オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

奇跡のマーゴット・ロビー〜『Barbie バービー』


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 横浜駅直結のシネコン「Tジョイ横浜」にて、『Barbie バービー』鑑賞。


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※バービー(マーゴット・ロビー)の初登場シーン。その美しさたるや、圧巻❗❗……でもちょっぴり、『進撃の巨人』思い出しちゃった(^.^;

 

 欧米では、バービーを知らずにオトナになる女子なんていないんじゃないでしょうか。映画の冒頭にも描かれていますが、昔むかし「doll ドール」と言えばミルク飲みの赤ちゃん人形で、少女たちは幼少期の頃から否が応でも「母性を磨く」訓練をさせられていたわけです。しかし、バービーの登場によって少女たちの人生の理想は、大転換を遂げていきます。良き妻、良き母親から、ボン・キュッ・ボンの「成熟した女」、しかも美しい容姿を持っていながら、同時に医者や弁護士、大統領に科学者…といった職業を持つバリキャリのデキる女へと。一方、日本の場合、バービーの強敵に「リカちゃん人形」ってのが存在しますからね。永遠の少女、リカちゃん。日本はある意味、至る所で成熟というもの、「オトナになること」を拒否する社会。「純粋」で「未熟」な万年青年が持て囃され、大人は「姑息だ」「腹黒い」「不純」とディスられる社会ですから。バービーよりむしろリカちゃん人形のほうがモテますよね。このブログを書いている横のTV画面で、あるアイドルグループがフリフリの衣装で歌って踊っているんだけど、古参のメンバー、32歳だって……。ファンが彼女の成熟を許さないのかな。恋愛も(大っぴらには)ご法度なんでしょう❓ちなみにマーゴット・ロビーは33歳だよ❗日本のアイドル、なんだか、痛々しいなぁ…。

 

 ……おっと、話が大幅に逸れました(笑)


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※まさに「生ける奇跡」❗バービーそのもの、マーゴット・ロビー

 

 んなわけで、アメリカではメガヒットを記録している本作ですが、日本ではどうだろう…❓っていうのが、観終わってからのヲタクの正直な感想。あっ、でも誤解しないでね。ヲタクは個人的にはとっても面白かったし、けっこう好き♥ヲタクの場合、父親が海軍兵学校卒&海上自衛官のガチ右派だったにもかかわらず、なぜか超アメリカかぶれで、ヲタクの誕生日プレゼントと言えばバービー人形。バービーだけじゃなくて、BFのケンや、バービーの親友でソバカス美人のミッヂも買ってくれていたので、マセガキのヲタクは、その頃ハマってたシャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』をバービーとケンに演じさせていたんでした(^.^;……そんなこんなで少女時代のヲタクの妄想は、「『くるみ割り人形』みたいに、夜中にバービーやミッヂが動き出したらいいな。そしたら、一晩中一緒に遊ぶんだ❗」っていうものだったから、今回の映画、バービーの生まれ変わりみたいなマーゴット・ロビーが、ピンクのバービーワールドの中で動いて喋って泣いて笑って……大昔、少女の頃のヲタク夢が実現した❗って感じで幸せだった。

 

 それにしてもこの映画、徹頭徹尾「マーゴット・ロビーありき」。彼女がいなければ成立しない映画です。元々企画の映画化権を持っていたのは彼女だそうで、脚本家として彼女が白羽の矢を立てたのがグレタというわけです。さすが、自分の魅力を熟知しているマーゴット・ロビー(笑)



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※いつもバービーの「オマケ」扱い、BFのケン(ライアン・ゴズリング)。人間界に行って男権社会に憧れ、バービーワールドに革命を起こそうと奮起しますが…。


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※男権を追い求める「ケン」の対極キャラ、なにげにジェンダーレス思想の持ち主「アラン」や、粗雑に扱われて関節が外れちゃった劣化バービーなど、「バービーあるある」が満載❗細いところまでしっかり描写されています。

 

 この作品一言で言えば、バービーランドという、「完璧なる理想世界」、「苦しみも悲しみも悩みも存在しない世界」で満足して生きていた筈のバービーが、ふとしたことで人間世界に足を踏み入れ、様々な面で変化していく、目覚めていく話。『フランシス・ハ』、『レディ・バード』、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』…と、一貫して様々な女性の「覚醒」を描き続けてきたグレタ・ガーウィグですが、『バービー』の場合、女性たちの「覚醒」の描写は、過去の作品群のような正攻法ではなく、かなりアフォリズムに満ちた展開になっています。一部の男性陣からは「行過ぎたポリコレ映画」とか「悪しきフェミニズム」とかさんざんですが、だいたいこの映画、大部分がシャレなんだから…。怒ってる人たちってきっと、生真面目なんだね(^.^;

 

 ヲタクは個人的に、クライマックス、アメリカ・フェレーラ演じる人間の女性グロリアが、女性たちが社会から受けているプレッシャーや生きづらさについて熱弁を振るうシーンなんて涙がちょちょ切れたゾ。(わかる、わかる❗よくぞ言ってくれたって感じで…)

 

 少女たちを励まし、夢を与え続けてきたと自負してきたバービー自身でさえ、人間界に初めて足を踏み入れた時、グロリアの娘サッシャから「あんたはフェミニズムを50年遅らせたのよ❗それに私たちに間違った肉体の理想を押し付けた。ファシスト❗」と全否定されてズタボロ。女性のあらゆる魅力を兼ね備えた(かに見えた)バービーすらも幸せになれない社会ってどーなん❓一方、男性のケンだって、バービーとは別の形で、どうにもできない生きづらさを抱えてる。

 

ガーウィグ監督のメッセージは、男も女もない、人にどう評価されるかどうかなんて関係ない、「私は私」結局は自分自身のありのままを受け入れて生きていくしかない……ってごくごくまっとうなものだと思うんだけど…。


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 ハリウッドの才女監督と言えば、『ブックマート〜卒業前夜のパーティーデビュー』で華々しいデビューを飾ったオリヴィア・ワイルドか、グレタか……とヲタクは思っているのですが、オリヴィアは『ドント・ウォーリー・ダーリン』でちょっとケチつけて(^.^;それに伴ってプライベートでもゴタゴタして失速気味。今回の『Barbie バービー』で、グレタが1馬身リード❗って感じかしら。オリヴィアには、『ブックマート』みたいなスマッシュヒットを次回作で期待しましょう。

 

 これからもグレタ・ガーウィグには、女性ならではの鋭い視点で世の不条理や矛盾を抉り出し、さらには女優の経験を活かした細やかな演出で、ステキな作品を世に送り続けて欲しいです。