U-NEXTでオーストラリアのミステリー小説の映画化『渇きと偽り』鑑賞。……なんだろう、観終わった後の、このヒリヒリした胸の痛みは。登場人物のそれぞれの哀しすぎる人生のせいなのか(出てくる人出てくる人全員が辛い人生の重荷を背負っており、見事なまでに皆不幸なのです😭)、それとも全編を通じて迫ってくる、体のシンまで焼け付くようなオーストラリアの乾いた風と太陽のせいなのか。
舞台は、どこまでも続く干上がった大地に家が点在しているようなオーストラリアの田舎町。オーストラリアでは2019年に大規模な干ばつが起こり、山火事が広がって、あのコアラか1万頭近く犠牲になってしまった……というニュースが紙面を賑わせたのも記憶に新しいところ。映画の中でも、「1年間雨が一滴も降っていない」という台詞が出てきたり、水道の蛇口をひねっても茶色い水しか出て来なかったり……と、昨今のオーストラリアの苛酷な現実が次々と描写されます。この映画は、ミステリーの謎解きより何より、オーストラリアが今直面している深刻な問題について語りたかったのでは……?と思うほどです。
さて、肝心の映画ですが(^_^;)
連邦警察官のアーロン・フォーク(エリック・バナ)は、旧友のルークの葬儀に参列するため、20年ぶりに故郷の田舎町に帰ってきました。ルークは突然の狂気に囚われて発作的に妻を射殺、その後自らも命を断ったと言われていましたが、事件には様々な点で矛盾があり、アーロンは次第に地元警察の捜査に疑問を持ち始めます。息子の自殺を受け入れられないルークの母親の強い希望もあり、アーロンは独自に捜査を始めますが、それは容易なことではありませんでした。なぜなら彼は、20年前に川で溺死した少女エリーの死に何らかの関与があったのではないかと疑われ、石持て追われるように街を出た過去があったからです。果たしてアーロンは本当に、エリーの死に関係していたのか?……関係者がみなそれぞれ、人には言えない「秘密」を抱えている。ルークの死、そして20年前のエリーの死の真相が明らかになった時、生きていくことのどうしようもない辛さ、哀しさが観ている者の心を抉るのです……😭
※仲良し4人組。左からエリー、グレッチェン、ルーク、アーロン。楽しかった日々も、ふとしたことから綻びが出始め……。
主演は、ヲタク的には「お久しぶりね🎵」のエリック・バナ。映画『トロイ』で初めて彼を観た時、あまりのイケメンぶりにビックリしたヲタク。(反対に、ブラピの印象はほとんど残っていない……^^;)そのままハリウッドでブレークするかと思いきや、ブラピの快進撃とは裏腹に、あまり目立たなくなっちゃったよねぇ。どうしてかしらん(・・?……あえて言うなら、誠実で、寡黙で、垢抜けない佇まいが「今風」ではなかったということかしら……。
※真実を求めて、干上がった大地を彷徨うアーロン。友人たちと水遊びをした川も、今では干上がって跡形もなくなっています。
派手なアクションシーン等はありませんが、リアルな本格ミステリがお好きな方にはおススメの映画です。