オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

濱マイクが帰ってきた❗〜永瀬正敏 in 『我が人生最悪の時』4Kデジタルリマスター版


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  横浜黄金町のミニシアター「ジャック&ベティ横濱」にて、永瀬正敏が私立探偵濱マイクを演じた映画の第一作目『我が人生最悪の時』(監督・林海象)鑑賞。濱マイクと言えば、私たちハマの映画ファンにとってはまさにヒーロー❗……それが早や公開30年を迎えるとは…(遠い眼)映画三部作もTVシリーズも、一時はレンタルビデオで何回見直したかわからないくらいだけど(^.^;やはり映画は映画館で見てこそ。今回の再上映は感謝感激雨あられ

 

 ……というわけで、ハマのヒーロー、マイクがこの世に誕生した記念すべき第一作『我が人生最悪の時』。舞台はまさに横浜・黄金町。今はなき映画館(ポスターの建物)横浜日劇の2階に事務所を構える探偵・濱マイクは、ナッシュ・メトロポリタンを乗り回しイキがってはいるけれど、お人好しで頼られたらイヤとは言えず、「困った時はいつでも来なよ」が口ぐせ。探偵と言えば、フィリップ・マーロウの昔から人探しが主な仕事で、人を探しているうちに、のっぴきならない大事に巻き込まれるのがお約束。今日も今日とてマイク兄ィ、黄金町の裏通りの麻雀屋で、チンピラにからまれていた台湾人の店員楊海平を義侠心から助け、その結果指を切り落とされるハメに…(^.^; 治療費を持って謝罪に来た楊は、イキがって金の受け取りを拒否するマイクに、「それならば、日本にいるという生き別れになった兄の居所を探して欲しい。これは捜査費用」と、頼み込みます。それならば話は別だ…と、マイクはバディのタクシー運転手、情報屋の星野(南原清隆)と共に彼の兄を探し始めますが、楊の兄はかなりヤバイ人物だということがわかってきます。彼は母国で所属していた台湾マフィアを裏切り、アジア系外国人による新興暴力団「黒狗会」の幹部に収まっていました。彼の兄を探し出すことはマイク自身の命も危険に晒すことを意味していました。それを知った妹・茜(大嶺美香)や探偵業の師であるスペードのジョー(宍戸錠)はこの事件から手を引くようマイクを説得しますが、親に捨てられ、幼い頃から兄弟2人だけで身を寄せ合って生きてきたという楊に自身の身の上を重ね合わせるマイクは聞き入れず、さらに事件の深みにはまっていき……❗

 

 ハードボイルド探偵モノの体ではありますが、マイク自身が義理と人情を大事にする昔気質の日本人で、そこに、貧しさゆえに闇社会に身を投じ、のし上がろうとする台湾人兄弟と、在日3世の薄幸な美女(南果歩)が絡んで、ディープな横浜の裏街を舞台に熱く湿ったアジアン情緒を醸し出す、独特の濱マイク林海象ワールドが展開します。

 

 マイクは少年時代はグレていて、何度も鑑別所に行った設定(情報屋の星野クンとは鑑別所で知り合ったらしいです)、過去を知る神奈川県警の刑事(麿赤兒)には、「なんだ❗その野良犬みたいな目は❗」ってしょっちゅうドヤされてるけど、永瀬正敏は元々犬顔で、丸いパッチリしたおメメ、いくら目に力を入れて眼光鋭くしようとしても凄みが湧きません(笑)またそこがね、しごく母性本能をくすぐるんだなー😍麿赤兒のほうがよっぽど野良犬っぽい(^.^; ジモッピーでいつもつるんでる幼なじみたち(梶原善近藤芳正塚本晋也阿南健治)も個性的な俳優連が勢揃い、マイクとの掛け合いが超楽しい🎵……そして、ラスボス佐野史郎の不気味なこと❗日本の俳優でサイコパス役を演じさせたら右に出る者はいない彼、今作の出番はほんのちょっとですが、圧倒的な存在感です。

 
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※大回顧展(2013年)すら、今は昔…。

愛車のナッシュ・メトロポリタン(1957年型)に乗る濱マイク。映画で使用された車はなんと、林海象監督の私物だそうです。🫢

 

 ラストシーンは、横浜日劇に3部作の次作『遥かな時代の階段を』と最後の『罠』の看板が掛かり、伊達男ふうのマイクがその正面にすっくと立ち尽くす小粋な演出。そして特別予告編、薄絹を纏った妖艶なる鰐淵晴子様のストリップティーズ❗その艶美なお姿に被せるように晴子様のセリフ…

あたしがあんたの母親じゃないって言うんなら

あたしを抱いてご覧なさいよ。

抱けるの?マイク。

ギャアアアア〜〜Σ(゚∀゚ノ)

初めて観た時もたまげてはなぢぶーだったけど、今回もまた……(笑)

 

★今日のオマケ〜黄金町今むかし


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※『我が人生最悪の時』を観た帰りに撮影。

 

 濱マイクが生まれ育った横浜黄金町。探偵を生業にするようになってからも彼の地元愛は変わることなく、狭い路地をナッシュ・メトロポリタンでぶっ飛ばし(よくエンストしてるけど…笑)、大岡川沿いを走り、※ちょんの間の2階にある焼き鳥屋でクダを巻く。

 

 黄金町はかつて大阪の飛田新地、沖縄の真栄原社交街と並んで「日本3大ちょんの間」と呼ばれたところ。昭和50年代以降タイやフィリピンなどアジアから出稼ぎにきた女性たちが集まり、最盛期は250店舗、約1000人以上の外国人売春婦がいたとされています。いわゆる非合法売春の「青線地帯」ですね。

 

 しかし2005年に横浜開国博「Y150」の開催が決定すると、神奈川県警の威信をかけてこの黄金町界隈のいかがわしい雰囲気を一掃、若いファミリーにも住みやすい街にしよう…とのことで、所謂「バイバイ作戦」がスタート。街の出入り口を、なんと機動隊の装甲車で包囲し、24時間パトロールを行ったそうです。違法行為を行なっていた店舗は次々と閉店し、黄金町から売春宿が一掃されました。映画3部作でマイクが闊歩しているのは、もちろん「バイバイ作戦」以前の黄金町です。

※ちょんの間…赤線青線など、昔の性風俗店の総称。


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※『らしゃめん』レコードジャケットの鰐淵晴子。やっぱりはなぢブー(←こればっか 汗)