オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

渋谷の交差点を愛する探偵〜AppleTV+『シュガー』のコリン・ファレル


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 コリン・ファレルが私立探偵を演じるミニ・シリーズ『シュガー』(AppleTV+)。今日(2024.4.27)の時点でシーズン1の第5話まで配信中。毎週金曜日に新しいエピソードが追加されております。

 

 主人公は、ワケありの私立探偵ジョン・シュガー(コリン・ファレル)。フィリップ・マーロウと同様、「人探し」が専門。人探しをしているうちに、もっとだいそれた犯罪に否応なしに巻き込まれていくのもマーロウっぽい。オマージュなのか、はたまたパロっているのかわからないんですけどね(笑)シュガーは複雑な過去を持つ男のようですが、まだ今のところ彼自身が抱える秘密については明らかになっていません。

 

 ハードボイルドの探偵モノには、主人公の、ちょっとカッコつけた、独特のモノローグがつきもの。マーロウの生みの親、レイモンド・チャンドラー然り、北方謙三然り、原リョウ然り。シュガーもエピソードの半分くらいはブツブツ呟いてるんじゃないかな(^_^;)

 

 1話のオープニングではなんと、彼は東京にいて、大物ヤクザの息子誘拐事件の犯人を追っててビックリ🫢(え?『Tokyo Vice』みたいに日本が舞台なん!?)とヲタクは早トチリしかけましたが、事件は10分で解決して、シュガーは早々にロスに戻ってきちゃいました(笑)しかしエピソード3で彼は昔の同僚に向かって、「渋谷の交差点を知ってるか?世界で1番美しい場所だ。2分おきに3000人が渡るんだ。歓びや悲しみ、怒りが1度に交差する」と語っており、東京という街は、彼の心に消えない爪跡を残したようにも見えるのです。渋谷のスクランブル交差点が単に彼の心象風景の象徴なのか、これからのストーリー展開に関わってくるのかわからないんですが…。

 

 東京での件に引き続き彼が依頼されたのは、ハリウッドの大物プロデューサー、シーゲルの失踪した孫娘オリヴィアを探し出すこと。オリヴィアは長年の薬物中毒から立ち直り、再出発をしようとしていた矢先のことでした。早速、オリヴィアの父親でやはり映画プロデューサーのバーニーや兄のデヴィッドに事情を聞こうとするシュガーでしたが、彼らは話をするどころか、かえってシュガーの捜査の妨害をしかけてきます。どうやら彼らには、探られては困る秘密があるようです。そんな折も折、オリヴィアがアパートメントの駐車場に置いたままにしてある車のトランクを調べていたシュガーは、血だらけの男の死体が入っているのを見つけて……!

 

 シュガーは熱烈な映画ファンという設定で、昔なつかしハンフリー・ボガートの『3つ数えろ』(……たぶん^^;)や『第三の男』など、ハリウッドのモノクロ・ハードボイルド映画の名シーンが度々登場したり、彼の携帯しているのが、映画『復讐は俺に任せろ』でグレン・フォードが使った銃だったり……と、映画関連の小ネタ満載で、ヲタク的には嬉しい限り。

 

 ハリウッド1のセレブであるシーゲル家の面々は皆怪しいやつらばかりで、謎が謎を呼ぶスリリングな展開となっておりますが、1番の謎はシュガーその人。冒頭から、フィリップ・マーロウに寄せて彼を描写していたのが、観ている私たちをミスリードする為の目くらましだということがだんだんわかってきます。実は彼は連邦政府機関で多言語を修得したポリグロットのエリート。銃の携帯を嫌がる平和主義者で、ライ・ウィスキーは飲んだことなくて普段嗜むのはスコッチ……って、どう考えてもロスの探偵じゃなくない?(笑)

 

 失踪したセレブの孫娘の行方より、曰くありげなシュガー本人が気になる今日この頃。オリヴィアの捜査を進めるうち、男女の垣根を超えた交流を持つようになるバーニーの元妻メラニーエイミー・ライアン)にも「俺には秘密がある」ってポロッと言っちゃってるしねぇ。(メラニーが「どんな秘密?話して」って答えたら、「言えない」って…(^_^;)んじゃ、思わせぶりなこと言うなよ!笑)最後にとんでもないどんでん返しが待っていそうで、めっちゃ楽しみ!


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※捜査を通じて、シュガーと心通わせる元ロックスター・メラニーを演じるのは、トニー賞アカデミー賞にもノミネート経験のある演技派エイミー・ライアン

 

★映画オタクなシュガー

 本文にもチラッと書きましたが、シュガーの映画オタクっぷりがハンパなくて、ホント笑える。映写技師から「お前さん、5歳の時にクロサワ(ご存知日本の名匠・黒澤明監督)とゴダール(ジャン・リュック・ゴダール監督)見てたクチだろ?」って言われてた(笑)そんな幼少期に見てたらそりゃオタク度MAXだわ(笑)。シュガーはB級映画にもめっちゃ詳しくて、カート・ラッセルが南極に行く設定のSFホラーの中で、病人に心臓マッサージをした医者が、心臓から出てきたノコギリに両腕を食いちぎられる映画の話をしていたけど、何ていう映画だろう。調べてみたけどわからなかった(^_^;)

 

 シュガーが事件の真相に迫る大事な場面で、「ラッセル・クロウキム・ベイシンガーの出てる映画……あれ、何だっけ?」と呟くんですが、あの映画が大、大、大好きなオタクは、「『L.Aコンフィデンシャル』でしょっ❗」ってTV画面につっこみました(笑)『L.Aコンフィデンシャル』は、警察組織内での裏切りの物語ですが、まさにシュガーは同様の巨悪の闇に直面します。

 

 映画オタクによる映画オタクの為のミステリと言えるでしょう。