(ポーランドのユダヤ人墓地。ナチスドイツによるホロコーストの舞台となったアウシュビッツ強制収容所は、ポーランドにあった…Pixabay)
以前このブログで取り上げたポーランド発のミステリードラマ『泥の沼』、待望の第2シーズンがNetflixで配信開始❗
第1シーズンは、ポーランドがヨーロッパにおけるソ連の傀儡国家、共産主義の砦であり、反政府主義者が弾圧されていた1980年、戒厳令下の時代が舞台となっていました。当時の暗い世相を反映して、ドラマの内容も所謂「イヤミス」、かなり救いようのないストーリー展開でしたね😅第2シーズンはポーランドがやっとソ連の傀儡政権を脱して「第三共和国」を立ち上げ、民主主義の道を歩み始めた1997年が舞台。
第1シーズンで新進気鋭の新聞記者として難事件の解決に尽力したザジツキ(ダヴィド・オグロドニク)が、古巣の新聞社に、今回は編集長として着任するところからストーリーは展開します。舞台となるのは第1シーズン同様、首都ワルシャワから遠く離れ、密接な人間関係が時に息苦しく感じられるような小さな地方の町。しかし町の裏に広がる広大な森の中には第二次世界大戦中ナチスの強制収容所があり、ソ連軍の侵攻によりナチスが退却した後も、埋葬されないままになっている多数の遺体が土の下に眠っている…という暗い歴史が背景にあります。(当時ナチスに内通していた町人もいたため、町にとっても暗黒の時代だったのです)ザジツキの妻は第1シーズンの時から、「森には悪魔が住む。森は皆を不幸にする」と繰り返していましたが、今回もその禍々しい森のイメージは繰り返し語られます。
悪魔は夜に森の小道をさ迷う。
そんなある日、 町を流れる川の堤防が大雨の日に決壊して、その犠牲になったらしい12才の少年の遺体が森で発見されます。堤防の決壊は、人為的なものではないか?少年の死の背景には、どうやら町の名士による大きな陰謀が隠れているらしい…と疑って、捜査を始める女性刑事ヤス(アンジェイ・セヴェリン)。彼女は人材の交換プログラムにより1ヶ月限定でワルシャワ警察からやって来たのですが、本庁で鍛えた捜査能力を発揮しようと意気込んでも、同僚の男たちはおしなべてやる気がないし、署長は絵に描いたようなパワハラ、セクハラ男、賄賂や自白の強要が横行する世界。ヤスはいつもウィスキーをストレートでイッキ飲み😅『第一容疑者』のテニスン警部(ヘレン・ミレン)も然りだったけど、どうしてこう、オトコ社会でがんばる女性たちはアルコール依存になってしまうのか…。(ヤスはロマ人の祖母を持ち、自身はLGBTというマイノリティ。複雑な人物造型がなされています)
第2シリーズでは、第1シリーズで主役だった老練の記者ヴァニッツの若き日、ドイツの少女との悲恋が描かれます。(第1シリーズでは、彼の口から概要が語られたに留まっていましたが…)かと思えば彼の叔母はソ連軍人の愛人。ナチスの次はソ連軍…次々と他の大国に搾取され続けたポーランドという国の、まるで縮図のように。複雑な歴史的背景を絡めて、この緻密に練られたミステリーはどんでん返しの連続。そして、その果てにあるものは、「因果は廻る」、悲しき宿命。
過酷な歴史を背負っているにも関わらず、困難に負けない負けじ魂と、底抜けに明るい笑顔が印象的なポーランドの人たち。ヲタクがヨーロッパに住んでいた頃、次女が仲良くしていたお友達のご家族もポーランド出身だったし、あっ、ズンバの先生もポーランド人だ❗(…って言っても、YouTubeで動画見てヲタクが勝手に踊って、先生呼ばわりしてるだけ=笑)
ヲタク大好きなYouTuberの無職旅さんも、数年前にポーランド旅行してましたね✈️家々の可愛いペインティングで有名なザリピエ村で、見知らぬおばちゃんにやけに親切にされてましたっけ(笑)
第二次世界大戦中、隣国リトアニアの日本大使館に勤務していた外交官杉原千畝氏がナチスから逃れようとする避難民にビザを発給し、大勢のポーランド人が救われたことから、ポーランドはヨーロッパの中でもとりわけ親日国として知られています。
「遠くて近い国、ポーランド」
このドラマで、そんなポーランドの現代史を紐解いてみませんか❓
(おまけ)
ヴァニッツの青年時代を演じている俳優さんがめちゃくちゃイケメンなり♥️