オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

なんて素敵にロマンシス♥〜BBCドラマ『パースート・オブ・ラブ/愛に焦がれて』

 
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 昔むかしヲタクが少女だった頃(…ヲタクにも少女の頃があったんである 笑)「少女名作全集」っていうのがあり(発行元は偕成社だったと思う)、親がなぜか家に全巻揃えてくれておりました。少女小説の世界といえば、もう、ロマンシスの百花繚乱🌺🪷🥀🌷🌹『アルプスの少女ハイジ』のハイジとクララに始まって、『赤毛のアン』のアンとダイアナ、『小公女』のセーラとベッキー、『若草物語』のジョーとベス、『ジェーン・エア』のジェーンとヘレン…エトセトラエトセトラ、枚挙にいとまがありません。今のように情報が無い時代には、うら若き少女たち、特に男兄弟を持たない少女たちにとって男子の存在とは、未知の魅力に溢れた憧憬の存在であると同時に、自分たちとは異質の匂いがする、怪しげな(?)存在だったに違いありません。男子に対しては遠巻きにして、ヒソヒソと噂話をするくらいしかできない彼女たちはその代わりに、同性の気のおけない友人との関係から、人を愛すること、思い遣ることを学び、やがて来るべき恋の嵐に備えて心の準備をしていたものと思われます。

 

…というわけで、前置きが長くなりましたが(^.^;

 

今回ご紹介するBBCのミニドラマシリーズ『パースート・オブ・ラブ/愛に焦がれて』(2021年)、ヲタク的には「また新たにロマンシスの名作ドラマ誕生〜〜❗」って感じです。原作は、英国やフランスの上流階級を題材にしてウィットやユーモアに富む小説を書いたナンシー・ミッドフォードの『寒い気候の愛』。貴族の邸宅・マナーハウスや贅沢な調度品、当時の英国上流階級の人々のファッション等が堪能でき、女子心をくすぐってくれます。


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※リンダ役のリリー・ジェームズ。当初は清純派で売り出した彼女、そのじつ私生活はなかなか奔放な人らしく、最近ではそんなスキャンダルも逆手に取って、このリンダ役とか『パム&トミー』のパメラ・アンダーソン役とか、かなり芸域を広げてますね。

 

 1920年代、英国はオックスフォードシャー州。厳格で国粋主義者で超男尊女卑思想の父マシュー(ドミニク・ウェスト)から、「女に教育なんぞいらん。嫁に行くまで家に居ろ」と言われ、貴族の家に生まれながら、17歳になるまで生まれ育ったマナーハウス「アルコンリー」を殆ど出ることなく育ったリンダ(リリー・ジェームズ)。彼女の話し相手は、姉妹同然で育ったいとこのファニー(エミリー・ビーチャム)だけ。当然、外の世界への憧れは人一倍強く、ロマンス小説を読み耽っては、この牢獄から救い出してくれる「白馬の王子様」との熱烈な恋を夢見ていました。


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※もう一人のヒロイン、ファニー役のエミリー・ビーチャム。ちょっと取り澄ました、冷たい感じの知的な女性を演じさせたらピカイチ(『リトル・ジョー』の科学者役など)、ファニーはまさにハマり役でしょう。

 

 そんな「愛に焦がれる」リンダは、自宅で開かれた舞踏会の客であるオックスフォードの学生、トニー・クルージグ(フレディ・フォックス)に一目惚れ。2人は意気投合、外国人嫌いの父の猛反対も押し切って結婚式を挙げますが……❗


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※我が愛する推しアンドリュー・スコット😍

 

 今回のアンスコさまは、先鋭的で、若い芸術家たちのパトロンを務める風変わりな隣人、快楽主義者の貴族マーリン卿。リンダがピンチに陥ると、さりげなく救いの手を差し伸べてくれる「足長おじさん」的な立ち位置。彼がダンサーを引き連れ、Tレックスの曲でノリノリに踊るこの初登場シーンだけでもこの作品を見る価値アリ(断言)『パレードへようこそ』(2014年)では、ゲイのアツアツカップルを演じていたドミニク・ウェストとは、今回はチャンチャンバラバラ宿敵同士…っていう設定も面白い。

 

 まずもってこのドラマの教訓は「女子たるもの、すべからく学ぶべし」……でしょうか❓観ている女性の中には、恋愛遍歴を繰り返し、しかも「ちっとも懲りない」リンダに少々嫌悪感を覚える向きもあるかもしれませんが、彼女はある意味、時代の犠牲者とも言えると思います。貴族階級に生まれながら、強権的で無理解な父親のせいで、全く教育を受けてさせてもらえなかった(残念なことに、母親も父親に右へ倣え)リンダは、自分で判断し決定する為の見識を全く持ち合わせていない為、人生の岐路に立った時、自分の本能と直感に頼るしか術はないのですから…。17歳のリンダの教育環境を初めて知ったマーリン卿(アンドリュー・スコット)が、「それはいけないよリンダ。教育は受けるべきだ」と、いつもの人をからかうような態度を引っ込め、彼女に真顔で語りかけるシーン、ヲタクは1番好き♥熱烈推しのアンスコがマーリン卿を演じている事実は別にして(笑)

 

 一方ファニーはリンダの対極、学ぶことを生きがいにしている知的な女性。(その為にリンダの父からは蛇蝎の如く嫌われています(^.^;)ファニーを生んでからも幾度となく恋の遍歴を繰り返している実の母親(エミリー・モーティマー)への反動からかもしれません。まっ、それも少々行き過ぎて、17歳にしてヴァージニア・ウルフのファンというこじらせ具合ですが(笑)リンダとファニーの交流は途切れることなく、なんと20年近く親密な関係が続きます。ファニーはきっと、反発しながらも心の底では母親を求めていて、どこか母親に似ているリンダを放っておけないんだろうなぁ……。

 

 最初にリンダが嫁いだクルージグ家はドイツの財閥でナチスとも取引があり、その財力をバックに、マーリン卿に導かれたリンダは社交界の花になっていきます。しかしそれも長くは続かず、今度はガチの共産主義者クリスチャン・タルボット(ジェームズ・フレッシュビル)と恋仲に。初めて人生の意義を見出した彼女は、カタルーニャ人救出の為、スペイン内戦に身を投じていきます。

 

 1920年代〜の激動のヨーロッパを舞台に、ある意味、常に時代の先端に居て「時代と寝た女」リンダと、「ドラマティックな人生は観察すべきもの」と、自らの人生は堅実に歩みつつ、リンダの観察者・理解者に徹するファニー。

 

さて、あなたはどちらのタイプ❓


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※リンダの初恋の相手であり最初の夫であるトニー・クルーシグ役フレディ・フォックス。典型的英国イケメン…と思いきや、今回はドイツ人の役。…でもたしかに、金髪碧眼の白皙の貴公子で、ヒットラーが言うところの「アーリア」系。SS(親衛隊)に引き抜かれそうなタイプ(^.^;