オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

2023年〜オタクが選ぶ洋画BEST10(10位〜6位)

 早いもので2023年もあとわずか。当ブログでも毎年恒例❓となっております、(オタクが独断と偏見で選ぶ)「今年の映画BEST10」を発表したいと思います❗

 

★第10位 レンフィールド


f:id:rie4771:20231229103258j:image

 ご存知吸血鬼ドラキュラを扱った映画(コメディ)ですが、但し今回、主役はドラキュラ(ニコラス・ケイジ)ではなく、昔むかし彼に血を吸われて不死の力を得、彼の忠実なる下僕と成り果てたレンフィールド(ニコラス・ホルト)であります。舞台は現代のアメリカはニューオーリンズなので、レンフィールドも次第に近代的自我❓に目覚め始めており、ドラキュラが彼に吹っかけてくる「悪人の穢れた血は好きじゃない❗修道女を連れてこい」だの、「バス一杯のチアガールの血が吸いたい」だの、無理難題にほとほとイヤ気がさす毎日。レンフィールドはドラキュラに隠れて「共依存」の自助グループに参加し始め、さらにしかもひょんなことから知り合った独立独歩の女性警官(オークワフィナ)に淡い想いを抱いたことから一念発起、ドラキュラと対決しようとしますが…。

 

 悩みながら成長する青年を演じさせたら右に出る者はいないニコラス・ホルトを主人公に、彼を一時も離したくないために暴れまくるドラキュラ役ニコラス・ケイジのぶっ飛んだ演技が最高❗最近引退を仄めかしているというケイジ。勿体ないなぁ…。もっと彼のコメディが見てみたい。2人のニコラスに当代きってのコメディエンヌ、オークワフィナの軽妙な演技が絡んで、スタイリッシュな吸血鬼コメディに仕上がりました。残念なことに日本では映画館公開はされませんでしたが、U-NEXTで絶讃配信中でございます。


f:id:rie4771:20231229103423j:image

★第9位  名探偵ポアロ ベネチアの亡霊


f:id:rie4771:20231229103611j:image

 英国の名優ケネス・ブラナーがメガホンを取り、自ら主役のポアロを演じる作品は、『オリエント急行殺人事件』(2017年)、『ナイル殺人事件』(2022年)に引き続き、早や3作目。ヲタク的には、TVドラマで長年ポアロを演じていたデヴィッド・スーシェのイメージが強くて(まさに灰色の脳細胞、卵形の頭そのままのビジュアル)。スーシェはどちらかと言えば、カリカチュア(戯画)的に演じてましたよね。それに比べるとケネス・ブラナーポアロは極めて人間臭く、しかも超カッケーイケオジ😍アガサ・クリスティ、自分がキャラ造型しておきながらポアロのことはあまりお気に召さなかったらしいけど……。ケネス・ブラナーポアロを見たら、気難し屋さんのクリスティもきっとご満悦だったのでは❓…それにしてもシェイクスピア俳優でもあり、キングスイングリッシュの名手であるケネス・ブラナーが、前2作ではベルギー訛り(つまりフランス語訛り)の英語を小憎らしいくらい見事に喋ってましたが、今作でもその素晴らしい演技は健在❗

 

 今作の舞台は、水の都ベネチアの古い豪壮な邸宅。心霊術に翻弄され、さしものポアロも「見えざる恐怖」に大苦戦。廊下の暗闇から突然伸びる手や、羽音烈しく飛び立つ鳥、鏡の中背後に立つ死者の影……と、ケネス・ブラナーの、ゴシックホラー的要素を巧くミックスした演出が素晴らしく、全編怖くて恐ろしくて、心臓に悪い(笑)…でもヲタクの趣味からすると、ブラナー・ポアロの作品としては「恐怖と美の融合」であるこの第3作目が1番好きかも。

★第8位  ザ・フラッシュ


f:id:rie4771:20231229105003j:image

 エズラ・ミラーが「史上最速の男」DCヒーローのフラッシュことバリー・アレンを演じる最初にして最後になるかもしれない😭『ザ・フラッシュ』映画版。彼最近プライベートでいろいろとヤらかしてくれちゃっているので、将来どうなるかは全くもって不透明ですが、少なくとも今作はバリーが過去に遡って18歳の自分に出逢い、2人して宿敵ゾッド将軍を倒すために共闘する‥‥‥というストーリー展開なので、ここはやはり若き演技派エズラにご登場頂かないと‥‥と、ヲタクは思うわけです。結果彼は、『ジャスティス・リーグ』時のオールアメリカン・ボーイの突き抜けた明るさから一転、両親の事件によるトラウマに悩むバリーの心の闇を繊細な演技で表現してみせ、観る側を圧倒しました。アメリカンなキャラ設定は、18才の「もう一人のバリー」に引き継がれていたように思います。

 

 また、DC始まって以来のマルチバースものなので、歴代のクラーク・ケント、つまり2代目ジョージ・リーブスやクリストファー・リーブ、初代スーパーガール役のヘレン・スレイター、一時バットマンにオファーされていた(結局は実現しなかった)というニコラス・ケイジまで出てきて、過去に戻ってフラッシュが共闘するのが、マイケル・キートン(ティム・バートンバットマン)という、アメコミファンが泣いて喜ぶ小ネタ満載。(おまけに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の裏話ネタも🎵)

 

 エンド・クレジットでは明らかに続編がありそうだったけどなぁ…。ジェシー・アイゼンバーグレックス・ルーサーと同じ運命を辿るのか……ブツブツ。
 

★第7位  バーナデット ママは行方不明


f:id:rie4771:20231229105141j:image

 シアトルに暮らす主婦のバーナデット(ケイト・ブランシェット)。夫のエルジービリー・クラダップ)はマイクロソフトで重要な仕事を任され、娘のビー(エマ・ネルソン)は成績優秀、自立心も強く、自分から選んだ寄宿制高校の入学を待つばかり。母と娘はまるで親友同士で、そんな生活にそれぞれ満足している……と、バーナデットもエルジーもビーも信じていた……筈でした。ところがビーが、寄宿舎に入る前のお祝いに、なんと「家族3人で南極旅行に行きたい❗」と言い出したから、さあ大変。じつはバーナデットは、(家族を除いて)極度の人間嫌い…というか、対人恐怖症。旅行中に他人と世間話を繰り広げることを想像しただけでもイヤすぎて不眠症になり、ネットで雇った私設秘書にグチをこぼしつつ(なぜならグチをこぼす友だちが一人もいないため 笑)それでも、目に入れても痛くない可愛い一人娘のために勇気を振り絞って南極旅行に出かけようとするバーナデットですが、焦れば焦るほど彼女の「社会の厄介者」(注・ヲタクが言っているわけではありません。バーナデットの自己評です、念のため)度❓が肥大していき、思わぬアクシデントが次々と彼女を襲います。ついには彼女の奇矯言動を心配した夫のエルジーによって精神病院に送られそうになったバーナデット、すんでのところで逃げ出しますが、はて、そんな彼女が目指した先は……❗❓

 

 バーナデットはじつは、若くしてマッカーサー賞を受賞、フランク・ロイド・ライトミース・ファン・デル・ローエ等の巨匠と肩を並べるほどの天才建築家。環境配慮型建築の先駆者であった彼女でしたが、それがあるトラブルから建築界を引退、家庭に引きこもり子育てに専念してきた…という設定。…とこう書いてくると、何しろあのケイト・ブランシェットがヒロインだから、「家庭生活のために自らの才能を抑圧してきた主婦がそれに耐えきれなくなり、ついには爆発して自分探しの旅に出る……」という、いかにもケイト・ブランシェット向きのストーリーかと思いきや、全くそういう方向に行かないのが、ヲタクがこの映画を激推しする点でございます。ケイトの軽妙なコメディ演技にクスクス笑いつつ、最後は温かな涙に包まれる……そんな作品。ゴールデングローブ賞ヴェネツィア国際映画祭をはじめとして、主だった映画賞の主演女優賞を総ナメにした『ター/TAR』の怪演も物凄かったけど、ヲタクはだんぜん『バーナデット』のケイトが好き❤

 

★第6位  ロスト・キング 500年越しの運命


f:id:rie4771:20231229105337j:image

 2012年、500年以上行方不明になっていたプランタジネット朝最後の王リチャード3世の遺骨が、とある駐車場の下から発見された時大きな話題となりました。しかもその発見者は2人の息子を持つシングルマザーでアマチュア歴史家のフィリパ・ラングレー。彼女がなぜこの歴史的偉業を成し遂げるに至ったかについて、笑いとユーモアを混じえて語られる感動の実話です。

 

 リチャード3世といえばシェイクスピアの同名の史劇で有名ですが、そこでは、背中には大きな瘤、自らの醜悪な姿へのコンプレックスから徹底した人間不信となり、王位継承者である幼い甥の王子2人をロンドン塔で暗殺した非道な王位簒奪者として描かれています。フィリパの遺骨探しのきっかけとなるのが、彼女が『リチャード3世』の劇を鑑賞中、「リチャード3世はこんな極悪人であるはずがない❗行方不明になっている遺骨を探し出せば、何か新事実がわかるはず。彼の名誉を回復するため、私は頑張る」って、(何の根拠もなく)動物的カンを発動させたからなんですよね(^.^; もうねぇ、フィリパの言動が徹頭徹尾「オタクあるある」で……。まずもって最初の動機がね、映画でははっきり言葉では表現されてないけど、フィリパは絶対、劇でリチャード3世を演じた俳優ピート(ハリー・ロイド…リチャード3世のまぼろしと二役)に沼オチしちゃったんだと思う。 リチャード3世を演じる俳優さんは、醜悪な姿にするため特殊メークを施すことが多いのね。ドラマ『ホロウ・クラウン 嘆きの王冠』でリチャード3世を演じたベネディクト・カンバーバッチも、完ぺきにイケメン封印してて、「アンタ、誰❗❓」状態だったもんなぁ…。ところがフィリパが観たハリー・ロイドのリチャード3世は、ハル王子かリチャード2世か❓っていうくらい、背もすらっとした水も滴るイイ男。これですよ、そもそものフィリパのモチベーションは。……でも、オタクは推しのためならたとえ火の中水の中、ついにはリチャード3世の遺骨を発見しちゃうんだから、凄いよね。おまけに映画の冒頭では難病に苦しんでいたフィリパがどんどん元気になって、女性としての魅力も大復活。「リアコ万歳、推し活万歳❗」……な映画でしたとさ、ぢゃん、ぢゃん❗


f:id:rie4771:20231229105601j:image

※究極のオタクであるフィリパの妄想に登場するリチャード3世は、こんな見目麗しいお姿😍