オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

Netflix『もう、終わりにしよう。』まるでミステリーツアー😅

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Netflixで配信間もない『もう、終わりにしよう。』鑑賞。フローレンス・ピューと並んで、今ヲタクが1番注目しているライジングスター、アイルランドの典型的な赤毛美人、ジェシー・バックリー(『ジュディ 虹の彼方に』『ワイルド・ローズ』『戦争と平和』)がヒロインと聞いて、配信を心待ちにしておりました🎵

 

  一言で言うと、夜中に乗ったミステリーツアーのバスみたいな映画ですね❗(夜中に乗車するミステリーツアーが存在するのかどうかはわからないけど😅)何というか、いくらミステリーツアーって言ったって、多少はこっち、無いアタマを振り絞って道中あれこれ想像するわけじゃないですか、最終目的地はどこだろう、って。…しかし、ことごとく予想が外れて、しかもバスはどんどん人里離れた暗い森の中に入っていく。(これはひょっとしたら、パッケージツアーに名を借りた新手の誘拐❓どこに拉致されるの❓)って恐怖に囚われる…みたいな。どこまで行っても、ストーリー展開の着地点が見えてこない、みたいな。

 

 

  真冬の田舎道を走る1台の車。ヒロインのルーシー(ジェシー・バックリー)は、付き合って6週間の彼氏、ジェイク(ジェシー・プレモンス)の実家に向かっています。しかし初めて彼氏の両親に紹介されるというのに、二人の会話は恋するウキウキ感やこれからステディな関係になろうとする安定感とは程遠く、いまいち噛み合ってないし、まるで倦怠期の夫婦みたい😅おまけに彼女のほうは心の中でしょっちゅう(もう、終わりにしよう。~I'm thinking of ending things )と呟いているのです。日本語訳には反映されていないけど、このthingsがキモなんです。

 

誰が、何を(しかも複数形😅)終わらせようとしているのか❓

 

  不思議なことに、ヒロインは黙って心の中で呟いた(それは大抵マイナスな想念)ハズなのに、なぜか彼には筒抜けに聞こえてる。まるで彼はエスパーみたい。ここら辺まで来ると、私たち観客には、じわじわと違和感が広がってきます。あれ❓何か変だぞ、って。一体、一人称で呟いてるのは誰❓みたいな😅

 

  しかし車中でうっすら感じ始めた違和感も、彼の実家に着いたとたんに噴出するホラー感に一気に吹き飛ばされます(笑)吹雪の中に死んだまま放置されている羊、豚小屋の床に広がる無気味な黒いシミ、そして彼が呟く「地下室があるんだけど、行ったことはないんだよ…怖いからね…」という不吉な言葉。でもってトドメは、モノに憑かれたような目をして一点をじっと見つめていたかと思えば、いきなりけたたましく笑い出す彼のお母さん役が、トニ・コレット❗…そう、史上最恐映画『ヘレディタリー /継承』(2018年 アリ・アスター監督)、恐怖に時空も歪みそうな、アノ顔芸連発の主演女優でございます((( ;゚Д゚)))ヤバいヤバい、雪に閉じ込められたゴシックホラー感満載な家にトニ・コレットがお母さんなんて、デキすぎてるし(笑)これは第2の『ゲットアウト』(2017年 ワンシチュエーション&ホラー&サスペンス映画の超名作)か❗❓この二人、彼の実家から生きて帰れるの❗❓

 

…ところがどっこい、( ・ε・)ちっちっち、これからがミステリーツアーの真骨頂、さすが『脳内ニューヨーク』『マルコヴィッチの穴』等、怪作の数々を世に送り出した鬼才、チャーリー・カウフマンここにあり❗…の、風刺劇でもありSF?でもあり悲劇でもあり喜劇でもあるシュールな展開になっていきます。車中でルーシーが呟いていた詩集が彼の部屋のベッドに置いてあったり、二人の幼少期の写真が同じもの❗だったり、両親が年老いたり若くなったり…ナニコレ❓🤷まんまと彼にミスリードされてく感じ😅車中で感じていた違和感が再び戻って来て、それはますます肥大化していきます。

 

どう行動するかより何を考えているかのほうが、真実や現実に近いことがある。

というセリフがあるんですが、見終わってみれば、これが作品全体を貫くテーマなのかな…と思ってみたり。

 

  余談ですが、ちょっとビックリしたのは、カウフマンほどの世に認められた名監督が、演技のお手本みたいで賞レース総なめした『こわれゆく女』(ジョン・カサヴェテス監督)のジーナ・ローランズを、「ジーナ・ローランズの演技はアカデミー賞受賞作品6本観ているぐらい疲れる、世間は評価するけどね。大げさで何も記憶に残らない。」なーんて、ヒロインのルーシーにかなーりディスらせていること😮…カウフマン、ジョン・カサヴェテスジーナ・ローランズに何か特別な遺恨でもあるのかな😅…確かに、ジーナ・ローランズと真逆とも言える、ジェシー・バックリーの生き生きとした自然体の演技は極めて魅力的でしたが😉

 

  ホラーチックなスリリングな展開が一転してシュールな迷路に迷いこむ。

時系列どーなってるの??(-ω- ?)

 

たぶん1回観ただけでは半分以上スルーしてるであろう(注・ヲタクの場合はね😅)謎めいた数々のフラグ立ち。見終わった後の何とも言えない哀愁を帯びた寂寥感。

 

Netflix、おそるべし❗チャーリー・カウフマンおそるべし❗