オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

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異邦人であり続けて~ NHKドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介』

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(From Pixabay)

  NHKBSにて、昨夜(2019年12月30日)『ストレンジャー~上海の芥川竜之介

 

 これは芥川が29才、服毒自殺の6年前の約4ヶ月、新聞社特派員として上海で生活したその顛末を記した『上海游記』を基にしたドラマです。小説のようなストーリー性はないのですが、100年前清朝が倒れてまだ10年、芥川の鋭い眼が捉えた混乱と激動の上海は、どんな小説よりもドラマチックで、まるで腐った柘榴のような退廃美に溢れています。

 

  いみじくも芥川が呟いた言葉…

僕はどういう良心も持っていない

僕の持っているのは神経だけである

そんな芥川だからこそ、乳幼児が二束三文で人身売買され、人民が労働争議を起こせば権力に踏み潰され、列強の思惑が入り乱れて阿片窟の魔力が人々の知性を骨抜きにしていた、どんな倫理観も正当な思想も太刀打ちできない当時の中国の本質を書き表すことができたのではないかと思うのです。彼の、どこか人を心底愛せない、周囲と心理的に遊離してしまっているようなところが、かえって当時の中国の、どこか狂気じみた騒乱を冷静に書き留めることができたのではないかと。まあ、その心理的遊離は日本に帰国してからも続き、ついには自死の道を選んでしまうわけですけれども。本作品でも6年後の彼の自死は繰り返し語られます。

 

  脚本は、あの名作『ジョゼと虎と魚たち』(犬童一心監督)の渡辺あや。さすがNHK、美術も脚本も映像も全てが丁寧に作り込まれている感じ。かつて『大地の子』『青春牡丹燈籠』『聖徳太子』『白州次郎』『精霊の守り人』等々の名作を産み出していますが、NHKのSPドラマって案外コンサバじゃない、斬新なの、攻めてるの(笑)

 

  今作、特筆すべきは4Kで再現される『東洋の魔都』上海の圧倒的な映像美でしょう。もうひとつの主役はやはり、当時の上海の街。社会的、政治的側面とは別に、当時の上海の街にインスパイアされて、芥川が後にあの奇っ怪な童話『アグニの神』(童話と呼ぶにはあまりにも奇っ怪とヲタクは思う😅)を書いたことも示唆されています。

 

  さて最後に、ヲタク的掘り出し物は、妖しげな娼館に身売りされ、男娼として働くルールー(演 - 薛薛)😉ウィキにもまだ情報が載っていないので皆目どんな人なのかわからないのですが、ウワサによればあのチェン・カイコーが設立した演劇学校の学生さんだとか。なるほど~、あの悲劇的とも言える暗い色気、確かに在りし日のレスリー・チャン(特に『さらば、わが愛』の)を彷彿とさせるかもしれない😍

 

  へへ…。また追っかける人が一人増えた(笑)

 

  
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