーんて、いつもながらユーモアに紛らせて上手くかわしたようですが、プレッシャーはハンパなかったでしょうね(^_^;)アンドリューはアイルランド人で、同じアイルランド出身のハムレット役者といえばあのピーター・オトゥール(『アラビアのロレンス』)がいます。オトゥールのハムレットは賛否両論だったようで、
「もし役者の本当の孤独とは何なのかを知りたければ、ハムレットを演じてみるがいい」という名言を残しています。名役者が必ずしも名ハムレットとはならないのがハムレットの恐ろしいところで、あの名優ダニエル・デイ・ルイスですら精神を病み、途中降板に追い込まれています。
2017年のアンドリュー・ハムレット、もう一つ観てみたいのは、オフィーリア役がジェシカ・ブラウン・フィンドレイなんですよね〜。この舞台の前年、アンドリューはジェシカと映画『マイ・ビューティフル・ガーデン』で共演していて、アンドリューは作中、ヒロイン役のジェシカのお父さんに間違えられて怒るシーンがありましたが…。演技の相性はピッタリだったみたいだから、なおさら妄想が膨らみます(笑)アンドリューは当時40才でしたが(ジェシカは当時27才)、彼もベン・ウィショーと同様、万年青年の雰囲気だから全然おっけーだよね、きっと。アンドリューのハムレットは舞台を現代に移し、若い世代のシェイクスピア離れが進む昨今、現代的解釈を試みた演出のようです。しっかし、現代でも近未来でも、ミュージカルでもコスチュームプレイでも何でもござれのシェイクスピアの懐の深さって、ハンパないよね。
…とまあ、ヲタクの妄想をつらつら書きましたが(^_^;)とりあえずはベネさまのハムレットは見れるので良しとしましょう。ベネさまハムレットの感想はまた後日❗
※NTライブ2023年夏のタイムスケジュール(シネ・リーブル池袋)。ハムレットの他にも観たいのいっぱいだなぁ…。
★今日のオマケ
ベン・ウィショーとアンドリュー・スコットは、マイク・バートレット作の舞台『Cock』でゲイのカップル役で共演しています。(この舞台は、ローレンス・オリヴィエ賞 提携劇場偉業賞を受賞)2人ともゲイであることを以前から堂々とカミングアウトしていますが、マブダチ止まりでカップルにはならないのねぇ。カップルだったらめちゃくちゃゴージャスなのに(*˘︶˘*).。.:*♡……ってまた、余計なお世話(笑)
※2人が恋人同士を演じた舞台『Cock』