昨日『ドラキュラ/デメテル号最後の航海』を見て、またぞろヲタクの吸血鬼熱が再燃。 笑
今日はヲタクの長年に渡るドラキュラ・フリーク史を振り返り(^.^;、「ドラキュラ映画&ドラマ5選」をご紹介しましょう❗
★『吸血鬼ドラキュラ』
(主演/クリストファー・リー)
ヲタクが子どもの頃、ドラキュラ…と言ったらパッとクリストファー・リーの顔が浮かぶくらい、世間への浸透度が凄かった。
193センチの長身(一説には196センチとも)、英国軍人の父とイタリア名門貴族出身の母を持つ毛並みの良さと相まって、血塗られた貴族の末裔たるドラキュラ伯爵はまさに当たり役❗長身でもリーは、「大男、総身に知恵が回りかね…」といったタイプでは全然なくて、剣術・馬術の達人であったためか、身のこなしは機敏にして優雅でしたよねぇ……(遠い眼)
クリストファー・リーは極めて俳優人生の長かった人で、生涯で出演した映画は実に250本❗ギネスにも記載されている大記録だそう。ドラキュラ役者のイメージが強烈だけど、そのじつドラキュラものは10本に満たなかったようです。ヲタクは全部見てると思います(……たぶん(^.^;)が、ドラキュラが現代のロンドンに蘇って宿敵ヴァン・ヘルシング教授の子孫と戦ったり、宇宙に飛んでっちゃったり、後半の作品となると、ハマー・フィルムも新しさを出すためにかなり苦労したもよう(笑)おススメはやっぱり第1作目かなぁ。血を見ると、普段の白皙の貴公子ぶりはどこへやら、目は真っ赤に染まり、鋭い牙がみるみるうちに生えてきて……。その変身ぶりが、幼いヲタクには夜うなされたくらいめちゃくちゃ怖かったっす(笑)
あまりにもドラキュラ=クリストファー・リーのイメージが定着しすぎちゃったから、彼以降のドラキュラ作品は、そのキャラ設定やストーリー展開において、いかにリーの作品群を超えられるか、また新規性を持たせられるか……で、製作陣はかなり頭を悩ませたんじゃないでしょうか。
★『ドラキュラ』
(1979年…監督/ジョン・バダム)
『ドラキュラ〜デメテル号最後の航海』の感想文でヲタク、ドラキュラの人物像が「モンスター系、イケメン系、前述2つのミックス系」の3つに大別される……って書いたと思うんですが、これはイケメン系ドラキュラの最高峰でしょう(笑)。元々はブロードウェイで大ヒットした舞台劇の映画化で、舞台でドラキュラを演じた※フランク・ランジェラが映画でも主役を務めました。
※舞台を中心に活躍する俳優さんで、あまり映画には出ないので日本ではあまり知られていませんが、トニー賞を4度も受賞している大舞台人です。
このドラキュラ城の蠟燭のシーン、めっちゃステキだった😍ちょっと『オペラ座の怪人』っぽいけどね(笑)
ランジェラは名前で分かる通りイタリア系アメリカ人。ランジェラのドラキュラは、いかにも冷血そうなクリストファー・リーとは対極の、血湧き肉躍るラテンのセクシー・ダイナマイト(笑)ドラキュラにとって、恋人の生き血を啜ることが、究極の愛の行為だと如実にわかる映画になっております。恋人を追って壁を伝って這い回るシーンは、「ザ・愛欲」ってカンジで凄かった。この映画、ドラキュラの宿敵ヴァン・ヘルシングを演じたのが、あのサー・ローレンス・オリヴィエなんですよ❗その名を冠した舞台の賞があるくらい、サー・オリヴィエも舞台の名優。2人の演技合戦も見ものです。
★『吸血鬼ノスフェラトゥ』
(1922年…監督/F. W. ムルナウ)
映画史上初の吸血鬼映画。監督は、ドイツ映画の巨匠、フリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ。題名のノスフェラトゥとはズバリ、吸血鬼のこと。ムルナウは「ノスフェラトゥとは、ルーマニアの言葉で「吸血鬼」を表す」と言ったらしいんですが、実際ルーマニア語には該当する語が見当たらないそうで、「ネスフェリット」(ルーマニア語で「嫌悪すべきもの」といった意)をドイツ語風に読んだもの……と言われています。
ブラムストーカー原作の『吸血鬼ドラキュラ』で、主人公のドラキュラ伯爵が吸血鬼であるという設定から、後年「吸血鬼=ドラキュラ」という図式が定着してしまいましたが、本来ドラキュラって固有名詞なんですよね。この映画ではムルナウ監督、なぜかドラキュラではなく、オルロックという名前に変更しております。
ノスフェラトゥのビジュアルがめちゃくちゃ怖い(^.^; ノスフェラトゥを演じているのはマックス・シュレックというドイツ人の俳優さんですが、その特異な風貌を見込まれて吸血鬼役に抜擢されただけあり、特殊メーク無しのあの姿は……超ド迫力でございます。吸血鬼とペストの伝染という二重の恐怖を絡ませて描いていますが、そこはドイツ表現主義の巨匠ムルナウの作品だけあり、※幽霊馬車が急峻な断崖絶壁を走って吸血鬼の城に近づいていくシーンや、ノスフェラトゥが犠牲者に近づくのを壁に映る大きな影で表現するシーンなど、モノクロ画面の美しさが最大限に発揮されていて、まさに「グロテスクな美」の極みと言えるでしょう。
※熱烈なムルナウ信者のロバート・エガース監督。ムルナウ愛が高じて、ついに『ノスフェラトゥ』をリメイクすることに。そう言えば、A24の『ライトハウス』(主演/ロバート・パティンソン)でも、『ノスフェラトゥ』の様々なオマージュが登場していましたっけ。
★『ドラキュラ』
(1992年…監督/フランシス・コッポラ )
名匠フランシス・コッポラがメガホンを取った『ドラキュラ』は、それまでの吸血鬼映画とは明らかに一線を画すもので、ドラキュラを愛ゆえに悪魔と契約を結んでしまった、悲哀に満ちた存在として描いています。またね、ドラキュラを演じる男盛りのゲイリー・オールドマンがめちゃくちゃセクシーで(笑)しかも、遠い中世に喪った恋人にそっくりな女性(ウィノナ・ライダー)に愛慕の情を募らせ、彼女の血を啜りたい衝動を抑えようと苦悶する姿もまた、魅力的でございました。
※当時のゲイリーとウィノナ・ライダーは実生活もアツアツの恋人同士、二人の場面はちょっとこっちが気恥ずかしくなるくらいムードがあったように記憶しております(笑)
また、1993年の第65回アカデミー賞で、この映画の衣装を担当した石岡瑛子さんが見事、衣装デザイン賞を受賞しました。主役2人(ゲイリー・オールドマン、ウィノナ・ライダー)はうっとりするほど美しく、ドラキュラの城や邸宅の調度品、英国式の庭園に至るまで、コッポラ監督の美意識に貫かれた、言わば「お耽美系」❓ドラキュラと言えるかも。
※石岡瑛子さんデザイン、「死の花嫁衣装」。これを見るだけでも、この作品は一見の価値アリ。
★『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ』
この作品はブラムストーカーの原作は関係なくて、全米一の大ベストセラーとなったファンタジー・ラブロマンス『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ』のドラマ化です。…なので、番外編としてご紹介しますね。
セーレムで処刑された魔女の直系であるヒロイン、歴史学者のダイアナ・ビショップ(テリーサ・パーマー)。彼女は自らの出自を嫌い、一人の学者として生きようとしていましたが、就職先のオックスフォード大学図書館で偶然、魔女やデーモン、吸血鬼など「クリーチャー」と呼ばれる種族たちの所謂『種の起源』を著した、クリーチャーの垂涎の書『生命の書』を発見します。その書を治める者はクリーチャー全体を治める者。吸血行為が上手くいかずに存亡の危機に立たされている吸血鬼一族のマシュー・ド・クレアモント(マシュー・グード)はその書を手に入れようとダイアナに近づきますが、それは危険な、禁断の愛の始まりでした。マシューに対する愛によって、次第に自らの魔女としての能力に目覚めていくダイアナ。彼女が幼少期の頃の両親の死の謎も絡んで、愛し合う二人はクリーチャーたちの世界戦争に巻き込まれていきます…。
※時折襲う吸血鬼の本能に苦悩するマシュー(マシュー・グード)
まあとにかく、吸血鬼役のマシュー・グードがステキ過ぎる❗吸血鬼って相手の血を吸って仲間にしちゃうわけだから、吸血とは言わば彼らにとって性愛~種の繁栄に繋がる行為。しかしこのドラマでは、吸血鬼一族は血を吸っても相手が生き返らず、種の繁栄は望めない…っていう問題を抱えてる。だから、マシューはダイアナを傷つけないよう、その衝動を抑えに抑えるわけ。その時のね、苦悶と恍惚がないまぜになった彼の表情がもう、絶品なんですわ。セクシーな吸血鬼っていえば、ヲタクの中では今まで前述『ドラキュラ』(1992年)のゲイリー・オールドマンがぶっちぎりの1位だったけど、こドラマを見て、心が大いに揺らいだのを覚えています(笑)