オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

ついに最終章〜『刑事モース』第9シリーズ


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 英国本国では、あの名探偵シャーロック・ホームズよりも人気があるという、ミステリ作家コリン・デクスターが造型したモース警部。その若き日を描いた、10年に渡る長寿ドラマ『刑事モース〜オックスフォード事件簿』が第9シリーズを以ていよいよ最終章!

 

 ヲタクはかれこれ5年前に何気なくU-NEXTで見始め、面白くて途中で辞められず、1週間くらいで配信済みの第1〜4シーズンをイッキ見。今思えば、ドラマのシチュエーションも主人公モースのキャラも、通常の刑事モノとはずいぶんと違ってましたよね。すごく新鮮だった。

 

 舞台は、たいがいの英国刑事モノやミステリーが首都ロンドンを舞台にしているのに比べ(実際にも犯罪率が高いんでしょうか)、『モース』では大学町オックスフォードが舞台。それもそのはず、主人公のエンデバー・モースはなんとオックスフォード大学中退の設定。大学時代は研究室に残るように言われ、将来を嘱望されていたのに、学業の傍ら英国軍通信部に所属したことから、大学には戻らずそのまま退学、オックスフォード市警に就職します。ワタシ的には、どんなドラマでも映画でも、ステロタイプを脱した、観客の想像力を裏切るようなキャラ設定が見たいな〜と日頃から思っていたので、モースくんはまんまとツボにはまりました!

 

  まずもって、演じるショーン・エヴァンスの、筋肉ぜんぜんついてなさそうな(笑)ひょろっと長身の体型、知的な(ヲタクっぽいとも言える)雰囲気(ドラマ中でも、銀行強盗で人質になった時、犯人から大学教授に間違えられてます)、ドラマが始まった頃はちょっとエディ・レッドメインに似てたな~。色白でソバカスがあるとこなんかも。エディは近年カラダを鍛えに鍛えて筋骨隆々だけど、ショーンくんはあんまりカラダ作りには興味なさそう(^.^;

 

 モース刑事の趣味はなんと、クラシックとオペラ観賞(教会の聖歌隊の一員でもある)。警察内部で浮くはずだわ(笑)……でも、一見捜査には関係なさそうなクラシックや文学、ギリシャラテン語などの素養が役に立つこともあるんですよね〜。そんな彼なので、新人時代は直属上司のサーズデイ(ロジャー・アラム)から「お前はいらん。もっと武闘派の部下が欲しい」なーんて言われちゃうこともあったなぁ。そんなサーズデイも、モースの真面目さと鋭い推理力に感服、2人は次第に上司と部下を超えた絆を築き上げていきます。

 

 第4シリーズまで見て、すっかりモースのトリコになったヲタクは、第5シーズンがWOWOWでまもなく放送というニュースを聞きつけ、急いでWOWOWに加入したんですよね〜、モースの威力、恐るべし(笑)。それ以来、こっちは新シリーズを今か今かと待っているんだけど、本国でも日本でも放送は不定期だし、いつぞやはWOWOWのHPで放送日が1度発表されたにもかかわらず、突如放送中止になったりして……ずいぶんハラハラさせられたもんです。


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※一時お髭を生やしていたモースくん。個人的には好きだったけど、すぐまた元に戻っちゃった。評判悪かったのかしら(笑)

 

 最終シリーズには、シーズン2の最終話『汚れたネバーランド』に登場した少年矯正施設「ブレナム・ベイル」が再度登場します(Case34『ブレナム・ベイルの亡霊』)。はじめのうちはヲタクも「ブレナム・ベイルって何だっけ!?」って感じだったけど、見ているうちにだんだん思い出してきた(^.^; この「ブレナム・ベイル」事件、シリーズ中最も不穏で悲劇的な事件で、一見平穏かに見えた学生街オックスフォードに潜む闇と警察当局の腐敗が明らかとなり、モースは同僚を失い、銃撃戦の末サーズデイは負傷、モース自身は無実の罪を着せられて逮捕される……という惨憺たるストーリー展開。そのトラウマからモースは刹那的な恋に逃避したり、果てはアルコール依存症になりかけたり……とかなり迷走しますが(^.^;さすがに最終章ではすっかり立ち直り、知的で冷静でイケてるモースに戻っていたのでひと安心(笑)

 

 ブレナム・ベイル事件をはじめとして、モースを巡る複雑な人間関係、サーズデイの家庭の問題等等、これまで張り巡らされた伏線が一気に回収され、ヲタク的には大いにカタルシスを感じることができました。頑ななまでに正義を追及し、不正は絶対に許さないモースが、最後の最後、愛する者たちを守るために法を超えて行動する姿に……ちょっと、うるうるきちゃいました。


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※英国の名優たちが脇役で登場。人間臭いモースの上司、サーズデイ役のロジャー・アラム(左)と、ブライト警視正役のアントン・レッサー(右)。このお二方は、他の英国ドラマや映画でもよくお見かけします。

 アントン・レッサー演じるブライト警視正は、非常に味のあるキャラ。普段は寡黙で昼行灯タイプなんだけど、いざという時に見せる決断力と部下を思うアツい心意気にグッときます。イギリスで『上司にしたい俳優ベスト10』があったら、アントンさんに絶対1票を投じるワ(笑)

 


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※脇役の一人一人に至るまで、キャラが作り込まれていて見事でした。監察医デブリン博士(ジェームズ・ブラッドショー)、その鋭い観察眼からモースが推理の糸口を見つけることも度々で、ヲタクは博士の英国人らしい皮肉と、毒のあるユーモアが大好き。

 

 海外ドラマって、制作者側の都合でシリーズ打ち切りになったり、俳優さんが突如降板したりって、ままあるじゃないですか。それが、ちゃんと最後にストーリーの「落とし前」をつけた上で、単なる謎解きに終わらない、人間ドラマとしての深い余韻も残しつつ……。しかもラスト(サーズデイがモースに呼びかける場面)がオリジナルの『モース警部』への導入の役割も果たし、しかもその後のモースの人生をも暗示している。お見事というほかありません。


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※普段は警察と敵対しがちな新聞社。しかしアビゲイル・ソウ演じる記者フレジルは分別をわきまえた常識人であることからモースの信頼篤く、情報を交換しつつ、共に真相に迫っていくことも多かった。アビゲイルは、ドラマ『モース警部』(1988〜2002)で主演を務めたジョン・ソウのお嬢さん。随所に『モース警部』そしてコリン・デクスターの原作ミステリに対する深いリスペクトが感じられました。

 

 モースをはじめ、愛すべき登場人物たちにもう2度と会えないかと思うと、めちゃくちゃ淋しい…。

 

…しかし、諸行無常愛別離苦は世の習い。ラスト、無人になったセットでブライト警視正役のアントン・レッサーが呟いていたように。あのモノローグ、まるでシェイクスピアの舞台みたいでしたね。

 

 何はともあれ、制作者の方々、キャストの方々(…5年ぶりに再登場したジェイクスも含め、役の降板も一人もありませんでしたね)、10年間私たちを楽しませてくれてありがとう!

本当にお疲れさまでした!