オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

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「見たい、見られたい」のラブロマンス~『写真の女』in 東京国際映画祭

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  東京国際映画祭にて『写真の女』(串田壮史監督)鑑賞。いやー、久しぶりにドキドキする映画見たわ❗スリリングなオトナのラブロマンスです😊

 

  東京の片隅で細々と、親から受け継いだ小さな写真店を営む中年の男、カイ(永井秀樹)。彼はまた昆虫が大好きで、休みの日には山に昆虫の写真を撮りに行く。いつもと同じように昆虫の写真を撮っていると、彼は山の上から落ちてきて中腹の木に引っ掛かっている一人の女性キョウコ(大滝樹)を発見する。住むところも失ってしまったらしい彼女は、そのまま写真館に居座ってしまい、二人の奇妙な同居生活が始まる。様々なポーズをとっては自ら写真を撮影し、自分のインスタにアップするのがキョウコの毎日の日課であり最大の関心事。見られること、撮られることに至上の歓びを感じる女と、見ること、撮ることにエクスタシーを感じる男。まるで±の電極のような二人の運命の出逢い、究極のラブロマンスの行く末は…❗❓

 

このキョウコという女性、カイにとってはまるで能楽の『羽衣』みたいに、天から降ってきた舞姫なわけですよ。リアルなようで、リアルじゃない。手が届きそうで届かない、ファンタジックでフォトジェニックな存在。俗世間から隔離されたようにひとりぼっちで生きてきたカイは、キョウコにちょっと触れられただけでビックリして飛び上がる始末😅見かけは中年のおじさんでも心は少年、今ドキ絶滅危惧種のジェントルマン。伊達にいつも真っ白なスーツを着ているわけぢゃござんせん(笑)…まっ、そこはそれこの映画はオトナのラブファンタジーなんで、カイのピュアな恋心は徒労に終わることはありません、ご安心を。

 

  キョウコは唯一の生きがいであるインスタのフォロワーが最近激減しているのに悩んでいて、そのせいでスポンサーからも見放されてしまいます。それが、愛されたい、承認欲求の強い(大滝樹さん談)彼女を次第に狂気とも言える行動に駆り立てていくのです。キョウコは、SNS時代に生きる私たちがふとすると陥りがちな危うさ(SNSのフォロワー数やいいねに固執することの虚しさも含め)を体現していて、古典的な(終了後のTSで、串田壮史監督は「王道の」と表現されていましたが)ラブロマンスに、今日的なテーマが織り込まれています😊


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(TSの遠景。誰が誰だかわかりませんね=笑)

 

さて、なぜこの作品がエロいのか❓…ってまた振り出しに戻っちゃいましたけど(笑)これはヲタクの非常に個人的な感想です(…スミマセン😅)なぜならヲタクもカイと同じ、リアルな結びつきよりむしろ、ファインダーやスクリーンを隔てて、好きなモノや人を「見る」行為に歓びを感じる種類の人間だから。だから、まるで何かにとり憑かれたようにキョウコの写真を撮りまくるカイの気持ち、よくわかる。悲しいかなヲタクはカイのような才能は持ち合わせていないので、こうやってブログの片隅で細々と見たことの感想を呟くことくらいしか、できないけど😅

 

  それにしても、映画の中でカイが撮影する自然の中のキョウコの写真、そして二人が身にまとう衣装の、純白や深紅の色のなんと美しいこと。水の中に埋没していくキョウコの、なんとエロティックなこと(大滝さんによれば、撮影は過酷を極めたようですが😅)。

 

  ネタバレの恐れがあるので詳しくは語れないんですが、終盤近く、カイがいつも通っている銭湯のワンシーン、ひじょうに鮮烈で、長く記憶に刻まれる名場面だと思います😊

 

  世界中の60もの映画祭に出品され、数々の賞を受賞したこの作品が、いよいよ日本でも公開されると今日発表がありました❗来週の月曜日に正式に告知されるそうなので詳細はここで発表は控えますが、この素敵な作品ぜひ映画館で、一人でも多くの方に見て頂きたいと思います😊


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(主人公カイに影響されて、六本木ヒルズを出た後撮影した写真=笑)